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『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.2 「霧の中の攻防」

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(未知なる味の探求は──また今度に しよう)

コミックスの最初に描かれているイラストには、本編にも表紙にも無関係な、幼い女の子が登場します。容器に入ったプリンらしき物を食べているだけなのに──なんだかグロテスクに見える。『レベルE』を思わせる ふんいきです。

ハンター試験の不気味さを感じさせる──。

ページをめくると、リアルなタッチで描いたサトツ試験官が現れました! 「サトツには口があるのかどうか問題」の答えが得られる貴重な絵です。ありがたやー!

ほかの試験官や受験生のリアルな絵も見られて、「単行本では毎回おまけが あるのだな」と──この時は信じていました。信じるのは勝手だ。

No.009 「霧の中の攻防」

トランプ・カードで首の頸動脈や頭蓋骨を切るなんて芸当は、普通に考えればムリが ありすぎる。「奇術師に 不可能は ないの」とヒソカは言うけれど、何か「手品の種」があるのでは?

じつは、そのとおりトリックがあった──。

このように「あとあと解ける謎」と「その場のノリ」が混ざり合っていて、なかなかスリリングなバランスです。作者も どこまで考えているのか分からない。罪作りなマンガですね。

かなり表情が豊かなヒソカは、場面によって骨格レベルで顔が違って見える。作者も探りながら描いているのでしょう。ハンサムと変顔の間で揺れ動きながらも、だんだんと耽美な方向へ向かったのは良かったですね。


クラピカでさえもヒソカから逃げ出したのに、レオリオは戻ってきました。これは「レオリオのほうが勇敢だ」と見ることもできるけれど、どちらかと言えば無鉄砲なだけだと思う。

結果的には逃げた人間のほうが命を奪われた(次回・No.010)けれど、この段階では姿を消すほうが利口です。利口なだけでは生き残れないのも事実だけど。

ヒソカに一撃を食らわせたあとの、ゴンの表情に注目です。恐怖で顔が固まっているため、おもしろいくらいに「同じ顔」をしている。ヒソカの表情がコロコロと変わっていることとは対照的ですね。

くじら島の森に棲む猛獣たちよりも、奇妙で 底の知れない “生き物”と出会った。そのゴンの恐怖心が伝わってきます。

No.010 「意外な課題」

自分が小学生のころは、ハムスター並の頭脳しかなく、野良犬のようなマナー知らずでした。そんな自分とは比べものにならないほど、ゴンは礼儀正しくて賢い。

そんな「お利口さん」のゴンは、こんなことを言う。

殺されるかも しれない極限の 状態なのにさ

変だよね?

オレ あの時 少しワクワク してたんだ

幽☆遊☆白書』の浦飯幽助のような「バトル・マニア」を思わせるセリフです。やはり『H×H』も本格的なバトル・マンガになっていくのか──と予感させる。しかし、それは また先の話です。

試験官ごっこの対象にクラピカも含まれていたはずなのに、ヒソカが彼を審査する場面は なかった。これには疑問が残ります。ヒソカがレオリオを担いでいたからなのか、審査するまでもなく合格なのか、ちょっと気になりました。


命懸けの化かし合いを くぐり抜けたあとに、「奇妙な騒音が聞こえている建物」なんて、想像するだけで恐ろしい。受験生たちは建物の方向ばかりを気にしていますが、そう思わせて背後から──などと考えてしまう。

そんな緊張感を根こそぎ持って行ったのは、「腕のキズ以外は 無事のようだな」というクラピカのセリフでした。「うむ」じゃねェっつーの!

けっして顔の作り(の良し悪し)でクラピカは人を判断しないことが、この場面で よく分かりましたね! このことは遠い将来に重要になってくる(?)ので、心して覚えておきましょう。


ヒロイン不在のまま突っ走っている本作品で、美食ハンター・メンチ胸囲と存在は大きい!

この話では性格までは分からないけれど、まずは容姿が良いですよね。たんなる「かわいい女の子」で終わらずに、パンチの効いた髪型と衣装が目に楽しい。マンガ的でありながら現実味もあって、コスプレにピッタリですね!

No.011 「当然の結果」

「真顔でボケる」クラピカの立ち位置が固まってきました! 試験官・ブハラの食欲と胃袋の異常さに、クラピカは真面目に苦悩している。たしかに妙だ。

この物理法則を無視したようなブハラの腹も、あとで登場する「アレ」の力で説明できる──のかなぁ……。


この回からメンチが動き回ります。動きが付くと彼女の魅力が引き出される! もっと動いてもらって、いろんな角度から描いて欲しいですね!

おもしろいことに、読者には「かわいらしい お姉さん」としか見えないけれど、受験生は誰も彼女を色目で見ていません。そして「スシを作れ」という のどかな課題に対しても、心の底から真剣に悩んでいる。

これまでの試験で十分に地獄を見てきたから、メンチも鬼か悪魔の一匹として目に映っているのかもしれません。課題だって本気で取りかからなければ、ここまで命をつないできた意味が なくなる。

これがヘタな作家だったら、メンチが出てきた時点でデレッとした空気にして、スシと聞いた瞬間に「なんだそりゃー!」とダラケてしまうでしょう。台なしだ。

本職のギャグ担当であるハンゾーは笑いを取りに行っていますが、彼が出てくるまではシリアスな描写だから笑いが生きてくる。この「ムードの切り替え」が笑えるのです。さすがに冨樫先生はツボを外さない。


この世界ではマイナな料理であるスシを作らせるなんて、かなりムチャな試験のように思えます。しかし、クラピカの知識と考察によって、ギリギリ解ける課題だと読者にも分かる。

クラピカは論理的な考えには優れているけれど、その利点を根本から打ち壊す絶望的なセンスのなさの持ち主です。家事が得意そうなのに、彼には主夫はムリそうですね。レオリオ、残念!(?)

ところで、川魚を生で何匹も食べるなんて、かなり危険な行為です。後日、メンチは(※お下品なので※)ンチが(※削除されました※)だったのでは……。それもブハラの胃袋と同じように、「アレ」を上手に使えば大丈夫なのかな?

No.012 「会長参上」

冒頭から衝撃の連続です。「二次試験 後半の 料理審査 合格者は 0!!」にも驚いたし、こんなに序盤の試験でハンター協会の会長が登場するとは思わなかった。

しかし、それよりも「この丸っこい人物は何者なのだ!?」というほうが、衝撃度が大きかったりして。しかも彼(?)の名前は、なんと No.319 になるまで明かされないのであった──。

HUNTER×HUNTER #319 「抽選」 つわものどもが夢の跡継ぎ | 亜細亜ノ蛾


メンチのこの言葉は重要です。

武芸なんて ハンターやって たら いやでも 身につくのよ

あたしが 知りたいのは 未知のものに 挑戦する気概 なのよ !!

H×H』の世界におけるハンターの存在する意味が、この短いセリフのなかに込められている。つまりハンターとは、単純なファイタやバトラ(戦う者)ではない。

「たんなるバトル・マンガにはしないぞ」という作者からのメッセージだと受け取りました。おそらく、大きくは外していないと思う。


ついにネテロ会長が試験に顔を見せる! 「つかみはバッチリ!」といった感じの、ド派手な登場シーンです。

自分のことをトラブル処理係なんて謙遜しているけれど、飛行船からの飛び降りとメンチの緊張で、とんでもない実力者だと一瞬で受験生と読者に理解させる。たぶん、ネテロ自身も その効果も狙った登場方法を選んだのでしょうね。

ところが、大半の受験生とメンチがビビりまくっているなか、当のネテロは「チチ でけーな」などと思っている。表面上は「厳しい爺さん」みたいな感じなのに、中身は違うのか──と数文字で分かります。

たとえば、この場面でネテロの内心が分からなかったら、まるで印象が違ってくる。「会長は恐い」で終わっていた。マンガでしか表現できない光を見せてくれる作者です。素晴らしい!


クモワシの卵を取ってくる試験は、なによりシンプルで分かりやすいし、絵的にも見栄えが良いし、おまけに受験生まで味わえる。どうして こちらの試験を先に考えつかなかったのか、不思議なくらいです。

試験に落ちた受験生も、悔しさ半分・すがすがしさ半分で帰ったに違いない。「こちとら これに命 かけてんのよね」と(大きな)胸を張るメンチも さわやかで良かった。

このさわやかな空気は、いつまで続くのだろうか──。

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