『バクマン。』 73 ページ 「縁と星」 (週刊少年ジャンプ 2010 年 11 号)
今回の感想の範囲でも、見吉のお父さんが出てきます。というか、今週は「見吉パパの回」と言ってもいいくらいでした。なにしろ、組手したい
と書いて「かたりたい」と読ませる、渋いオヤジです!
──たぶん、来週からはもう出てこなくなりそうですケド(真城家のおじいちゃんと同じく)……。
おそらく、作者の 2 人は、こういう「オヤジキャラ」が描きたいのでしょう。佐々木編集長あたりを見ると、なんだかいつもイキイキと描かれている気がします。少年誌である以上、少年少女たちが話の中心になるのですが、「たまにはオッチャンが描きたい!」と思うのでしょう。
主人公コンビが不在のまま話が進むことが多くなってきたので、いつか、「30 歳以上の人物だけが出る回」がありそうですね(そうか?)。『BLEACH』には、そんな話がたくさんあるはず(ヒント: 死神たちの年齢)。
大きくなったな
サイコーもシュージンも、いつも自転車をこいでいる。──そんなイメージを自分は持っています。マンガ家というオシゴトが「自転車操業」である、という暗示なのかも(ウマいこと言った、みたいな顔で)。
見吉家に到着したサイコーを待っていたのが、まだガチガチに固まっているシュージンたちでした。そんなカチコチのシュージンですが、なんとなく、もう家族の一員としてなじんでいるようにも見える。思えばシュージンは、誰とでもすぐに打ち解けていましたね。「人見知り」のサイコーとは大違いです。
川口たろうの葬式の時に、見吉のお父さんはサイコーと会っていたとのこと。亡くなった親友と同じ道を歩む甥っ子を見たワリには、お父さんは軽くアイサツをしています。サイコーの顔を見て感慨深い物があるとは思いますが、妻と娘の前だからガマンしているのかもしれませんね。
プロのマンガ家 なので
自称・文化系のサイコーですが、超・体育会系の見吉パパに対してキッチリと物を言っています。これは良いですね!
マンガ家の命である右手だけは死守する──あれ? 大昔に、冬の公園でそんなことを思っている人がいたような……。気のせいですかね?
自分の場合、一コマ一コマをゆっくりと消化しながら読んでいます。ファミレスで 組手
のコマを読んで、本当に悩みました。「……? 見吉パパが持っている不動産のひとつなのか?」などと……。
親友でもあり 恋仇とも 言える仲
なんて、もう、まるでマンガのような話じゃないですか! そんな、「親友と書いてマブダチ」「恋仇と書いてライバル」みたいな友だちが、自分も欲しかった……。
林間学校の夜
オッチャンオッチャン、顔、赤くなっとるでェ-! それにしてもこの作者、ノリノリである。
コイガタキの次は林間学校でのコイバナという、ベタな話が続きます。しかも、見吉パパをヨッシー・真城信弘をノブと呼び合う 2 人は、ともに 中 2 のころという──ベッタベタだな! でも、好きです。
付き合うとか 意味わかんないんだ
と思ったり、好きな人への告白を親友になら許したり、どこまでもノブは純情ですね。──そうか、このころから死ぬまで、ずっと純な気持ちを持ち続けたのか、川口先生は……。
駄目だったのか
この回想シーンで誰もが思うことは、「川口たろう先生──美少年だな!」でしょう。
まぁ、小畑健先生の描き方ひとつですが、ノブの顔と性格なら、もっとモテてもいいはずです。そう考えると、好きになったのが美雪でなければ、また違う人生を歩んだことでしょうね。たとえば、女癖が悪くなったり。どちらの人生が良かったのか、ちょっと考えてしまいます。
美雪がノブに渡した手紙を見た、ヨッシーの解釈が面白い。本当に、ノブとヨッシーとの仲を考えて、美雪はアイマイなことを書いたのでは。
つまり、ヨッシーが美雪に告白していなければ、先にノブが告白していれば──ノブと美雪は付き合っていたかもしれない。すくなくとも、ヨッシーはそう思ったことでしょう。なんだか、セツナイですね。
どうなっていたか わからない
面白いことに、シュージンからの話を聞いて、見吉のお父さんは初めて「ミホとは美雪の娘」だと知ったのです。なるほど、たしかに見吉がわざわざ「ミホの母親は──」なんて話すことはないでしょうね。まぁ、仮にいまの美雪のことを見吉パパが知ったとしても、だからどうと言うことはないのですが。
今となっては、すべてが昔の話です。真城信弘は帰らぬ人となってしまったし、春野美雪は亜豆ママになった。見吉パパもいろいろあって、歳下のオクサンと出会ったことでしょう。どうすれば一番よかったのか、なんて考えても仕方がありませんね。
このファミレスにいる 3 人も、ほかの登場人物も、読者も──全員、これからのことを考える。それが重要ですね。