バクマン。 #134-4 「独走と鈍足」 貢献度とダメ押し

シェアする

『バクマン。』 134 ページ 「独走と鈍足」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 26 号)

Slot Machine
(ダメな目押し──ではない)

『バクマン。』の世界では絶対的な天才である新妻エイジも、まだまだ「一番人気の作家」とは言えないそうです。コミックスの売り上げで一番の作品は、あっちの世界でも『ONE PIECE』でしょう。下の参考サイトを見るまでもなく──。

『ONE PIECE』を抜く作品は、これから何十年も現われない気がします。なにしろ、まだまだ話は続いていく。100 巻までの間で、何十巻分も回想シーンがあったりして……。

──ただ、それは「これまでにコミックスを売り上げた累計」の話であり、「最新コミックスの売れ行き」で考えれば、今 1 番の作家は、エイジかもしれませんね。

いずれにせよ、「新妻エイジは 1 番ではない」と得意げに語れば語るほど──、自分の出世は遠いということに、雄二郎は気がついていない。そこが面白かった。

自分の作品だからこそ

新妻エイジが終わらせたい連載作品は何か──。福田のアシスタントと雄二郎が、好き勝手に話し合っています。人ごとだから笑って話せるけれど、福田真太の作品という可能性もあったりして。

アシスタントの安岡が、自分では とうてい思いつかなかった作品名を挙げています。安岡も冗談で言っているのだとは思うけれど、たしかに「恋愛読切祭」(ラブフェスタ)では、エイジの人生で初の完敗だったからなぁ……。

平丸一也と蒼樹紅は、仲良くリタイアか!?

──いやいや、福田が言うとおり、他人の作品に「権限」を使うほど、エイジの器は小さくありません。だからこそ、自分の連載を自分で終わらせるのでは──という読みは、当たりそうな気がします。ということは、『+NATURAL』か、それとも──。

アニメにもなんないし

亜城木夢叶の仕事場では、『CROW』の話題で持ちきりです。サイコーとシュージンは、いつでもエイジを意識している。

──いろいろと亜城木が お世話になっている福田の作品も、アニメ化したんですけどね……。その件には、まったく触れていない。──まぁ、ただたんに描写がないだけで、福田に御祝いの電話くらいは かけているでしょうね、たぶん……。


スランプやら何やらで、ウヤムヤに なったかと思いましたが、まだ 2 本目の連載を狙っているようですね。

ハッキリ言ってしまえば、シュージン自身には(収入くらいしか)メリットがないのに、シュージンのほうから話を持ち出している。サイコーにとっては、とてもありがたい話です。そのわりには、原作遅れた おかげで──とイヤミっぽい。

シュージンが「邪道バトル」のアイデアを出した時には、心理戦がメインの話を描く予定でした。それなのに、サイコーが描いてきたラフは、バトル・マンガの王道キャラです。なんだかズレていないかい?

──あ、でも、バリバリの戦士タイプや魔道士系・騎士などが登場して、直接は戦わずに『カイジ』のような超・頭脳戦をやったら面白いかも! 「最後はゴリ押しでドン!!!!」なマンガは、もう十分だと思うし。

どうしたんだ 新妻くん

最近のエイジは、なんだか恐かった。その恐さの頂点が、このページです。

作者が同じだけあって、『DEATH NOTE』の天才探偵 L とエイジは、よく似ている。ひと目見て分かるほど言動がヘンなところと、天才的な発想・イス好き──などが共通点です。

ところが、この 2 人には決定的な差がある。

「エイジの考えていること」は、まったく描かれません。L の場合は、現在の思考が すぐに分かったから、まだ理解しやすい人物でした。エイジはモノローグ(独白)がないから、まるで分からない。

人間は、「よく分からないモノ」に恐怖する──。

平丸一也と新妻エイジは、「天才的なマンガ家だけれど変わり者」という点では似ているけれど、性格の分かりやすさでは天と地の差があります。平丸はウソをつけないけれど、エイジは──本心が読めません。

作中の登場人物や読者は、「エイジのことだから、これはこういうことだろう」と勝手に判断しながら、彼の行動を見ている。しかし、本当のところは誰にも分かりません。

これまでに、エイジの奇抜な言動を対人用に キャラ作ってるのか? と疑ったのは、ただ一人・サイコーだけです。もしも本当に、エイジがずっと演技を続けていたのであれば、ものすごい伏線だ!

バクマン。 #22-2 「邪魔と若さ」 おどけるエイジと疑うサイコー : 亜細亜ノ蛾

「エイジは、一人の時もヘンテコじゃないか」というツッコミを受けそうですが──、他人を欺く者は、自分自身をも だますのです。くわしくは『ゴージャス・アイリン』をお読みください(あ、ネタバレか)。

ま… まさか…

今回の話は、ところどころに──不安な要素がちりばめられています。それらはすべて、「エイジが終了させたい作品」につながってくる。

今回の吉田や森屋が言うには、「最後の戦い」かというくらいに、『CROW』は盛り上がっているらしい。そこまでしないと 1 位は取れなかった──ということかもしれませんが、これはもしかすると──、

エイジは『CROW』を終わらせるつもりなのでは?

どうも、最近の展開を読むと、そんな気がしてきます。エイジがずっと不機嫌そうだったのは、自分の愛する作品を切るという、苦渋の選択を決断したからではないか──。

──とはいえ、『PCP』の人気が低下した・エイジが 1 位を目指す・『CROW』を終わらせる──という一連の流れが、まったく つながっていません。

「権限」うんぬんとは関係なく、編集長のところへエイジが来たのは、別の要件かもしれませんね。

エイジ:
「そろそろ 担当者を 2 人とも替えて欲しいんですケド」
編集長:
「分かった そうしよう(即答)」
雄二郎・港浦
「え!!!?」