『バクマン。』 167 ページ 「戯言と一言」 (週刊少年ジャンプ 2012 年 12 号)

銀座通りをぶっ飛ばせ! / Burn on The Ginza Street! 人気の通りを疾走する──絶頂は遠い未来

いま「ジャンプ」本誌で連載中の『めだかボックス』では、強靱な声優・強烈な音楽家・凶悪なアイドル(西尾維新的説明)が登場しました。声優が多い雑誌だなぁ……。

そのアイドルは、自分自身のことを「消費されるコンテンツ」として、誇り高く切り売りしている。すべてはファン──消費者の笑顔のために。

──自分の意志を貫き通す亜豆と、凶悪アイドルとでは、どちらを評価するべきでしょうかね。

よし原稿 OK

前のページでチャイムが鳴った時には、イヤな予感しかしませんでした。絶対にマスコミがエサ目当てに やって来たんだ──という具合に。

あるいはサイコーやシュージンの知り合いが、心配して来てくれた可能性まで考えました。──彼らの同級生は何人もいるのに、こんな状況で誰も連絡してこないなんて、かなり不自然ですよね。

だがそれが亜城木クオリティ!

たとえば山下(ヤマちゃん)は、クラス会でサイコーの気持ちと状況を察して、かなり気にかけていました。彼くらいは連絡して欲しかったなぁ……。描かれていないだけで、「サイコー 負けんなよ!」みたいなメールがあった──と思いたい。

バクマン。 #130-2 「熱と灰」 カラオケ組と海外旅行 | 亜細亜ノ蛾


普通にやってきた服部との打合せは、いつもどおりといった感じでした。かなり拍子抜けですが、サイコーとシュージンにとっては、その「いつもどおり」が何よりも ありがたい。

服部の言葉を聞いて安心する亜城木の 2 人を見ると、ほんの一時だけホッとしました。まるでサイコーとシュージンは兄弟で、服部は お兄さんみたい。じつは自分自身も心細いのに、それを表に出さないところが、いかにもお兄ちゃんです。

申し訳ない ことを

前回の感想で、北見リリカが出てこないことを気にしていました。今回は登場したけれど、彼女は事務所を通して謝りに来ただけです。どちらかと言えば「事務所の社長に謝らされた」感じが強い。なんだかリリカは「悪役」ですね。

バクマン。 #166-1 「噂と記事」 テロップとコネ | 亜細亜ノ蛾


亜豆の事務所の社長は、亜豆のことを心配している──のではなく、「仕事が 減ったら どうしてくれる」という点を一番気にしている。彼は意外と思いやりがあると感じていただけに、ちょっとガッカリでした。

本当に亜豆のことを思って力になってくれる人物は、彼女の家族以外には、カヤしか居ないようです。もちろんサイコーもシュージンも心配しているけれど、積極的に連絡はしない。亜豆も心細いでしょうね。

わざとバレるように

亜豆の温かい言葉に感動して泣き出すリリカですが──、謝り方が「あたしは悪くない だから あたしは悪くない」(球磨川禊リスペクト)なんですよね。心の底から謝っているようには見えません。

──と、ここで球磨川せんぱいネタを出したから、冒頭の文章につながったわけです。ついでに北見リリカの本性も凶暴だったら面白いかも。

北見リリカ
「(ケケケッ オレ様のウソ泣きに だまされやがったぜェ!)」
亜豆美保
「(──とっくにバレてんだよ! ダボがッ!)」

そう言えば以前に、北見リリカは、なぜか第一印象から 「かわいらしいけれど おなかの中は真っ黒」な感じがしました──なんて書いていたなぁ……。この予想は、個人的に当たっていて欲しい!

バクマン。 #161-3 「息継ぎとパーティー」 ゲストとアズキュン | 亜細亜ノ蛾


亜豆は「私の力不足です」なんて軽く言って笑っているけれど──、そんなの納得できるはずがない。この状況で笑える亜豆が、ものすごく怖かった。

上では北見のウソ泣きを疑ったけれど、この凍り付いたような亜豆の笑顔もまた、「ビジネス用の表情」だと思う。いっそ北見のように泣き出せたら、亜豆も楽なのにな……。

──ん? でも亜豆の言葉を逆から読むと、「あなたのせいで声優を辞めるかもしれないのよ?(にっこり)」となる。やはり、水面下で進行している心理戦──「女性同士の戦い」を描いた場面だったのかッ!

遠い所に わざわざ

亜城木の仕事場にやってきたプロデューサと監督たちは、「いかにも業界人」という感じではなく、普通の社会人でした。おそらく Twitter で大暴れするタイプでは ありませんね(それは どうかな?)。

アニメのスタッフとマンガ家との打合せは、普通は どちらが会いに行くのだろう? 週刊連載のマンガ家のほうが時間を取れないだろうから、今回のような形は自然なのかな。

自分たちの作品を他人の手で別の形に作り替えられるなんて、亜城木コンビにとっては初めての経験です。夢を叶えてくれる恩人のような存在でありながら、我が子を取られるような──複雑な心境でしょうね。


──で、パーティ会場で ただ 1 人だけ亜城木に名刺を渡しに来た「ANN スタジオ」の田辺太(たなべ ふとし)は、どこへ行ったんだ……。今回の騒動を見て、「自分のスタジオで やらなくて良かったー」と思っていたりして。

バクマン。 #162-1 「温泉と二択」 特賞と知名度 | 亜細亜ノ蛾

それが一番 嬉しいです

『REVERSI』のアニメは「原作を尊重し できるだけ 原作通りに作る」とプロデューサは言う。この打合せは軽く描かれていますが、先の展開を考えると けっこう面白い。いつも以上に服部がトーテムポールみたいで笑えるし。

『ZOMBIE☆GUN』は、新妻エイジが自分でアニメ用のオリジナル・ネームを描いていました。この点は将来に『ZOMBIE』がアニメ化した時の伏線になってきそう。ヘタをしたら全話オリジナルくらいは仕掛けてくるのでは?


サイコーは、『REVERSI』のヒロイン・菜保役に亜豆美保を推薦する──。終始なごやかな空気で進んできた打合せのなか、最大に緊張する場面です。いよいよ核心の部分に来ました。

気を利かせてシュージンが言いかけたけれど、この瞬間のためにサイコーはマンガ家として頑張ってきたのだから、自分で言いたかったのでしょうね。いまさら後に引けるわけがない。

読者は十分にサイコーの正しさを知っていますが、それでも この場面の空気を想像すると──息苦しくなってきます。修学旅行の夜に好きな子を告白する時の 65,536 倍は緊張する。

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