『バクマン。』 28 ページ 「協力と条件」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 15 号)
今週の『黒子のバスケ』には驚いた。
先輩からパンを買ってくるように言われる→異常なくらい混んでる→でも普通に買えた→「めっちゃ おいしいです
」(→えええー!・ガッカリ)
これがなぜ面白くないのか。たとえば『HUNTER×HUNTER』のグリードアイランド編で修行中に、
マサドラに行く→普通に買い物→「プラズマテレビが値下がりしてたね」「また来ようぜ!」(→ええー!)
今週の『SKET DANCE』で、
ボッスンとヒメコがデート→付き合う(→えー)
『ONE PIECE』で、
ドン!!!→勝つ(→あ、いつもの通りか……)
──という感じのダメな展開だからだ(最後にノイズが混じったが)。
バスケットボールのマンガなのだから、多少はムリヤリにでもバスケに絡めるべきだし、そうでなければもう少しページを少なく取るべきだ。ほとんど 1 話まるごと使う話ではない。
──なぜ、『バクマン。』の感想でこんな事を書いているのか。アンケートハガキの話と直結するからだ。
そもそも、アンケートハガキを出すような読者は、一般的ではない。その読者が、「面白かったもの 3 つ」の中に、今週の『黒子のバスケ』を入れるだろうか? 熱烈なファン以外は入れないだろう。
シロウトの分析には意味がないとは思う。しかし、こうやって少し考えただけでも、アンケートの上位に入ることは難しい、と分かる。なにしろ、「なぜ、面白かったのか」という理由はアンケートでは聞いていないのだ。自然に、好きな作品か人気のある作品に票を入れる。
こんな世界で、サイコーとシュージンは連載を開始できるのだろうか……。
あたし 夢変更
服部がシュージンに送った小説や DVD をどうするのかと思ったら、見吉がすべて見るらしい。これは面白い展開だ。
この「読んだ小説・観た DVD の要点をまとめる」という経験が、将来の見吉にとってプラスになると思う。根性のある見吉は、亜城木夢叶のマネージャかアシスタントになるのでは。または、ダンボール 6 箱分の作品を見終わったあとには、小説が一本くらいは書けそうだ。
見吉にとっては、そんなことよりシュージンとの結婚しか考えていないようだ。しかし、シュージンには まったくそのつもりがない、というのが意外だった。
シュージンの「好きとは 言ったけど 愛してるって 言ったっけ?
」という言葉は、典型的なプレイボーイが言いそうだ。やはり、将来は女泣かせのシュージンになりそうである。
その 2 人の横で、すでに結婚相手が決まっているサイコーは、「高校生同士で結婚話」を普通に聞いているのが笑える。
そう言えば、シュージンと見吉がチューした
ことをサイコーは見ている。これくらいの年代なら冷やかしそうだが、イマドキの高校生なら当たり前なのか。
あたしだけ のけ者に
シュージンを真っすぐに見てプロポーズする見吉は美しい。そのすぐあとで、サイコーの冷たい態度に対して泣きじゃくる見吉も、また かわいいものだ。
シュージンには「見吉にヤキモチを焼いている」と打ち明けたサイコーだが、見吉には そのことを言っていなかった。サイコーは見吉に礼を言ったことで、完全に 3 人の間に わだかまりがなくなったのだ。
少し前のサイコーだったら、見吉に向かって素直に「ありがとう 手伝ってくれ
」とは言えなかった。マンガのことだけではなく、精神面でも成長しているのだ。同じ夢に向かっている人間同士が互いに成長する──そういう姿を見るのは、こちらも楽しくなってくる。自分も成長しなきゃな……。
付き合ってるどころか
おそらくシュージンに惚れていると思われる、「名もなき子」が かわいい。「こわ子」と命名しよう(すぐ却下)。
こわ子の質問にシュージンは すぐ答えている。まるで ひとごとのように語っているが、(マンガの)部外者に対して、最大限に効果を発揮する言葉を選んでいるに違いない。ただ単に「付き合っている」だけだったら、こわ子はライバル心を持ったかもしれない。しかし、シュージンには「そんなこと」に時間を取られるわけには いかないのだ。
──近い将来、「そんなこと」の範囲に見吉が入らないか、少しだけ不安である。超・シュージンなら、何とかマンガも恋愛もこなせるとは思うが……。
今度 ミホ CD 出す
亜豆が CD デビューすることを、見吉が さらっと言う。──『さよなら絶望先生』九十話の「さらっと言うな!とメロスはいきり立って反駁した」のネタかよ! というくらい、とんでもないことを さりげなく言う。
サイコーに歌う姿を見られたくなかった理由は、亜豆の歌声なのか衣装なのか。女心は分からない。
テレビに出るときに後列にいることを亜豆は恥じている、と以前にサイコーは言った。今回は最前列で亜豆は(ヘタながらも)歌っている。これはサイコーにとっても、うれしかっただろう。
普通だったら、自分の彼女(候補)がこんな格好でテレビに映っていたら、心配になる。でも──サイコーも亜豆も普通ではない。良い意味で、普通の人は声優やマンガ家には なれないのだろう。「芸術家は」と言いかえてもいい。
それにしても、ある程度は登場人物の心理はトレースできるが、亜豆はサッパリ分からない。登場回数が少ないことも大きな要因だが、コミックスの 1 巻から読み返しても、亜豆の言動は理解しにくいのだ。
だれか、亜豆の気持ちをイタコ状態で再現できる人は いないだろうか……。大場つぐみさんの頭の中では、亜豆という人物は成り立っているのか、すこし疑問に思った。