HUNTER×HUNTER No.268『王。』 (週刊少年ジャンプ 2007 年 52 号)
今回は、前半部分が非常に静かで、後半部分は激しい話でした。
前回までの、コンマ何秒単位で進行してきた話と比べて、とくに前半部の静けさが際だっています。この、話の緩急の付け方も見事です。これから始まるであろう死闘を予感させる、不気味さも感じました。
どこかの誰かさんが描く、
「余裕カマしてないで、さっさと朽木隊長の"頭"を支配しろよ! "愛"(アモール)野郎!」
という、小学生でもツッコミそうなマンガとは、比べるまでもないですね。
ネフェルピトーが見た、王の表情はどんなものだったのか──。そして、ゼノ・ネテロは王の姿を見て、どう思ったのか──。
ネフェルピトーが見たモノは
ピトーが王の元に到着し、ネテロ・ゼノ、そしてコムギを入れて、一部屋で 5 人(3 人と 2 匹)いるという、突入前には誰も(もちろん読者も)想像できなかった状況で、さらに王は予想も付かない行動を起こします。
いままでも その気配はありましたが、完全に王はコムギに対して愛情を持っていますね。軍儀の実力、そして彼女の生き方に対して、尊敬の念を持ったところから始まり、まさか ここまでの感情を持つことになるとは──。
しかし、今のところ、その愛情はコムギに対してだけ、なのかもしれません。王からすれば、「曲者(くせもの)」の二人は、やはり他の人間と同じ「レアモノ」としか見ていないのかも……。
ところで、ピトーが「歓喜で満ち 震えている」、そして泣いているのは、王の「頼んだぞ」の ひと言に対して、だと思います。いままで、王が護衛軍に命令することはあっても、頼み事をすることは なかったですからね。
ひょっとして、読者の中には、「王が慈愛に目覚めたから、ピトーが感動した」と思った人もいるのでは? そういうポジティブシンキングな人、または最近のジャンプでしかハンターを読んでいない人は、コミックを読み直しましょう。「アレはもう要らない」とか──。
モントゥトゥユピーと討伐軍
後半、ユピーが、討伐軍を向かい撃とうとしている容姿に注目。いよいよ、元の姿を思い出すのが難しくなるくらい、異様な形態になっています。
この戦い、収拾が付くのかな──。いまのユピーに死角は無くなっているし、オーラも底なしだし、腕力も桁外れだし──。どこにも討伐軍が勝てる要因が無いような。
ゴン・キルアの姿が見えないのは、階下のほうに向かい、ピトーを探すためでしょうか。モラウも階上に向かい、このままシャウアプフと対峙しそう。
はたして、脚を負傷したシュートと、ナックルだけで、ユピーが倒せるのか……。
ラストでナックルが一撃を入れていますが、あまり効果は無さそうに思います(「ハコワレ」の一撃は、相手にダメージを与えないことを思いだそう)。ユピーを「トばす」ことも難しそう。それに、消えたまま何度も殴っていたら、そのうちユピーが手当たり次第に攻撃しそうで、そうなるとナックルは近づくこともできなくなりますよね。
なんか、このユピー戦が一番「手詰まり」に見えるのですが、でも──冨樫先生なら! なんとかしてくれるはず……!
(いきなり援軍がやってくる、とか、「オレ達の戦いは始まったばかりだ!」とか言って終わるのだけは勘弁な!)
次回への疑問
コムギはピトーの「玩具修理者(ドクターブライス)」で直るのか?
ゴン・キルアが、いまのピトーを見たら、どう思うのか?
ネテロ・ゼノは王を倒せるのか?(「倒す」の定義は?)
そして、王は、このあと どう生きたいのか──。