『バクマン。』 71 ページ 「才能とプライド」 (週刊少年ジャンプ 2010 年 09 号)
「ジャンプ」にとって、前例のないことが起こりました。ひとつは連載会議のことと、もうひとつは連載そのものです。
もちろん、『バクマン。』の中にあるジャンプ編集部でのできごとであり、フィクションです。現実世界のジャンプでは、実行できるマンガ家さんがいないでしょう。強いて言えば、『こち亀』の秋本治先生くらいでしょうか。
最近の『バクマン。』を読むと、もう、主人公が誰だか分からなくなりますね。今回の「前代未聞のこと」のせいで、さらに亜城木夢叶の影が薄くなりそうです……。
間違い ありません
会議室に入るまでは浮かれていた雄二郎は、入室後に微妙な表情をしている。なんだこの顔は。雄二郎には「神妙な態度」がまったく似合いませんね。一方の服部は、いつものように無表情です。こういう時には、便利ですね。
ダブル服部は、2 人とも胸に野望を抱いている。ひとりは「面白いマンガを読みたい・載せたい」と考え、もうひとりは「出世したい!」と願う。──メチャメチャ動機が違うところに、2 人の性格が出ています。
ただ、出世して「上の人間」になって、初めてできることもあるでしょう。最終的に服部と雄二郎が目指すところは、同じなのかもしれません。アフロはさておき、はやく服部が会議を仕切るようになって欲しいです。あとは吉田がいれば、瓶子も相田もいらないのでは?(言い過ぎ)
読んでみて ください
連載会議に参加する直前に、服部は封筒を手にしています。小さなコマで描いてあるワリに気になったのですが、中には重要なアイテムが入っていました。我ながら、『DEATH NOTE』の【L】なみの観察眼じゃないかと──は思いませんでしたが。
服部は、岩瀬(秋名愛子)の原作を各編集者へ配りました。ちゃんと人数分を用意していて、用意周到です。しかし、ここで原稿を見せた意味が、キワドイですね。つまりは、岩瀬の書いた原作だけでは力不足で、新妻エイジがネームに起こしたからこそ、ここまで 面白くなった
のです。
この場面だけを見ると、「けっきょくはエイジがすごいだけじゃない?」と思った人もいるでしょう。それはそのとおりですが、岩瀬が書いた話は、エイジには考え出せないのです。やはり、2 人だから描けるマンガなんですね。──まぁ、「+NATURAL」の連載が続けば、エイジの話作りも強化されそうですケド。
豪語しています
雄二郎の発言がオカシイです。
入れ知恵 しました
と言いながら「(キリッ)」という表情をしていますが、雄二郎の威張れる要素が一つもない。そもそも、2 本連載して 「ジャンプ」一番の マンガ家に なります!
と張り切っていたのは、エイジ自身です。雄二郎は、何でも自分の手柄にしたがる、という証拠ですね。
──まぁ、アフロのことは置いておいて。
この会議の場面は、服部が参加していなければ、かなりキケンでした。当初の予定どおりに、会議を通ってから MONEYS の正体を明かしていたら、かなり問題になったはずです。だから、この「班長以下が連載会議に出席する」ことは、絶対に必要だったと思います。それがどうも、アヤういなぁ……。
とはいえ、服部が言うとおり、看板作家である新妻エイジ 作画とすると それだけで 回してもらえない 恐れがある
ので、今回の作戦しか手がないでしょうね。
退室して よし
服部コンビは、あくまでも「事情徴収」で呼ばれただけなので、『+NATURAL』が連載されるかどうかの結果は告げられませんでした。しかし、聞こえるように結果を言ったのは、佐々木編集長の粋な計らいかもしれませんね。
会議から帰ってきた雄二郎を見て、ちょっと見直しました。会議室へ向かって行った姿は(普段と同じく)脳天気に見えましたが、どうも演技だったようです。だから、港浦たちに対しては適当なことを言っている。完全に連載が決まるまでは、MONEYS のことは隠しておくつもりなんですね。
亜城木夢叶の仕事場では、会議の結果を長く待ちすぎて、みんな限界の様子です。何だか毎回、今回は 遅いな
と言っているような……。
決まったーー
久しぶりに、連載決定のおめでとう
を聞けました!今回は、連載が決まるまでがかなり長く感じましたね。
──ただ、振り返ってみると、『疑探偵 TRAP』の頃と違って、余分に原稿を用意したりといった策略もなく、キャラにも思い入れがない。先行きが不安ですね……。
サイコーとシュージンにとって一番の驚異は、作画 新妻エイジ
でしょう。この作品の一番の胸囲は、見吉──いや、美雪ママかな(?)。それはともかく、せっかく『タント』が連載を始めても、しばらくはエイジの2 本連載
で話題が持ちきりでしょうね。これは──打切りフラグか?
コメント
やっぱり亜城木の本領が発揮される話はタントではない気がします。
future watchのような話こそが彼らの真骨頂だと思います。この作品の登場人物の中で、一番漫画を見る目を持っているエイジはタントよりもfuture watchの方を評価していましたし、読んでいて興奮していたように思えます。タントの連載、このまま順調にはいかない予感が。結局、巡り巡って、亜城木の二人は原点に返ってくるように思えてなりません。
そうですよね、『タント』が始まる前からもう、亜城木夢叶の「次回作」が読みたくなってきます……。
とはいえ、いつもの「落として上げる」展開かもしれませんよ。
連載が始まったら、『タント』を実際に読みたくなるような面白さ! とか。
個人的には、目樽桃がヒロインとして大活躍することを期待しています!!