バクマン。 #133-4 「励みと想い」 荒療治と手柄

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『バクマン。』 133 ページ 「励みと想い」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 25 号)

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(手描きの手の柄──は関係ない)

時事ネタを作品の中に取り入れるのは、作風によって難易度が変わってきます。『SKET DANCE』や『銀魂』なら、何だってネタにできる。しかし、オサレオシャレ系バトルマンガの『BLEACH』あたりだと、現実世界を意識するなんてダサくなります。

最近の『バクマン。』は、「精神的ショックを受けた人と、どう接するか」というテーマを描いてきました。まさに、現代の日本人の心を揺さぶる題材ですね。

心に傷を負った人と接する時には、今回のサイコーのように、まず一人で 考えていても 駄目だと気付く。そして、話し合って相手の気持ちを理解した上で行動する。──この誠実さが、現代人には必要でしょう。

荒療治かも しれないけど

2 人が叫んだ考えは同じだった──という格好いい場面です。少年マンガの王道ですね。──ここで、まったくバラバラの意見でも、それはそれで面白かったと思うけれど。

サイコー:
「テコ入れで 美少女を出す!」
シュージン:
「能力バトル物!」

次回の『PCP』は、模倣犯を 題材にした原作になる──。長い間『バクマン。』を読んできた自分としては、この展開を思いつかなかったことが、けっこう くやしい。

振り返ってみると、いつも亜城木コンビは、相手と真正面から ぶつかっていました。模倣犯とも同じように戦うのは当然のことです。

1 回目は 確かにヘコんだよ

シュージンの鬼気迫る表情がすごい。原作者としてのスイッチが、完全に入っている状態です。話しながらでも、原作のアイデアが頭の中で飛び交っているに違いない。

──とか書きながら、『DEATH NOTE』みたいだと思いましたけどね。『バクマン。』の中で、実際にデスノートを使いそうなのは、(初期の)七峰透くらいかな……。中井巧朗や静河流は、何だかんだ言って臆病だから使わなさそう。


ペンで走り書きして・コンピュータで清書する──という流れは、自分には二度手間に見えます。PC のほうが、追加も削除も簡単にできる。過去に書いたメモの検索も高速で、ファイルの作成・更新日時やキーワードを元にして探し出せます。

自分が手描きするとしたら、マインドマップを使ったアイデア出しくらいでしょうか。

模倣犯が 登場する話か…

『PCP』は、シリアスで現実味があるマンガです。そのため、社会風刺は良いスパイスになる。

今回の話は、作者のシュージン自身が巻き込まれた事件を元にした話は、よりいっそう面白味が出たでしょうね。服部が(文字どおりの)手放しで最高の 出来だと叫ぶなんて、かなり珍しい。

シュージンの苦労が、ようやく報われました。

「仕事上のストレスは、仕事で解消する」という話をよく聞く。今回のシュージンを見ると、その意味がよく分かります。もしも『PCP』の原作とは違うところで気分を晴らしていたら、シュージンの心の奥底には、模倣犯が潜み続けていたでしょう

PCP の仕業になると

久しぶりに PCP のライバル・明知が登場しました。亜城木夢叶の良き競争相手である岩瀬愛子がモデルだったはずなのに──、なんだか新妻エイジのようにも見えます。この 2 大ライバルを合成したキャラクタなのでしょうね(六塚の元は、石沢と見た!)。

サイコーとシュージンは、いつまでもエイジと岩瀬ばかりを意識している──。猫の皮をかぶった狂犬・七峰のように、面と向かって宣戦布告をしてきても、競争相手として力不足だと感じると、すぐに忘れてしまいます。

サイコー:
「タカハマ……? ちょっとビミョーなキャラになってきたぞ」
シュージン:
「エ~!? 高浜昇陽なんて、めちゃくちゃメジャーなキャラじゃないんですかぁ」

参考: 鳥山明とは (トリヤマアキラとは) [単語記事] – ニコニコ大百科

『正義の三肩』は、不調知らずで常に良い順位にいるし、ドラマにもなっている。シュージンがスランプの時には、『三肩』のほうが上位に立っていたはずです。かなりの強敵ですよね!

それでも、亜城木コンビの頭の中には、一瞬たりとも高浜の顔は浮かばなかっただろうなぁ……。