『バクマン。』 36 ページ 「沈黙と宴」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 24 号)
この作品を通してマンガ家を目指す人は多いだろう。そんな人の目に、今回の話が どう映ったのか、気になる。
今回は、「マンガ家のアシスタントになるにも、かなりのレベルを要求される」ことが分かった。──マンガ家を志望した人もあきらめるのでは、とすこし不安になる。
おそらく、小畑健さんのアシスタントは、もっともっと能力を要求されるのだろうな……(『さよなら絶望先生』でそんなネタがあったはず)。
こんないい条件の人はいない!
(イマドキお下げの)女性アシスタントは、加藤(かとう)という。シュージンは若い女の人
と見ているが、年齢は明かされていない。
──気が付いただろうか? 無神経そうに見える港浦だが、女性の年齢を公言するような失礼な言動はしない。だんだんと、港浦という人物の内面が見えてくるようだ。
真城と高木とのやり取りは、不思議な感じがした。
シュージンの気持ちを察して、サイコーのほうから見吉を呼ぶように言う──これは分かる。
しかし、サイコーが女の人 1 人より
見吉がいたほうがやりやすくなる
というのは意外だ。なぜだろう。女性と一対一になるわけでもないのに。
ジャンプの主人公の大半に備わった属性である「本命以外の女性は苦手」が発動したのかもしれない。──そういえば、『シティーハンター』の冴羽 獠(さえば りょう)みたいな主人公は、もうジャンプには登場しないのだろうか……。
無口なアシスタントは、高浜(たかはま)という。一見して取っつきにくそうな、一癖も二癖もありそうなタイプである。
真城が心の中でツッコミを入れているが、たしかに、アシとして未知数の能力
ってなんだよ! と思う。港浦は物事や人の良い面しか見ないのだな、と分かる場面だ。
すぐ手配する
港浦と小河は、テキパキと仕事場の環境の整える準備をする。
二人の格好だけを見ると、まるでお笑いコンビのようだ。港浦がボケて小河がツッコむ。あるいは逆か? ──自分は門外漢なので、BL 的な意味あいで書いているわけではない。ご注意ください(?)。
小河の横顔は、初期のころのパクノダに似ている。パクノダも初期と後期では、ずいぶんと表情も印象も(というか骨格から何から)変わった。初めて見た時には不気味な存在にすら見えたパクノダに対して、まさか、あんな感情を抱かされるとは……。
HUNTER×HUNTERの登場人物 #幻影旅団 – Wikipedia
本当に小河はファッションモデルのようだ。スラッとしていて背が高く、顔もこれくらい「濃い」ほうがファッションショーで目立って良い。「小河のモデル」となったモデルが実際にいるのではないか(ややこしい)、と思うくらいだ。
たぶん、大場つぐみさんからは「クールで仕事が早いタイプ。容姿はヒョロッとした典型的なオタクみたいな感じ」というような指定があったのだと想像する。それが、小畑健の手にかかればモデルになってしまう。
高浜だって、「無口で何を考えているのか分からない。不気味」みたいなキャラクタの設定だろうが、一昔前の「アフタヌーン」の読み切りあたりでは主人公が勤まりそうだ(「アフタヌーン」を低く見ているワケではなくて、ジャンプでは考えられないような人物が主人公になる、という意味)。
デッサンの狂い
「絵がウマい」真城でさえ、右向きの顔だけ 苦手
であることに驚く。実際に描いてみると分かるが、本当に右を向いた人間は描きにくい。そして、一回でもそれに気が付くと、もっと難しく感じる。
そういう意識でこの見開きページを見ると、ほとんどの人物が左を向いているのだ。──そうか、小畑先生のレベルでも右向きは難しいのか、と安心したりする。
加藤と高浜に対して、小河は いきなり絵の仕上げを要求した。二人の実力を見るためだ。さらに、亜城木先生の絵に合った その他大勢の人物
を白紙から仕上げまで描くように、という指示も出す。
小河の指示を聞いて、すぐに応えられる二人もスゴい。とくに、高浜はアシスタントの経験がないはず。それなのに、他人の絵柄に合わせて描けるのだ。
この数コマを読んだだけで、「自分には無理だ」とジャンプを放り出したアシスタント志望の人もいるのでは? それとも、マンガ家のアシスタントだったら、これくらいは当たり前なのか……。
我々は今日は これで
加藤・高浜の仕上げ作業を見て、即座に小河は役割分担を決めている。おそらく、高浜のほうが実力あり、と見ているようだ。もしくは、高浜の描くモブは、亜城木夢叶の絵柄に合っているのだろう。
それにしても、港浦も小河も話の進め方が早い。あっという間に、次の日からアシスタントが入ることになった。服部は じっくりと慎重に決める性格だったから、こうならなかったかもしれない。
連載が近づいてくるにつれて、じょじょに亜城木の 2 人だけで完結する話では なくなってきている。このあたりは、マンガ家によっては「自分が作った作品なのに、自分の物ではない」感覚になるのだろう。しかし、そんなことを言っていては、マンガの連載はできないのだ。よっぽどの天才ではないと……(冨樫先生とか)。
打合せ 少しやっておこう
3 話目までのネームに対して、港浦は何も言っていないらしい。シュージンが気にするのも当然だ。
「服部が良しとした話」だからだ、と港浦は言う。ダメだったら先輩の責任
とまで言うのは意外だった。ただこれは、港浦が自分の責任になることを避けている、という意味ではない。あくまでも、連載会議を通過した話に手を加えられないというルールがあるのだろう。または、服部のことを先輩として立てている、ということか。
はたして、港浦は『疑探偵 TRAP』を、どう思っているのか──。
