『バクマン。』 160 ページ 「頑張りと 90 万」 (週刊少年ジャンプ 2012 年 03・04 合併号)
「がんばろう」という かけ声を例年よりも多く聞いた一年でした。自分にも何かできないか考え、柄にもなく社会派な記事を書いています。何年かして過去を振り返った時に、特別な一年になっていそう。
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いまの日本では、「助け合い」という言葉の聞こえ方が変わってしまった。良い意味でも悪い意味でも。しかし、人が人を励ますことに悪意を見いだすことは、とても悲しい。素直に受け止めたほうが良いと思います。
さて、この「がんばって」という応援が、今回の話では影の主役でした。まさか、こんな状況で聞くとは──!
がんばって 話して
好きな人への告白を好きな人から応援されるなんて、なんという新しい励ましなのでしょうか。
ここまで来たら、蒼樹のほうから告白しても良いのでは──と思ってしまいます。でも、それじゃダメだ。あくまでも平丸から告白しないと締まりません。
うつむいてしまった平丸の言葉を真正面から聞き入れるために、ちょっと姿勢を低くしている蒼樹に注目です! まるで幼稚園児に接する保育士さんみたい。こまかい爆萌えポイントが うまいなー。
そう言えば、蒼樹は教師になる可能性もありました。なんだかこの場面は、「ちゃんと謝らなきゃダメだよ……?」と小学生・平丸くんを教育する蒼樹先生みたい。
頭の中真っ白
平丸と蒼樹が乗った観覧車の中は、地上にいる吉田からは見えにくいはずです。よく状況が分かりましたね。
この疑問については、以前に小杉が語っていました。編集者に大事な物は、マンガを 見極める目
です。つまりは、「目が良い人」だからマンガ家カップルの様子も見えたのである!
──まぁ、無理があるよね。
バクマン。 #122-2 「心理戦と決め台詞」 企画ページとユウコリン | 亜細亜ノ蛾
平丸さんを 幸せに
いまだかつて、これほど「男らしい」告白があったでしょうか……!?
僕を… 幸せにして ください
平丸はズボンを下ろしたままな点も思い出しましょう。前回の吉田へのプロポーズとセリフ自体は同じだけれど、破壊力が増しています。
紙芝居のような微笑ましい色恋沙汰ばかりの少年誌で、何をどうやったら こんなにハイレベルな場面を描けるのだろう。
大の男が、下着的な意味でのパンツを見せながら、「幸せにしてください」と告白する──。
これは、『101 回目のプロポーズ』の「僕は死にましぇーん!」や、『いちご100%』の「懸垂(けんすい)告白」と一緒に、「世界 3 大 告白」として語り継ぐべきです!
あと 20 年もしたら、『バクマン。』も『いちご 100%』も舞台になったりして。そうしたら、「世界 3 大 台無し」が完成する。
101回目のプロポーズ、時代劇で舞台化 (1/2ページ) – 芸能 – SANSPO.COM
平丸 やったのか
シルエットだけを見ると、どちらが王子で・どちらが姫か、さっぱり分かりませんね。そして、それは中身も同じであった──。
平丸の気持ちと心を受け入れた上で、私も 幸せにして ください
と返した蒼樹も見事です。そう、片方だけが幸せになっても、それは本当の幸福ではありません。
「結婚して
」という「証言」を平丸の口から言わせた所も大きい。蒼樹が聞き出さなければ、ちゃんとしたプロポーズにならなかった。
とはいえ──、立場は完全に蒼樹が上ですけどね!
1 ページ前を見ると、私と遊園地に来ていて まだ幸せ 足りませんか?
と蒼樹は言っている。そう、お姫様は女王様だったのです──!
しつこいようだけれど、いまだに平丸はベルトが外れたままなので、吉田のやったん だな!
というセリフが別の意味に聞こえてしまう──という人は いませんか!?
もう一周 して いいですか
係員のオッチャン、グッジョブですね! 物わかりの悪いマニュアル型の人間だったら、せっかくのムードも打ち壊しでした。
彼が言う足元に お気を つけて
もどうぞ お幸せ に
も、平丸と蒼樹へ贈る言葉になっている。さりげない演出がニクい。
平丸の予定とは大幅に違ったけれど、2 人を結びつけた場所だから、蒼樹は ゆっくりと観覧車に乗りたかったのでしょう。その乙女心が美しい。