『SKET DANCE(スケット・ダンス)』 第 4 巻「ガチンコ・ビバゲー・バトル」
いよいよ、ビバゲーバトル編の最後まで感想を書き終わりました。いやー、こんなに時間が掛かるとは……。
ボッスン・藤崎佑助(ふじさきゆうすけ)と生徒会長・安形惣司郎(あがたそうじろう)の「ピクシーガーデン」戦、ついに決着です。
もう、登場人物も読者も忘れていると思いますが……。スケット団は本来、ヤバ沢さんが欲しがる「3 の口(くち)」アバターの入手が目的だったはず。なので、負けても「ゴメンな!」で済んでいるところを、会長の「負けたら辞任ルール」発言により、負けられない対決になりました。
ボッスンは、得意の「集中モード」を使った秘策で勝てるのか?
そうそう、前回の感想で書き忘れていましたが、「ピクシーガーデン」の開始前、みんながボッスンを応援するところが笑えます。みなさん、再読を。
ロマンが「王子 結婚してーーー !!」とドサクサに紛れて叫んでいるのに萌え死にました。ボッスン、どんだけ幸せ者なんだよ──!
第 34 話「妖精(ピクシー)見つけた」
ボッスンの見いだした必勝法は、カードをすべて把握する、というもの。
「ピクシーガーデン」で使うカードは合計 21 枚なので、それほど無理のある戦法でもなさそう。『アイシールド 21』のヒル魔は、カジノでトランプ 52 枚の状態をすべて記憶する、という芸当を見せましたが、それに比べれば楽ですね(実際にできる人もいるのか?)。
安形は、ボッスンに「スケット団を作った理由」を問い質します。それは、ぜひとも自分も知りたい。
物語の登場人物なので、普通なら「ボッスンは人助けキャラ」の説明で事足りる。つまりは「そういう設定」で済ましても良いところですが、この作者なら、ボッスンの過去もしっかり描いてくれるでしょう。──実際には、4 巻の時点ではスケット団の結成秘話、のようなものは出てきませんが、これからの展開を期待しています。
ボッスンにはカゲがある、と安形は見抜く。人の心理を読むのが得意な安形が言うと、説得力があります。ボッスンが、ヒメコやスイッチを救った──ように見えて、じつはボッスンのほうが二人に助けられている、と。
いまのところ、それらしい描写はないので、安形の独り合点という可能性もあります。しかし、ボッスンが急に怒り出すところから、真相に近いのかもしれませんね。
真実はどちらでも、スケット団はお互いが支え合っているので、いままでのような関係で良いと思います。それに、ヒメコもスイッチも、ボッスンにそこまでのリーダーシップを期待していないし(笑)。
しかし、「ボッスンのカゲ」は気になります。カゲのない人間はそうそういないし、カゲが魅力的な人は多いです。はたして、ボッスンのカゲとは?
ゲームの展開は、ネタバレになるのであまり触れませんが──。最後に、ボッスンは安形のクリアを阻止しようとします。ボッスンの作戦通りの展開、のはずですが──。
第 35 話「閉幕 !!」
すべてのカードを「集中モード」で把握したボッスンは、安形が出したカードに対し、「ピクシー見つけた」をコールします。
それによって明らかになった、安形の「爆弾」がスゴい。
ゲームの最初から、安形はワナを仕掛けていたとは──。さらに、対戦中のボッスンを怒らせるような言動も、「辞任ルール」も、すべてはボッスンを本気にさせるためですが、それすら、安形自身のためだったという──。
安形の恐ろしさを垣間見たボッスンが、初めて見た天才と賞賛し、少しあこがれているのが良いですね。近くに乗り越えたい壁がある人は、伸びるものです。今回の件で「敵わない」と諦めることなく、いつか再戦して欲しいところ。
さて、もうバレッバレなので書きますが──、ボッスンは負けて、スケット団を辞めることに。ここからの展開が、実に面白いので、ぜひともコミックで読んで欲しいです(未読でここに来る人はいないと思うけど)。
安形の提案を聞いたボッスンの表情とか、感極まって「抱き合ってもーた」ヒメコが恥ずかしがるところ(ただしセリフだけ)とか、最高に面白い!
あと、ロマンとスイッチが、キャラを崩していないのも高得点。ロマンが「普通に」悲しんだり、スイッチが泣いたりしたら、台無しになるところです。こういうときに、じつは普通に女らしい、ヒメコの存在が大きいですね。
ヤバ沢さんのアバターの件も回収しているし、いやー、ビバゲー、最高に楽しかったです。
まとめ
まとめると、ビバゲーバトル面白! 『スケット・ダンス』最高 !! で十分ですかね。
セルフライナーノーツによると、『スケット・ダンス』はギャグマンガはない、と作者は考えているそうです。
たしかに、ビバゲーバトル以外にもギャグがない回はあるし、正直「子どもは引く」くらいの話も出てきます。そういう話が続くと、どうしても人気が下がって危ういですが、作者のいろんな可能性を見てみたいですね。
「ギャグでボケ倒す回」と「感動的な話」、それと「ロマンが出てくる異次元の回」のバランスで、まだまだ面白くなりそう。それにいま、これだけ多面的な作品を描ける人は、あまりいません。これからの活躍を期待しています。