『バクマン。』 97 ページ 「ラストと暗号」 (週刊少年ジャンプ 2010 年 38 号)
シュージンが雨の中、自転車を押して帰る場面がありました。少し下を向いていて、なんだか寂しそうにも見える。
いちおうは少年誌の誌上であるため、傘を差したまま自転車に乗る描写を避けたのでしょう。
このシーンで思い出したことは──、アメリカでの話ですが、タバコを吸うシーンのある映画は成人指定にするだ──という意見が出ているそうです。
暇人\(^o^)/速報 : 喫煙シーンがある映画「成人指定に」なるよー。 – ライブドアブログ
このようなことがあると、「表現の自由」について、考えてしまう。いや、考えるべきです。
「喫煙の CM を禁止したのに、飲酒の CM は放送し続けている」ことの異常さ(タバコと酒のどちらが多くの人を死なせた?)と、CM に影響されて犯罪を犯す愚かさについて、2007 年の日記に書きました。
あらためて自分の意思を表記しておくと、創作物や報道に影響されて(そう思い込んで)、他人に迷惑をかけるのは、バカの極みだと思う。そして、「犯罪を抑制する」目的で表現の自由を奪うのであれば、きちんと筋を通して欲しいです。
4・5 話が できないんです…
サイコーの言うとおり、「PCP」から明知に向けた挑戦状を出すアイデアは、バツグンに面白そうですね!
自分たちの正体を明かすことを条件に出すくらいだから、「PCP」はこれまで以上の真剣さになる。もちろん、それの挑戦を受ける明知も、必死になるでしょう。
──ちょっと引いた視点から見ると、「正体がバレたから──なんなの?」となりますよね。よく考えたら、小学生の仲良しグループが善意のイタズラをしている──だけです。
その「だから何?」と読者に思わせないように描くことが、作者の力量です。
『銀魂』や『SKET DANCE』(師弟コンビ)だと、時々「いったい自分たちは何をしているんだろう」と登場人物たちの冷めた表情を描いておいてから、また「でたらめな戦場」へと戻っていく。あの芸風は、ハマると最高ですよね。
亜城木夢叶の場合は、彼らの持ち味であるシリアスな描写に徹することで、読者を夢から覚めないように熱中させられるはず。
コミカルでもシリアスでも、その時その時で、いったいどちらを描きたいのかをハッキリさせることが肝心です。
しばらく前の『BLEACH』で、目の前にラスボス・中ボスがいるのに主人公がギャグ顔でボケる、という描写がありましたね。あれは、失敗だと思う。
その芸風は、銀時に任せておいたほうが良いのです(銀さんですら、ラスボス戦ではずっとシリアス顔だっけ?)。
問題はラスト…
「まず、結論ありき」で議論をすることは、あまり良い結果を生みません。それは、お互いに論じ合う姿勢を捨てた、単なる押しつけだったりする。
しかし、今回のような創作の場合は別ですね。サイコーのように、途中まで描きながらラストを考えるような方法では、あやふやな話になる。読者も読んでいて、不安や不満を感じるでしょう。
シリーズ物は、ラストから作り 1 話目から 伏線を張って 書いていく
──という服部の言葉には納得しました。
そうなると、ますます思いもよらぬ勝ち方
をするために、挑戦状の内容が重要になってきますね。
カッコイイ ラスト……
サイコーが考えたラストは、夜の教室を ホタルでいっぱいにする
──でした。ロマンチック大好きっ子(成人)のサイコーらしいですね! それに、なかなか面白いアイデアだと思う。
翌日、教室には蛍の亡きがらが大量に──。
シリーズのラストをどう飾るか。難しい問題です。服部の出したアイデアは、ラストが掲載される「ジャンプ」は真夏 発売の号
だから、夏らしいことから 考えてみたら どうだ
、とのこと。
──あれ? 『PCP』の作中の季節と、(『バクマン。』内の)現実世界の季節とは、同じなんでしょうかね。
いままで意識して読んでいませんでしたが、『PCP』は「現実世界と同じ季節でありながら、何度も同じ一年を繰り返す」設定なのかもしれません。連載が長く続いても、主人公たちは同じ年齢なのかも。
そう、まるで『ピューと吹く! ジャガー』の登場人物たちのように……(もちろん、ワザと書いている)。
帰って 自分で考えます
服部が下を向いて「夏っぽい単語」をブツブツ言っている場面は、ちょっとコワイ。または、『ストーンオーシャン』のプッチ神父が唱えた、呪文(?)みたいです。
6 時間も考えて良い案が出ないのは、かなりキツイですね。それに、週刊で連載しているマンガ家が、ほぼ半日を潰したことになる。
こういう時こそ、カヤに意見を聞くと良さそうな気がします。結果的に、今回はカヤの活躍はありませんでした。でも、もうすこしだけ、シュージンはカヤを頼っても良いと思う。
いまは校長だ
シュージンは、自分が通っていた小学校へ来ました。『PCP』の主人公と同じ視点に立ってみるためでしょうか。
小学校の教頭先生を覚えていて、すんなりと学校の見学も許可されているところから、シュージンは小学生のころから成績が優秀だったんでしょうね。教育ママに感謝するべき──かも(『バクマン。 (2)』 p.8)。
卒業生が自由に学校を訪れて、学生たちと交流できる──。そんな世の中になると良いですね。