HUNTER×HUNTER 12 巻 「9 月 4 日 その 2」 1 – 四の死の詩と使徒

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『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.12 「9 月 4 日 その 2」

いよいよ幻影旅団たちとクラピカとの戦いが近づいている。──という緊張感を打ち壊しにする「ゆるキャラ」な表紙が特徴の第 12 巻です。「──その 2」なんて題名だし。

ところが、言うまでもなく中身は一級品です!

いままでの謎がスラスラと解かれていく気持ちよさは、一流の探偵小説を読んだあとのような「ちくしょー! 気がつかなかったー!(にっこり)」が味わえました。

自分もシズクのように記憶が抜け落ちたら、この感動を何度も味わえるのに! 彼女に弟子入りして、四六時中も密着取材したい!(趣旨 変わっとるがな)

今回の感想は、まあまあの長さですねー(棒)。

No.104 「9 月 4 日 3」

前回の終わりでクロロが何を質問するのか──という謎が解かれました。今回のように、「答えが分かると一瞬で納得できる」ほど良い問題です。ほかのマンガには、答えに苦笑する展開も多いですからね。

団長の印象(ふさふさした部分)と「天使」が、微妙に合っていて笑えます。ネオンの「天使の自動筆記」(ラブリーゴーストライター)を盗むために熱い視線を送っていたのか……。

オークションの会場があったビルでの「仲良しデート」が印象的なので、クロロがネオンのことを「こいつ」と冷たく言っている点が気になりました。これは──「アタシのことを利用しただけだったのね!」状態ですよ!(?)

今まで盗んだ能力のなかには、「センリツ以上の地獄耳になれるウサ耳」とか、「ウボォーギン並のパンチを繰り出せる猫の肉球」・「最強の防御力を誇るモフモフ着ぐるみ」とかは ないのかな(ない)。


ノブナガ・ハザマというフル・ネームが明かされる人物は珍しい。ただ、明らかに和風なのに、欧米風の表記は嘆かわしかった! 現在であれば、堂々とハザマ・ノブナガを名乗るでしょう。

(2012-04-01)日本人名のローマ字表記について|トピックス|JFA|日本サッカー協会

ノブナガの生れ年が「70 年」という答え方は絶妙です。「西暦 1970 年」だったら連載時の 2001 年で 31 歳だけれど、「ハンター年号」なのでしょうね。


シズクは頭の回転が速い。普段がボケボケしている(ように見える)だけに、いち早く予言詩の意味を読み解く思考の するどさに驚かされます。

極端にシズクの記憶力がないのは、あまりにも脳の処理能力が高すぎて、記憶しすぎるとパンクするからでしょうか。大事なこと以外は記憶しない──という理系な女性なのかも。

フィンクスも、ぶっきらぼうに話しながら確信を見抜いています。やはり幻影旅団は、頭脳派の集団でもある。1 人くらいは間の抜けた人物が居ても楽しそうですけどね。


クロロは、「捨て石」としてウボォーとノブナガの名前を挙げています。「情報・処理部隊」であるシャルナーク自身も、「私が死んでも代わりは いるもの(レイッ」と言っている(そうは言ってない)。

旅団としての役目を果たすためだけに、(ヒソカ以外の)全員が自分を生かすか殺すかを決めています。つねに死を覚悟している彼らは、不思議と生き生きして見える。

緊迫した空気のなかで──、ヒソカがクラピカに送った顔文字付きメールに なごみました。3 行くらいしか表示できない携帯電話も、いま見ると かわいらしい。

No.105 「9 月 4 日 4」

クラピカは、「幻影旅団・団長の最期」を目撃しているのに、ヒソカからの短いメールだけで すべてを考え直しています。物語の都合とはいえ、ちょっと気が早い気がしました。

もしも あとから「──だったら どうする? ★-_-▲」なんてメールが届いたら、クラピカは自分のキャラを忘れて暴れまくりそう。

また、むさ苦しい男 2 人(しかも 1 人は上半身丸出し)にガン見されながら、楽しそうに「緋の眼」を眺めているネオンも、クラピカが見たら怒りが こみあげそうですね……。


流星街とマフィアとのつながりが明かされました。

マフィアにケンカを売った幻影旅団は、流星街に戻ったら住人たちから攻撃されるか、少なくとも追い出されそう──と普通であれば考えられる。そうならない理由は何だろう? 不思議な力関係ですよね。

また、旅団の強さは流星街の環境と関係が あるのでしょうか。念能力の才能がある異人種たちが交わって、たまたま強い者だけが集まって旅団を作ったのかな。


「人間の記憶を読む」というだけでも強力な念能力なのに、対象が物体でも良い上に、銃と弾丸の能力まで隠し持っている。おまけに おっ──胸が豊かだし、なんだか最近はモデル顔に なってきました。

──設定盛りすぎな旅団の中でも、パクノダは さらに特異な 存在かも しれないな

流星街の性質から考えると、フェイタンやフィンクスのように生年月日を知らなくても不思議では ありません。しかし それにしては、No.108 で分かるとおり「データ不足 チーム」は 3 人だけなんですよね。

仮に流星街へ子を捨てた親が居たとして、わざわざ生年月日を書き残したとも思えない。フェイタンは親族が いないような発言をしていたけれど、実際には彼らを産んだ者が流星街に居る(居た)のでは?

シズク
「──あ 私が みんなを産んだんだった」
フランクリン
「えー」

ヒソカの予言は 2 週目までしか書かれなかった──つまりは団長との戦いで命を落とす運命なのか、たんに 続きが明かされていないだけなのか──。

偽りの卯月」ことヒソカからすれば、旅団員の生き残りなんて気にするわけがない。だから 2 週目の大事件は、「逆十字の男と 2 人きりになれる」ことだけでしょう。

つまりは、ヒソカはその後も生きているはず。

No.106 「9 月 4 日 5」

もしもパクノダが「紙の記憶」を読んでいたら、ヒソカのウソは即座にバレていました。発覚しなかった理由は、ヒソカが能力を隠していたからです。パクがヒソカの能力を詳しく知っていたら、完全に敵対視したでしょうね。

ヒソカを信頼する団員は少数(皆無?)のはずです。今回の件で、さらに不信感は大きくなったでしょう。それでも正当な理由がなければ、ヒソカを排除することは避けている。旅団員同士の関係は とても複雑ですね。

──いや、じつは単純で「団長の指示に従う」だけなのかも しれません。団長は団長で、ヒソカは旅団に心地良い緊張感を漂わせている──などと思っていそう。こういったミステリアスな関係(の妄想)は大好きです!


クロロがノブナガに使用した「強制的に相手を移動させる能力」は、とてつもない可能性を秘めている。神が使うに ふさわしい! もしかしたら、先の展開で登場するかもしれませんねー(棒)。

ヒソカに質問する際にも、クロロはずっと本を広げています。考え事をする時のクセかもしれないけれど、「思考能力を強化する能力」という可能性も高い。それとも、またノブナガが暴走した時の用心かな。

掟の剣」はヒソカのウソだったけれど、クラピカの「律する小指の鎖」(ジャッジメントチェーン)と ほぼ同じです。

まさかクラピカが、「幻影旅団のメンバであるヒソカ」に自分の能力を漏らすはずが ありません。たんなる偶然なのでしょうか。

No.107 「9 月 4 日 6」

グリードアイランドについてゴンが考えている「秘策」は、まったく思いつかなかった。いつものように、読者でも答えを出せるように十分なヒントが公開されているのに……。くやしい!

ゴンは、いざというときの集中力や発想力は すさまじいけれど、すぐに脇道へそれてしまう。それでいて意地っ張りという──。けっこうな「やっかいさん」ですね。

連載の当初は「家事を率先して手伝う良い子」とか「お利口さんタイプ」などとゴンを見ていたけれど、かなり本性が出てきました。将来は D と Q と N が融合した性格になったりして。

あきらかにゴンは、キルアに甘えています。同じ年代の友だちや、父親・兄弟が居なかったからでしょう。でも、なんだかんだ言って「お兄さん役」ができるキルアは内心うれしかったに違いない。


クラピカはゴンの覚悟を試しているけれど、本当はゴンとキルアの参加は心から望んでいたはずです。レオリオと 2 人だけでは心もとないし。──というか、何の確認もなしにレオリオは作戦に取り入れられている

やっぱり この 2 人って──な、仲が良いですね!

あまりにも単純すぎるクラピカの作戦だけれど、すでにマチなどの実力を見たあとでは、かなり実現が困難に思える。たった 1 秒が、ゴンには とてつもなく長く感じたでしょう。

この時点でパクノダをさらった後のことは考えていたのかな? ゴンとキルアは、ハンター協会や警察に引き渡すつもりだったと思う。しかし──クラピカは どうするつもりだったのか。

No.108 「9 月 4 日 7」

クラピカの「旅団以外には使えない能力」と彼の胸に刺さっている「念の刃」との矛盾をゴンは指摘しました。聞いたばかりの能力について柔軟に考えられるゴンの思考力が素晴らしい!

クラピカも、自分へ剣を刺す直前に よく危険を察したものです。これまた かなり以前から読者も疑問を持てたはずだけれど、自分は まったく考えもしなかった。そもそも「能力を出した本人には無効」と普通は考えますよね。

ものすごくマニアックな例を挙げると──、(初代)プレイステーションでハマった『カルネージハート』という戦闘シミュレーション・ゲームに、「デススフィア」という「敵を自動的に追い回す地雷」が出てきます。

このデススフィアは、設置した時には設置者に当たり判定がない。しかし、いったん敵を探知して動き出すと、設置した者が触れても爆発する。

──これって、トリビアになりませんか? 実際、かなり やり込んだ人でも知らないと思う。おもしろかったなー。


一蓮托生(いちれんたくしょう)なんて言葉を知っているキルアの知識は、11 歳とは思えませんね! たぶんゾルディック家に生まれた者には、一流の家庭教師が付くのだろうな。

そんな いい仲間に恵まれたクラピカは、自分の秘密をベラベラと明かしまくった後で、じつは精神的に圧力を掛ける目的だった──と「真実」を告げる。──黒いぞ!

フッフッフッ」なんて笑っているし、クラピカも かなり明るい性格になってきましたね。このままゴンの近くにいて、報復なんて忘れてくれたら良いのだけれど……。


今回のサブ・タイトル「しのしのしとしと」(←かなり お気に入り!)にも使った死の予言が出た旅団の 4 人は、シズクの占い以外は場所が どことでも受け取れる内容でした。占い特有の あいまいさですね。

たとえばパクノダの「狭い個室」なんて手洗いや風呂かもしれない。──なるほど、だから女性だけでチームを組んだのか。

さらに、シズクの占いに出ている「2 人きり程怖いものはない」という予言は、「鎖野郎と 2 人」という意味以外にも、「彼に操作された団員と 2 人」とも解釈できる。

ということで、つねに女性 3 人が 24 時間 一緒にいる予定だったのでしょう。団員の結束を固める良いチャンスですね……(ごくり……)。

残念なことに、その場面は薄い本の仕事になってしまった。一昔前の冨樫先生であれば、自分で描きそうですけどね!


団員たちがアジトを知られているのに平気なのは、コルトピの能力が信頼されている証拠です。コピー能力というだけで便利なのに、まさかビルまでコピーできるとは思わなかった!

ビルを 50 棟 以上も作り出せる上に、それぞれ「円」の役割も持たせる──。「具現化系」と「放出系」という正反対の系統が要求される能力だけに、コルトピ師匠のレベルは限界まで達していそうです。

「屍体という形であれば人間の体も複製できる」という点も、無限の可能性を秘めているけれど──少年誌の限界も余裕で超えている。どういうことかは、みなさんの想像にお任せしますよ……。

No.109 「9 月 4 日 8」

いつの間にか幻影旅団のアジトを示す目印が置いてありました。おそらく、ノブナガから逃げる時にキルアが設置したのでしょう。暗殺者としては当然の処置なのかな。

現代であれば、より確実なデジタル・カメラを利用するはずです。映画・『ドラゴン・タトゥーの女』でも、効果的に撮影の場面を出していました(彼女は暗殺者ではないけれど)。

ドラゴン・タトゥーの女 – 愚かな男は女で愚かさを増す | 亜細亜ノ蛾


クラピカはネオンを護衛する部隊のリーダなのに、急に休んだりセンリツを引き抜いて大丈夫なのだろうか。 もし大丈夫じゃなくても、現時点でノストラード組で長居する気は ないでしょうね。

そもそも、ノストラードのところにクラピカが居る──という情報が漏れている時点で、つねに旅団を警戒する必要がある。いくら迎え撃つつもりだとしても、分が悪すぎます。

一方の幻影旅団は、ネオンがヨークシンへ来た理由などの少ない情報から、確実に「鎖野郎」へと たどり着いている。クロロの推理力が光る一場面で地味ながら見どころがあります!

──でも よく考えてみると、オークション会場があるビルへ一緒に潜入したクロロが、どうして今まで気づかなかったのだろう……。盲点と言えば盲点かな。

また、団長にヒントをもたらしたのは、今回もシズクでした。彼女の発想力は ずば抜けていますね! 「ドジっ子メガネ探偵」として活躍できそう──と思ったけれど、依頼人の顔を 3 分間で忘れるかも。


コルトピの「円」効果は、前回になって突然 明かされましたから、「緋の眼」からコピーの場所を探る展開も急に思いついた可能性が高い。ところがコミックスで まとめて読むと、何ら違和感なく「最初から考えていた」ようにも読める。

これが別の作者だったら、まったくの偶然から鎖野郎を見つけたり、クラピカのほうから挑戦状を叩きつけたり、まったく緊張感がない展開だった可能性も あります。

冨樫義博先生は、あくまでも「マンガの天才」だと思っているけれど、一度くらいは 1 冊の小説を書いて欲しい。それもミステリィ(探偵小説)が良いですね! 原案だけでも引き受けたら面白いけれど、また休載が増えるか……。


スクワラを見つめている犬ちゃんは、連載当時から人気だった『THE DOG』を意識していますね。ゲーム・センタの店員だった自分は、ずいぶん たくさんのグッズを手に入れたなー。

THE DOG -魚眼レンズで撮影したユニークワンコの魅力満載!!-

動き出した旅団のことをスクワラが知らないことよりも──、何十億も出して落札した「緋の眼」の すぐ横に足を投げ出していることのほうが危険すぎる!

万が一にも床に落としてケースが割れ、犬ちゃんに「バランス栄養食」の ごほうびをプレゼントしてしまったら……。ネオンだけではなく、クラピカからも怒りを買いそうです。「もー」って(そんだけ!?)。