『HUNTER×HUNTER』 No.355 「爆破」
大規模な戦闘が描かれました。
一か所に参戦した人数だけで言えば『HUNTER×HUNTER』史上で最大です。ただし、「戦闘」と呼ぶには一方的すぎる。いわゆる『無双』ゲーのような大量殺害です(ゲームでは ゆる~い表現だが)。
ヒソカもクロロも過去に何人も殺害している。
二人とも指名手配されています。それなのに天空闘技場でフロア・マスターにまで なれました。ヒソカに至ってはハンター協会までノコノコ選挙に出向いている。
この世界の治安は どうなっているのだろう?
爆発的な推理力
前回までの「答え合わせ」が語られます。
「番いの破壊者」が持つ死後 強まる念
に よって人形が消えない。そこまでは予想どおりです。
しかし、「サン アンド ムーン」が左手のみでも発動可能
とは見抜けなかった。いまは小休止中とは言え、戦闘中に相手の戦略を読み切る。
ヒソカ・モロの強みは この「思考の瞬発力」です!
責任感
ついに解説子ちゃんに魔の手が伸びる……!?
実況の女性がクロロに操られたのかと最初は勘違いしました。たしかに実況者を操作すれば いつでも人形に命令を出せる。ただ、それほど頻繁に命令を下す必要は ありません。
実際には、司会者のヘッド・セットをクロロが借りただけです。マイクの部分が見えなかったから、「ヘッドフォンを奪った」ことと「マイクで話した」ことが結びつかなかった。
さらに、解説ちゃんは謝罪しています。
彼女が言ったわけでもないのに「実況中に偏向的な発言が ありました
」と瞬時に謝っているる。自身のアナウンスが観客の生死を左右するからです。
どこかの国の政治家も見習って欲しいですね!
(人間が何人もミンチにされている状況で「撃退!!! 撃退!!! げ撃退たァ~い!!!
」は不謹慎すぎる けれども。あと、「人間ハンマー
」の命名は解説ちゃんなんだよな。ヒソカが気に入って使っている・笑)
意思なき殺意
200を超える観客
たちがヒソカに襲いかかる!
ヒソカ一人に対してクロロは どれだけの念をつぎ込むのだろう……。それくらいヒソカが強敵だという証拠です。
不自然に観客の白髪率が高いけれど、冨樫 義博先生が全員を描いているのでしょうか。それとも奥さまの武内 直子氏も手伝ったのかな。よーく見たら『美少女戦士セーラームーン』のキャラも混じっていたりして。
歓喜の狂気
ヒソカは悪鬼の表情で人形たちを迎え撃つ!
ここまで すさまじい顔を見せたヒソカは、ハンター試験以来では? (『HUNTER×HUNTER 4』収録)
「人間ハンマー」は現在のヒソカの顔くらいに凶悪です。
「伸縮自在の愛」で5人くらいを束ねている。300-400kgくらいの重量は あるはず。バンジー ガムの粘着力に上限は無いのか。それ以前にヒソカの腕力がスゴい!
突然の負傷
ついにヒソカは致命傷を負う!
片手の指が吹き飛ばされてもマチなら治療できる──とも限りません。
まず、現在のヒソカとマチとの関係が分からない。クロロ・ルシルフルとの死闘を願うヒソカに、マチが有効的とは思えません。ただ──、「団員同士」という関係のほかに、「男女関係」が絡むと分からない。
また、マチの「念糸縫合」(ネンシほうごう)には限界が あります。「ちぎれた腕をくっつける」程度は可能でした。ところが今回は指が爆発で吹き飛んでいる。
これは完全な治療が不可能では……。
今後のヒソカは どうなるのか?
片手のハンディキャップを押し切ってクロロに勝利したとする。しかし、通常の方法では指は戻らないでしょう。片手のままで次の標的を探すのか──。
念能力で治療するか義手を付けることが考えられます。
念で治すとすると、かなりの実力者が必要でしょう。これまでの物語では相当する人物はアルカ・ゾルディック(ナニカ)くらいです。しかし、アルカが──というかキルアが協力するだろうか?
一方で義手はヒソカに似合う気が します。奇術師ならではのトリックを仕込める。案外、新たなヒソカの魅力を引き出せるかも。吹き飛んだのが(おそらく利き手ではない)左手──という点も気になる。
指示の行き先
クロロは どうやってヒソカの手を爆破したのか?
「携帯する他人の運命」で誰かを操っていることは たしかです。ただ、電話で話している描写は意図が不明でした。「ブラック ボイス」は音声でも命令が できるのだろうか?
そもそも今回の攻撃が「番いの破壊者」とは限らない。
別の念能力という可能性も ある。「サン アンド ムーン」の爆発力を増すには何秒間か刻印を押し続ける必要が あります。ヒソカが武器にしている「首」をそんなに長時間も持てるだろうか?
ほかの念能力者──つまりは幻影旅団の団員が参戦している可能性も考えました。ただ、あれだけ手の内を明かした団長に協力者がいたり ほかの能力を使うだろうか? 赤の他人である観客をを巻き込んでいる時点で小悪党だけれど。
おわりに
ヒソカは「周」などの言葉を使いません。
「全体をオーラで纏わないと脆い
」と表現しています。昔の できごとを忘れた読者や新規の方への配慮──だけが理由では ないでしょう。
「シュウ」といった用語は心源流だけの独自な語句なのかも。創始者のアイザック・ネテロが弟子たちに伝える際に分かりやすい言葉を考えたのでしょう。
このことからも、ヒソカは自分ひとりで念能力を習得して鍛え上げたことが うかがえる。もちろん、いままで倒してきた相手から技を盗み取ったことも多かったはず。
題名は「鑿と言えば槌
」から借りました。
鑿(のみ)と蚤(のみ)をかけたわけです。ヒソカに してみれば、槌(つち)に使った人間よりもノミのほうが厄介かも しれない。人がノミのようだ!
コミックス第33巻に2016年6月3日に発売!