バクマン。 #76-1 「決めギャグとメッセージ」 コマネズミと北千住

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『バクマン。』 76 ページ 「決めギャグとメッセージ」 (週刊少年ジャンプ 2010 年 14 号)

Nadia Comaneci #1 (by eye2eye) (by eye2eye)

今週号は『バクマン』も『HUNTER×HUNTER』もスゴかった! オモチロイ!! 両作品ともいつも面白いけれど、たまにこういうスペシャルな回がある。

「──え、そう?」という声が聞こえてきましたが、自分には最高に面白かったです。素晴らしい作品を読み終わったあとは、ムクムクと創作意欲とやる気が出てくる。そこで、カメラを片手に公園へ出かけたり、愛用のカメラについて記事を書きました。

素晴らしい作品には、人を動かす力があるのです。

じゃ 次 いくぞ

ちょうどいま絶賛発売中の『バクマン。 7』には、シュージンはギャグマンガに合っていない──というやり取りが出てきます。そう、亜城木夢叶がギャグマンガに挑戦しだしたのは、そんなに昔のことではないのですね。

今回のシュージンを見ていると、本当にギャグは向いていないのでは──と思ってしまう。性格がマジメだし、研究熱心だから──という理由ではありません。ほとんどのお笑い芸人は、マジメにお笑いを研究していると思う(それとも、放送作家のほうか?)。天然で面白い芸人なんて、一握りでしょう。

最大の問題は、シュージン自身が「ギャグが好きだ!」と思っていないことです。結婚して生活を支えるために、ギャグマンガを描いて子どもを笑わせなければならない、とシュージンは考えている。

そんな思いでネームを描いて、本当に面白いギャグマンガに仕上げられるのは、何年もギャグを研究した努力家か、本物の天才くらいです。

チン発明

──とまぁ、上では好き勝手な分析を書きました。が、コマネ ズミとか北千住まで 20 分は笑える。面白い! ポーズが絶品です。ダウンタウンの浜ちゃんがいたら「お前のポーズだけやん」ってツッコミを入れるでしょうケド。

シュージンもサイコーもカヤも、全員が根はマジメなんですよね。その 3 人が冷静な(あるいは必死な)表情でギャグを見せたり評価したりするものだから、何が面白いのかが分からなくなっている。

人を怒らせることは簡単ですが、笑わせることはムズカシイ。カヤが言うとおり、理屈が分かってても できないことが、ギャグの難しいところですね。

マンガの中では 5 個くらいしか描かれていませんが、シュージンは何十個もギャグを考えたのでしょう。いくつか本当に笑えるギャグもあったのでは……。ここにお笑い好きの(そして沸点が低い)港浦が居たら、ほとんど採用されていたりして。

テレビ ですか

新妻エイジにオファが来た「悦子の部屋」とはたぶん、タマネギ頭の親善大使が出てくるトーク番組なのでしょう。アレにエイジが出ると、収拾がつかなくなるのでは……。

(マンガの感想からは離れるけど、徹子の部屋 – Wikipedia は面白い!)

とはいえ、服部が言うとおり、エイジはTPO で言っていい事と 悪い事の 使い分けができていますからね。亜城木夢叶が港浦に無断で出した月例賞の会議でも、エイジはうまく立ち回っていました。

この場面での問題点は、担当の編集者である雄二郎よりも、服部のほうが新妻エイジの本質をよく分かっていることですね……。アフロはいつまで経っても、アフロだな(?)。

で なんて答えた

秋名愛子──岩瀬のことを服部から相談された、雄二郎の受け答えに絶句です。これはないだろう……。

編集の仕事は 作家にいかに気持ちよく 描いてもらうかだ、という雄二郎の主張は正しいし、分かります。岩瀬が惚れた担当の為に 超頑張る 最高じゃないか! というのも、そのとおりでしょう。

しかし、服部はその気はない。それなのに、言ってみれば岩瀬をだましていい気にさせるのは、編集者として・男として・人として、良くないことです。それこそ、岩瀬が軽蔑する人間でしょう。

──と思ったけど、「私をだましてまで利用するとは……!」という服部の才能に、岩瀬がべた惚れしたりして。このパターンって、やっぱり『DEATH NOTE』の夜神月と高田清美の関係に似ているよなぁ……。服部はリュークかと思っていたら、いつの間にかライトになっていた。

それはそれとして、編集側に便利なように女性作家の気持ちを利用するとは、雄二郎の発言には納得ができない。山久はなんだかんだ言って、蒼樹本人ではなく彼女のマンガに惚れ込んでいますよね。だから蒼樹と山久はウマく行っている。

雄二郎よりも、山久のほうが優秀な編集者に思えてきた……。もちろん、服部はそのさらに上です。けっきょく雄二郎って、ジャンプ編集部の中でとっても! ラッキィな男というだけなのでは。

「じゃあ」って

このページでは珍しく、服部の七変化が見られます(正確には 6 表情)。服部も、表情が豊かになってきたなぁ。初登場の時は、本気でお面をカブっているのかと思ったのに(リュークやライトではなく、映画版の L なのか?)。

とくに、港浦と デートでもしようかと 思いまして、と言っている服部が最高です。日本人──というか人間とは思えない表情だけど、いい顔している。

ジャンプのマンガの中で、エイジは『タント』だけ読んでいない。その情報を聞いただけで、服部はその発言の意図を察したのでしょう。たぶんエイジも、雄二郎を通じて服部に伝わることも計算したはず。何という高度な知能戦でしょうか!

──知らぬはアフロばかりなり……。