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『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.5 「ジン・フリークス」

Lego bonesいつかその姿になっても──野性的に行こうぜ!

ついにハンター試験が終わりました! ハンター協会にはゴンの父親が待っていて、連載自体も「今まで声援をありがとうございました」──とはならずに、すぐさま次の展開へつないでいます。

コミックスの 5 巻は、「友だちとは・家族とは何か」がテーマだと感じました。そして どちらが重要なのかを考えさせられる。

人と人との関係とは、一種の幻想や物語だと思いますが、けっして語り尽くすことは ありません。いつでも頭の片隅には置いておきたい。

この人生の一大テーマを描くために、主人公のゴンではなくキルアに焦点を合わせたことが面白いですね。友人の闇を描くことで、主役の光が強調されている。

「いやいや、アンケートでキルアが ぶっちぎりだっただけちゃうかー」とか思った──なんて人はいませんか!?(いつもの責任転嫁)

No.036 「光と闇 2」

家族を刺して家出した息子を、母親が泣いて喜ぶという──。キルアの家庭環境が異常であることを、効果的に 1 ページで描いている。残酷な分かりやすさですね。

次男・ミルキの存在は まだ謎ですが、目の前にいるギタラクル──「兄貴」も見るからに謎めいた人物です。母を刺した弟のことを どう考えているのか、表情からも言葉からも読めない。

ギタラクルは感情をなくした人間に見えるけれど、キルアは違う。ゴンと話している時のキルアは、年相応の少年に見えました。

熱をもたない 闇人形として親兄弟に育てられる(つくられる)なんて、自分だったら どんな思いがするだろう。今とは世界が違って見えるはず。キルアの家庭では、代々そうやって教育されているのでしょうか。

キルアがゴンの命を奪おうとするなんて、これまでの経緯からすると信じられません。しかし、たんたんと語る「兄貴」の言葉に強く反論できないキルアを見ると、もしかして──と思わされてしまう。それだけの魔力を感じます。


そこへ威勢良く割り込んでくるレオリオが良かった! 天職がイチャモン付けの彼は、「兄貴」ではなくキルアに怒鳴っている。まったく相手にしないことで、逆に気を引く高等テクニックですね。

とっくに お前ら友達同士 だろーがよ」と言い切れる人物は、レオリオのほかには いません。いくらクラピカがゴンやキルアのことを思っていても、こんなに気持ちよく断言できないと思う。

しかし、その言葉が事態を悪化させるのであった──。


ついさっきゴンの腕を折ったハンゾーまでもが、ギタラクルを止めようとしています。そのとなりには、ハンゾーにブチ切れていたレオリオとクラピカがいる。

少年マンガで よく見る「昨日の敵は今日の友」ですが、変わり身が早すぎだろ! と言いたくなります。くっつきやすいようにハンゾーが腕を折ったことなど、2 人は知らないはずですけどね。

考えてみれば不思議な光景ですが、まったく自然に見えるのは、それだけギタラクルが憎らしい存在として描けているからです。

「キルアくんも可愛いけれど、ギタラクルさんも格好いいな(はぁと)」なんて前巻まで思っていた女子は、今回の話を読んで どう思ったでしょうね? 「ギタ×キル……これはこれで……(ごくり……)」──とか?

個人的にはカゲのある人が大好きで、さらに創作の世界ではイカレた人物が大好物です。だからギタラクル兄貴の「兄弟愛」にはシビレたなぁ……! 「ヒソ×ギタ……これはこr(ry」──とは思わなかったけれど。


あくまでもハンター試験のルールに従った上で、ギタラクルはムチャをしようとする。彼のことをネテロは どう見ていたのだろう? 「ふん ヒヨッコが」と思っているのかな。

試験の合格したあとであれば、試験官や会員どころか会長を消しても資格が取り消されない。──この(ムチャクチャな)ルールだけを見ると冷酷非情な集団かと思われがちですが、それは歴代の会長たちが本当に望んだ姿ではないでしょう。

そもそも上のルールは、資格の有効性を示しているだけです。おそらく、本当に会長の命が奪われたら、協会全体で犯人を捕まえるでしょう。資格を取り消さないというだけです。


ゴンを救うために兄と戦うかどうか。その二択を迫られて答えを出した時点で、キルアの心は何割かが暗い闇へ沈んでしまった。明るく楽しそうにゴンと話していた彼が、本当に闇人形となったかのような表情をしている。

こんな悲しい操り人形を育てることが、本当に家族の希望なのだろうか。ギタラクルが 1 人で言っていることではないか──とも疑える。

それはそれとして、何の意味もなく失われたボドロの人生とは、いったい なんだったんだろう……。

たぶん、作中では いっさい描かれていませんが、キルアは毎日のようにボドロのことを懺悔したり、家族に謝ったりしているんですよね!

冨樫先生
「いや、ネテロとキャラがカブってたから消しました」

No.037 「光と闇 3」

一番前の席に座っている優等生ギタラクルが笑える。ヒソカのとなりに座らなかったのは、レオリオに席を取られたからでしょうか。

──あきらかに p.25 とは座り位置が変わってますけどね! (一番前はポックル 1 人だった)

まっすぐにギタラクルのところへゴンは向かって行ったけれど、長髪の姿は初めて見たはずです。なぜゴンは すぐに分かったのか。ほかに該当者がいないし、サトツから特徴を聞いたのでしょうね。


ギタラクルを片腕で振り回すゴンが格好良かった! 「そんなことも わからない の?」の あきれた表情も素晴らしい。

試験の前半までは、お行儀の良い お坊ちゃまタイプかと思われたゴンは、だんだんと怪物じみてきました。友だちのために心の底からゴンは怒れる。そして普段以上の力を出した。

その人を 知りたければ その人が 何に対して怒りを 感じるかを知れ」という言葉をあらためて思い出します。

HUNTER×HUNTER 1 巻 「出発の日」 1 - 少年よ、大海へ挑め | 亜細亜ノ蛾

この場面でヒソカが何を考えていたのか、あれこれと想像することも楽しい。

「(ギタラクル)とは仲間だし、でもゴンの成長も楽しみだし、どちらを味方したものか」──といった「普通の思考回路」なんてヒソカは持っていません。

どんな展開が一番面白いか、どうやって果実を食べ尽くすか、そんなことで頭がいっぱいのはず。


ネテロ会長に声をかけられて振り返るゴンとギタラクルは、まるで「仲良しカップル」みたいで笑えます。キョトンとした 2 人の顔が可愛らしい。

──よく見るとゴンとギタラクルは髪の毛の生え際がそっくりで、まさかの兄弟疑惑が発覚かも!? それを言い出したら、レオリオも入れなきゃダメか。

レオリオとクラピカがキルアをかばうことは当然の流れですが、レオリオの反論は弱すぎる。相手が居酒屋のオヤジか何かだったら、このすくない足がかりから断崖絶壁を登って論破する彼ですが、ネテロのほうが何枚も上手だった。


ギタラクルを失格にさせる良い手があります。

キルアとの試合中に彼は抜け出そうとしました。この時点で完全に試験の放棄である上に、試験官に手も出している。この点を責めるべきでしたね。

最終的にハンゾーまで加わった議論という名の言い争いは、「どうだって いいんだ そんなこと」とゴンが一刀両断する。じつに力強い! 人生の先輩であろうポックルが小物に見えます。

その間、ずっと腕を握られていたギタラクルも不気味でした。痛みを感じていないのだろうか? 顔や体中に針を刺しているくらいだし。

不気味と言えば、いまだに名前が不明な 3 頭身の彼(?)も異様です。意図的にイーカゲンな線で描いてある点も気になる。「ゆるキャラ」的なマスコットキャラにする──といった気もなかったようです。

No.038 「ジン・フリークス」

新人ハンターたちをネテロ会長は、「商売敵」と表現している。これは面白い。

これまでに見たなかでも、美食ハンターや遺跡ハンターなど、さまざまな種類のハンターが登場しました。それぞれのハンター同士で獲物がカブるとは思えません。

つまりネテロは、「新人たちをライバルとして認めた」と言いたかったわけです。ハンターという職業に夢を持って受験した者には、何よりも心強い励ましですね。

ところがゴンは、誇らしげな表情も浮かれた様子もなく、もう旅立つことを考えている。自分の父親に一歩近づいたのに、そんな私的な目標よりも友だちを優先しています。この迷いのなさと決断の早さが彼の武器ですね。

決断とは、何をするか決めることではなく、何を断つか決めることである。


緊張感のあるヒソカとギタラクルの関係は興味深い。なんだか昔からの知り合いのように見えましたが、短いつきあいとは意外です。同じレベルで話せる相手がすくないから、お互いに貴重な存在だと感じているでしょうね。

対してゴンやレオリオは、誰とでも すぐに友だちになれます。すでに知人や友人が多いでしょう。それだけに 1 人 1 人との関係は薄くなる。

雲隠流上忍でありながら隠れても忍んでもいないハンゾー(こと半蔵)や、やんわりとクラピカに相談を断わられたポックルと連絡先を交換しているけれど、今後の彼らとの交流は ないでしょう。

また、ヒソカとギタラクルとの結びつきは、すくなくともゴンは知らないと思われる。どうも そのことが、あとあとになって致命的な問題になってきそうな──そんな気がしました。


ホームコード」や「電脳ページ」は、2012 年の現在では古臭く見えます。とくにパソコンのモニタが CRT な点は懐かしい。「顔」に厚みのあるほうが、擬人化に向いていますけどね。

ただし、ポックルが操作している機器はタッチ・デバイスで現代風です。個人が持つ機器としては、20 世紀には珍しかったのでは? まさか携帯電話にまで適用されるとは思わなかったなぁ。


今回の試験官のなかでも、サトツは別格の扱いですね。できればメンチも同じように、いやもっと深く描写して欲しかったな……!

サトツの あこがれる遺跡ハンターこそが、ゴンの父親であるジンだった。この年の試験官がサトツであり、たまたまゴンの看病をしたことに運命を感じます。カードがゴンの手元に届いたことも奇跡ですね。

いい人そうに思えるサトツですが、「ハンター試験が まだ 終わって いない」という発言を聞いて、なぜか彼が悪者に見えました。

連載の当時は、「サトツが黒幕か!?」と思ったり(何の黒幕?)、ページを めくると「真のハンター試験」として『バトル・ロワイアル』みたいな展開が待っているのでは──と恐い思いをしました。

冨樫義博先生の たぐいまれなる表現力によって拡大したサトツの絵(コピーとも言う)は、まるでトランプの絵柄みたいです。サトツのデザインの元は、トランプ・カードのキングあたりかもしれませんね。


デタラメに切り貼りされたような世界地図によると、現在地とククルーマウンテンは意外と近い。日本らしき場所も となりだから、受験生たちがスシを知らなかったことは、ちょっと不自然ですね。

ただ、われわれも お隣の国のことを ほとんど知らないから、当然と言えば当然なのかな。

ハンター協会からククルーマウンテンまで飛行船で 3 日間もかかるのは、よく考えると異常です。この距離でも数日間の旅が必要な移動手段しかない世界なのでしょうか。それとも、地球の何倍もある星なのかな?


電脳ページ上で情報交換を禁止されている人物なんて、まるで初音ミクさんですね!!!1 ──というネタも、今は昔だよなぁ……。

まさか こんなにも良好な(ズブズブな)関係になるなんて、陰謀説の論者たちは想像できなかったはず。

あと、ヒソカとの対決中についた ほほの傷のせいで、クラピカが「グレた子」みたいでワロタ。

No.039 「侵入者」

暗殺を稼業としている家に乗り込むのだから、レオリオとクラピカのように慎重になって当たり前です。ゴンは ノンキすぎる。

ところが、地元の肝っ玉母さんからすると、開口一番が「観光かい?」ですからね。ゆるいなー。

暗殺一家も「観光資源」にする点や、街並みの風景からすると、キルアの故郷であるデントラ地区は のどかで豊かな商魂たくましい土地なのでしょうね。

そんな環境から、どうしてゾルディック家が生まれたのだろう? まだその背景は明かされていませんが、なんとなく「社会の必要悪」的な存在なのかな──と想像しました。


バスガイドは「脚がグンバツの女」ですね! 頭身は低いのに、異常に足が長い。鳥山明さんが好んで描きそうなタイプです。八百屋のカーチャンと絵柄が違いすぎる。

ククルーマウンテンへ向かう途中の曲がりくねった道路は、もっとずっと先で見ることになるので、良く覚えておきましょうね。──そうか、こんなに早く登場していたのか……。


ゴミ箱に捨てられた名もなき挑戦者は哀れすぎる。こんな人生の幕引きは最悪だな……。

そして服を着たままの「エサ」を肉だけ食べたミケは、どんだけ器用なんだ。とても単純な「番犬」とは思えません。

いちおう書いておくと、今回のサブタイトルは映画『イージー・ライダー』のサントラで有名な『Born To Be Wild』をひねっています。

元ネタは「ワイルドで行こう」で、この記事は「骨になった野郎」くらいの意味かな。絶対に「まつがった」英語だと思うけれど。


自動的に閉まる「試しの門」の構造からすると、たとえ開けられても中に入る時が危険ですね。ちょっと気を抜くと腕を持って行かれそう。

それよりなにより、16 トンのドアをキルアが開けた時には、地面にも何割かの力が働いたはず(正確な計算は宿題です)。頑丈な地面ですねー。

エネルギー保存の法則」の法則は、マンガ界では最大のタブーです。この法則 1 つを完全に守らせるだけで、あらゆるマンガを台なしにしてしまう。

キルアの腕力を実現させるためには、どれだけの筋肉が必要か。ブハラが食べた焼き豚は、どこへ消えたのだろう。──考えては いけない。

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