デヴィッド・フィンチャー一覧

『ゴーン・ガール』 円満な夫婦生活・オア・ダイ

ゴーン・ガール』 (Gone Girl)

Punch and Judy パンチとジュディ──彼らが幸せになる道は?

「夫婦愛とは何か」を描いたラヴ・ストーリィです!

5 周目の結婚記念日に、妻が失踪してしまう。
残された夫は妹に協力を求め、妻の行方を追った。真実が明かされた あと、「結婚とは何か」を観客にも問いかける──。

もちろん、それだけでは終わりません!
なにしろ、『ドラゴン・タトゥーの女』を監督したデヴィッド・フィンチャーの作品ですからね! 自分が大好きな『セブン』の監督でも あり、「人間の心の闇」を描かせたら天下一品です。

ホラー映画より怖い恋愛物語でした!
彼女は どこへイってしまったのか──。

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『ソーシャル・ネットワーク』はテンポの良い会話劇が素晴らしい名作!

ソーシャル・ネットワーク (The Social Network)

I Like Facebook 「いいね!」──と言われる人生を

ひとことで言えば、「くだらないことに情熱を燃やす人々のドラマ」です。

──素晴らしい! とるに足らないことでも命を懸けられる生物は、豊かな人間しかいません。つまりは、人生の豊かさを描いた映画でした。

Facebook の立ち上げから急成長を描いたドラマで、関わった中心人物が実名で登場します。この点だけでも興味深いですが、あくまでも創作として描かれていることを お忘れなく!

──まぁ、毎日のように Facebook をチェックしている人も、創業者なんて気にしていないだろうけど……(「Facebook で新ビジネスを!」とガツガツした人以外は)。

監督はデヴィッド・フィンチャーで、自分が一番好きな映画監督です! 『ドラゴン・タトゥーの女』の大ヒットでファンを増やしましたね。

デヴィッド・フィンチャー – Wikipedia

いまから書く感想は「作品のなかの話」について語ります。この点はバクマン。』の感想記事と同じですね。

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ドラゴン・タトゥーの女 – 愚かな男は女で愚かさを増す

『ドラゴン・タトゥーの女』 (The Girl with the Dragon Tattoo)

Dragon Fly ドラゴンは飛び去っても──代わりがいる

タイトルから想像できるように、ブルース・リーの幻の遺作をリメイクしたアクション映画です! 監督はクエンティン・タランティーノで、お得意の多弁すぎるトークと、残虐すぎるバイオレンスが見どころでした。

しがない探偵の元へ、謎の女が仕事を依頼しに来る。彼女に刻まれたタトゥ──そこに隠された秘宝の謎とは? やがて襲い来る悪の組織との闘い! 国中を巻き込んだ紛争の末に、衝撃の結末が! それは──、

──ここまでの話は全部ウソでした!

本当は、自分が大好きなデヴィッド・フィンチャー監督の映画です。彼の作品のなかで一番ふんいきが近いのは、『セブン』や『ゾディアック』でしょう。間違っても『ベンジャミン・バトン』のように ほのぼの路線ではありません。

自分は まったく内容を知らずに劇場へ足へ運んで、「ダニエル・クレイグが主演だし、お気楽なスタイリッシュ・アクション映画だろう」──とノンキに観ていたから、いろんな場面でアゴが外れそうになりました。

ストーリィは「40 年前に失踪した少女の真相を暴く」というミステリィ的な内容ですが、じつは主題は そこにはありません。

この映画の大半は、ヒロインを演じるルーニー・マーラが かわいい! ──という成分で構成されています。だから いっそう、アレな場面で息苦しくなる……。

これから『ドラゴン・タトゥーの女』を観る人は、あまり情報を仕入れずに劇場で観てください。とくに女性の方は、信頼できるパートナと一緒に行きましょう

映画が終わったあとで「誰と一緒に観たかったか」を考えると、ちょっとした「人生の棚卸し」というか友だち選びの手助けになるかも。

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セブン – この悪夢を体験すれば彼を理解した──と思えるのか?

『セブン』 (Se7en)

project 365: day 227
(ハートが奪われるような──赤く染まる「7」)

至高のサスペンス・ホラーです!

この作品は有名すぎて、未見の人はすくないでしょうね。まだこの「究極の悪夢」を体験していない人は、お正月映画にピッタリです!(もう、正月気分も終わっているケド)


主役は 2 人で、退職を目前にひかえた刑事: ウィリアム・サマセット(モーガン・フリーマン)と、血気盛んな若手刑事: デイヴィッド・ミルズ(ブラッド・ピット)との対比が面白い。

この配役なら普通は、サマセットは指導する役に徹して、ミルズを主人公にするはず。2 人とも大スターだけれど、なにより引退が間近の刑事役だし──、フリーマンはシブすぎる。

ところが、監督のデヴィッド・フィンチャー自身が語っているように、「『セブン』はサマセットの物語」なのです。この刑事が、何を見て何を考えるのか──。そこが見どころです。


タイトルになっている『セブン』とは、「七つの大罪」を指している。連続殺人犯が、「大食・強欲・怠惰──」を犯した(と犯人が思い込んでいる)人たちを「罰して」いきます。──過剰すぎるやり方で。

七つの大罪 – Wikipedia

犯人に「裁かれた」被害者たちのグロテスクな姿が、強く強くあとに残る映画です。しかし、もっと忘れられない最悪のできごとが、最後におこるのでした──。

自分の大切な人と一緒に観て、ぜひとも感想を話し合って欲しい映画です。自分が○○だったら、どうするか──と。登場人物が極端にすくなくして、ていねいに描いてある作品なので、感情移入もしやすいです。

でも、相手が「箱の中身はなんだったの?」などと言う──ちょっと抜けた人だったら、むずかしいけれど……。

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ベンジャミン・バトン – 老いていて求めれば若くして豊かな人生

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』 (The Curious Case of Benjamin Button)

Mosaico de Botones - 2007
(似ているようで異なる──かけがえのないボタン)

笑って泣いて楽しめる、大傑作です!

あらすじだけを聞くと、いかにも「お涙ちょうだい」の悲劇のように思える。そして、ラストにはシンミリとして終わります。

しかし、これは「世の中には、かわいそうな人がいるね」という映画ではありません。もしも映画の途中でそう思った人がいたら、ちょっと反省したほうが良いかもしれませんね……。

この映画は、人生を楽しんだ男女の話です。

あらすじは──、ベンジャミン・バトン(ブラッド・ピット)は老人のような姿で生まれ、成長とともに外見は若返っていく。彼は生まれてすぐに父親に老人施設へ捨てられ、クイニー(タラジ・P・ヘンソン)という黒人の女性に育てられる──。

もう、全力で悲劇的に描いて来そうでしょ?

ところが、ベンジャミンの姿──普通の赤ん坊と同じ大きさなのにシワだらけの全身と顔を見た、老人施設で介護を受けている老女は、驚くでもなくこう言います。

ウソみたい。──死んだ主人にそっくりだわ!

この場面は、声を出して笑いましたね。強えェー! おばあちゃん、強いなー!! そう、舞台は老人たちが静かに最期を求める場所です。酸いも甘いもかみ砕いて飲み込んだ人たちばかりいる。いまさら、恐れるモノなどないッ!

たぶん、世間的な評価は、悲劇的になっていく後半部分に集中していると思います。でも、自分にはすくすくと成長していくベンジャミンを描いた、喜劇的な前半が最高に面白い。167 分間もある映画ですが、もっと長く観たかった。

ベンジャミンが生まれてから十数年が過ぎて、「やや若返った老人」の姿で出会った、ある少女・デイジー(ケイト・ブランシェット)が登場してからは、一段と話が深まっていきます。

恋をしたくなる映画でしたね。

ここからは、より詳しく映画の感想と、最後に自分が立てた「ある仮説」を紹介します。自分はもう、「普通に面白かったかどうかを 5 段階で評価する」みたいな感想ではなく、「オレオレ解釈」を楽しむ領域に来ている……。

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