バクマン。 #8-1 「アメとムチ」 シュージンと(怖い)母親

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『バクマン。』 8 ページ 「アメとムチ」 (週刊少年ジャンプ 2008 年 45 号)

ついに、サイコーとシュージンがマンガ原稿を持ち込みに行く。どんな結果が待っているのか、読者も気になるところだ。

このマンガの読者には、二人のようにマンガ家を目指す人もいるはずだ。自分事のように二人を見ている、と想像する。今回の編集者の反応は、参考になったことだろう。二人と同じプレッシャーを感じて、持ち込むのを敬遠する──などということがないように祈る。

ひょんなきっかけから、シュージンが子どものころの話を始める。彼らしくも、意外にも思える過去だ。そこでグレなかったのが、すごいと思った。親の思いが子どもの成長を妨げる──とは限らない。

さて、また文章が長くなった。文章量も体重も気にしているのだが、なかなか減らない。もはや定番の分割を行なった。明日もお楽しみに……。

シュージンの過去

持ち込みの直前は、二人とも余裕だ。時間をつぶすために散歩までしている。そして、シュージンは過去を語り出す。

サイコーはともかく、シュージンがマンガ家を目指すことを親が許したのは、意外に思っていた。成績の優秀な彼がランクの低い高校へ入学することを、両親は本当に反対していないのだろうか──。

そういった疑問があっただけに、シュージンの子どものころの話は、たいへん興味深かった。シュージンと親の両方に共感できる。

親が子どもに期待する気持ちは、よく分かる。自分も昔は親に期待されていたし、それがうれしかった。そして、親が果たせなかったことまで、子どもに要求する気持ちも──いまなら分かる。自分には子どもはいないが、もしいたら過大な望みをしてしまいそうだ。それが子どもの負担になることにも気付かず……。

それでも、このシュージンの母親の姿は恐ろしい。怨念を感じる。『バクマン。』の対象年齢は知らないが、中高生が見たら確実に恐がりそうだ。その母親に反抗しながらも、成績を落とさなかったシュージンはすごい。

「自分の将来は自分で決める」──このセリフを、学生だけに有効と思っていないだろうか。社会人になっても、老人になっても、死ぬまで使える言葉だ、と肝に銘じておく。

いざ、持ち込み

いよいよ、編集者に作品を見られる。自信家のシュージンですら、悪い結果が頭に浮かぶ──。

二人とも緊張感の限界で、笑える。判決を言い渡される被告の気分の中、とても下らないシャレに気が付くシュージン(囚人)。お茶が出たら合格という川口たろうの言葉しか思い浮かばないサイコー。いつもの二人とは大違いだ。

このときの二人の気分は、不思議なことに自分にはよく理解できた。なぜだろう、そんな経験はないのに……。面接や試験でも、それほど緊張したことがない。──あ、初めて告白したときの気持ちか……。恋の囚人だった自分──判決は、死刑でした。

まとめ

サイコーとシュージンは、母親からの重圧でよく押しつぶされなかったな、と感心する。母親はやはり、自分の子には「まっとうな道」を歩んで欲しいものだ。そんなモノは誰にも保証できないのに……。

明日の感想に出てくる編集者は、味があって面白い。味といっても魚介類の味ではないぞ──と謎の言葉をつぶやいて、今回の感想は終わる。