バクマン。 #102-1 「画家と漫画家」 恋太と速筆

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『バクマン。』 102 ページ 「画家と漫画家」 (週刊少年ジャンプ 2010 年 43 号)

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(ラブとピースは──形だけで終わらせないように)

今週号の『バクマン。』は、センタ・カラーでした。

『バクマン。』のカラーページは、アニメの情報とタイトルです。自分の部屋には「電源を含めてコードが何もつながっていないテレビ」という詩的な物体しかないので、アニメは見るとしても DVD 待ちですね……。

タイトルのほうは、「『バクマン。』にありがちなこと」な感じで、サイコーだけが描かれている。

毎週毎週この作品の感想を書いていて、何兆回も「サイコーとシュージンは」とタイプしています。そのワリには、『バクマン。』のビジュアルイメージって、「サイコーだけ」が多い気がする。コミックスの『バクマン。 (1)』と『バクマン。 (8)』などなど──。

コンビを組んでいるのに、仲良く一心同体で描いているのに、孤独を感じる。──今週の話は、サイコーのさみしさが詰まっていましたね。

──というところで、普通の感想サイトなら終わるのでしょうが、ここからが感想の本番だ……。

大分余裕ができてる

白鳥の作品・『恋太 & ピース』に食いつく、服部の気迫を感じます。目はたんなる「丸書いてチョン」なのに……。

──そうそう、上のフレーズで思い出しましたが、服部は、『HUNTER×HUNTER』に出てくるイカルゴみたいですよね。ナニヲイマサラな話だけれど、いまごろ二人を結びつけてしまいました。続きが待ち遠しいなぁ──、冨樫先生ェ・・・。

HUNTER×HUNTER #282『密室』 決心するイカルゴ : 亜細亜ノ蛾

『PCP』は何か月も連載をしているし、当分は打切りもなさそうです。打合せもシュージンがリードするまでになっている。

そのため、服部からすると『PCP』は打合せはマンネリになってきているのでは? そこで、久しぶりに手応えを感じた、シュージンと白鳥との合作ネームに心を引かれている──と見えました。

サイコーには、二重三重に面白くない状況ですね……。

もう 1 作品なんて

サイコーの変顔コレクションに新作が入荷しました。今週号の彼は、ずっとビミョーな表情ばかりしています。パラパラッと今回の『バクマン。』を飛ばし読みした新規の読者には、白鳥が主人公でサイコーが脇役に見えたかも。

いや、もしかして今後は、白鳥が主役に……。

かなり動揺を隠せないサイコーですが、白鳥作品の原作は「PCP」より 面白く するなよな、なんて冗談をシュージンに言っています。それくらいなら、大丈夫かな。──本気度 1200% くらいかもしれないケド。

長い間コンビを組んできたシュージンですが、サイコーの心理は読み切れていません。自分の得意ではないジャンルに挑戦することは、将来的に 亜城木夢叶のためにも なる、という言葉は頼もしいけれども。

この場面を読んだときには、「亜城木の次回作は、ファンタジー色の濃い話」になるのでは──と安直に思いました。

しかし、世間的には「非現実的な話」でくくれるかもしれませんが、ファンタジィと SF は似て非なるカテゴリィです。ファンタジィが混じった SF になるのかも。『ハイドライド 3』みたいな(そこは『FF』じゃないのか)。

このネームを 少し手直しして

白鳥も変顔をしていますね。おそろしい子!

アシスタント業をこなしながら、自分ひとりで20 日 45 ページの完成原稿を仕上げる──。想像しただけでも、過酷ですよね。お坊ちゃま育ちであろう白鳥は、徹夜をしたこともないのでは?

この場面では、服部がワザと白鳥のやる気を見たのだと思います。サイコーとシュージンも、岩瀬も、こうやって根性を試されました。ここで「次の月にします」なんていう人は、服部からも誰からも信頼されないでしょう。

少年時代のサイコーなら、ずっとスミっこでスネていそうです。現在のサイコーは、白鳥を励ます言葉をおくっていますね。彼も成長したもんだ!

審査員との 相性

サイコーのひと言によって、白鳥の作品を審査するのは蒼樹紅だと分かりました。白鳥と蒼樹──似た者同士がここで出会うのか!

本当に、審査員が蒼樹なのはラッキィでした。もしも審査員が福田だったら、『恋太 & ピース』のような作品は、酷評されるかもしれませんね。「バイクが出てこない」とか言って(おいおい)。

話に置いてきぼりのサイコーが悲しいですね。自分だけが予定のある日に友だちたちはキャンプへ行くような、自分の親友と元カノが歩いているところを目撃するみたいな、飼い犬が自分よりも他人になついた的な、──そんな表情のサイコーです。

ちょっと服部の態度もヒドイですよね。「キャンプの日をずらそうか?」「いや、ボクは」「そうか! じゃあ行ってくるわー」みたいな切り替えの速さです。

じゃあ やっちゃいますかと言っているシュージンも、何だか悪人っぽい。

このページのサイコーは、見ていて胸が締めつけられますね……。これは──恋?(いや、「変」)

まず入りだが

サイコーも白鳥のことは気に入っているので、たとえ邪険にされても、ヒガミのない冷静な目で見ています。白鳥にも、マンガ家としての粘り強さを期待していますね。何しろサイコーは、根性なら誰にも負けません!

マンガ家に必要な根性とは、すなわち、仕事に対する誠実さでしょう。締め切りを守り、面白い作品を描き続ける。──ひと言で終わることを、一生やり続けるのはムズカシイ。

爽やかな顔をして帰って行く、白鳥がイイ感じです。白鳥は良い環境に恵まれた上に、自分から動いたところが大きいですね。本気で何かを目指せば、たいていのモノは手に入れられるのです。

──とか何とか耳障りの良いことを書きながら、クッキーをかじってコーヒーを飲んでいる自分でした──。