『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.12 「9 月 4 日 その 2」
第 12 巻の後半は、前半よりも さらに緊張感が増しています。「幻影旅団編」の最高潮に達する直前の前哨戦なのに、見どころが多くて何度も読み返しました。
派手な戦闘が ほとんどなくて、言ってしまえば地味な場面が続くけれど、「描かれていないこと」を読ませる技術が素晴らしい!
技名ばかり叫んでいる「必殺技合戦」マンガとは大違いですね(にっこり)。『H×H』は たとえ下描き丸出しの回でも、「束縛する中指の鎖!!」(ドン!!!!)とセリフだけ書いて真っ白──なんて ことはない。
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Reviewer: あじもす @asiamoth,
No.110 「9 月 4 日 9」
扉絵のネオン・ノストラードは、アラビアンな格好をしています。案外、アラビアの昔話あたりから ひらめいたキャラクタと能力なのかもしれません。
「天使の自動筆記」(ラブリーゴーストライター)の占える条件が微妙で、本人か顔写真が必須のわりには、芸名でも大丈夫だったりする。クロロも「団長」で占えたのかな。
異様に目が大きなクラピカは どんなメガネをかけるのか──の答えが描かれました。マンガ的な表現と、リアルな描写とが入り交じった本作品らしい場面です。
シズクで見慣れているはずなんですけどね、バカでかいメガネは。いっさい笑いがないシリアスな場面だけに、ちょっと吹きだしてしまう。
どこのジョン・レノンだよ! というクラピカの変装も味わい深い。レオリオと一緒になって、ノリノリで衣装を選んでいたのでは──と想像すると楽しかった。
雨音で かき消されているのに、遠くにいる旅団たちの足音を聞き取るなんて、センリツの聴力は驚異的です! それでも、雨さえ降っていなければ、旅団たちの動きが読めて先回りできました。
団員たちにとって恵みの雨なのかも……。
即席コンビニしては、キルアとセンリツは良い仲間に見えます。そもそも、センリツは相手に合わせるのが上手ですね。誰とでも相性が良いでしょう。
しかし、ワガママ王子なゴンだけは、キルア以外の人間には制御が難しい。ミトと暮らしている時には、ゴンは猫をかぶっていたのかな。それとも、ミトのほうが もっとワガママとか?(ありそう)
まるでコスプレ集団のような幻影旅団が、電車に乗っている場面は おもしろい。ハンター世界では もっと奇抜な格好の人も多いから、それほど違和感はない でしょうね。
駅から出てくる時の旅団が ものすごく格好よかった! とくにクロロは、ビジュアル系バンドの CD ジャケットに そのまま使えそう。
──とか言いつつも、となりのパクノダに目が行くけれど(ごくり……)。戦闘中や尋問中に、ちょっとした はずみで大事なパク部分がノダったりしないのかな(?)。
誰か『To LOVEる パクノダークネス』頼む!
せっかく部屋から逃げ出したスクワラですが、まさか「緋の眼」が命取りになるとは考えもしなかったはず。彼も不運な男でしたね……。
No.111 「9 月 4 日 10」
このころは毎回のように扉絵にオマケがあって楽しいです。今回は、ゴンや旅団と(忘れがちな)ミルキなどがいる街の地図が明かされました。
おそらく元になった地図があるのでしょうね。ニューヨークあたりかな? ちょっと調べた限りでは、まだ元の地図は見つかっていないようです。「地理: 2」な自分には探しようもない。
コルトピの言葉を聞いたくらいで何人か注目しているんですよね。その間、パクも団長も 0.5 秒以上は気を取られているはず。
だから、ゴンやキルアを普通に通行人と一緒に歩かせるだけで、1 秒間くらいは注目を集められたのでは?
──とか思ったけれど、コルトピの声にシズクやマチは無反応で、しっかりと周囲を警戒していた。ちぇっ!
クラピカは、走り出す旅団を すぐさま追いかける。
「いい手が 浮かんだ
」とゴンが声をかけているけれど、この時には引き止めるためのウソかと思っていました。それに、この段階では中途半端な作戦しか伝えられなかったはず。
もしも「駅前で待ち合わせて車で帰る」なんて話になっていたら、「闇に乗じる作戦」はムダになっていました。運が良かったとしか言いようがない。
ハンターの世界にも忍者が居ることは、すでにハンゾーで証明済みです。でも、この場面に出てくるマークは『NARUTO』丸出しじゃないですかー!
ゴンとクロロとの やり取りが印象深い。
- ゴン
- 「なぜ 自分達と 関わりのない 人達を 殺せるの?」
- クロロ
- 「関係ないから じゃないか?」
──続けてクロロは独り言のように語りながら、「動機の言語化
」に「自分を掴む カギ
」を見いだそうとしています。それが幻影旅団を作った目的なのでしょうかね。
クロロの「自分探し」のために団員たちが付き合わされたり、多くの人名や金品が奪われたのだとしたら──、なんともバカバカしい話です。この予想は間違っていて欲しいな……。
ただ、多くの人はバカバカしいことに命を懸けたり、知らず知らずのうちに他人から奪い取ったりしている。幻影旅団との差は、程度の違いだけなのかも。
センリツは、クラピカを叱りつつも気持ちを静めようとしています。彼女の優しさを見ていると、すべてが良い方向へ向かいそうな──気がしていたのに……。
自分の死期を悟って、犬たちを離すスクワラが泣けてきます。
No.112 「9 月 4 日 11」
スクワラの「犬を操作する能力」は使い道が多そうだけれど、あまり戦闘向きでは ないでしょう。たとえば敵への威嚇に使うことは あっても、犬が傷つくくらいならスクワラ自身が戦いそうですね。──てか、そうして欲しい!
エリザの名前を引き出された時に、スクワラが感じた絶望感は想像を絶します。この時点でスクワラは、すべてを捨てて動こうと思ったはず。最期に一暴れして、せめて時間稼ぎをするつもりだったのでしょう。
もちろん、任務や義務感なんかではなく、エリザと犬たちのために──。
貴重な念能力からして戦いが苦手そうなパクノダでも、スクワラの腕を軽々と折るくらいの腕力が あります。こういった尋問に慣れているのか、ノブナガも斬る時期を見誤らない。何度も同じ場面を経験してきたのでしょうね……。
ノブナガはパクノダと「5 年 10 年の付き合いじゃねー
」そうですが、「記憶弾
」(メモリーボム)を見たのは初めてだった。それだけ とっておきの能力──というか、わざわざ使う状況も なかったのかな。
ところで、No.114 に出てくる「昔の記憶」にはコルトピは居なかったから、彼は撃たれることに あまり乗り気じゃなかったのでは?
ベーチタクルホテルに先回りしていた人物はレオリオだけではなく、クラピカまで すでに出ていたとは思いもしなかった! よく考えたら、この場に彼が居ることは絶対の条件ですよね。
レオリオの演技が素晴らしかった! どう見てもヤーさんにしか見えません。98 割は「素」(す)だったに違いない。旅団たちの気を引く作戦も、レオリオが適任だったのでは?
ところがシズクは、サラッと「消します?
」なんて言っている。客に気づかれることなくレオリオの息の根を止めることくらいは、旅団たちなら簡単だったはず。
レオリオが生き延びたのは、たんなる幸運ですね……。
ラジオでリクエストされた曲名は、映画の『MOON CHILD』を想像しました。しかし、2003 年に公開された映画だから無関係でしょう。
おそらく、キング・クリムゾンのアルバムで、邦題『クリムゾン・キングの宮殿』に収録されている曲のことでしょうね。このジャケットは絶対に見たことがあるはず!
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Reviewer: あじもす @asiamoth,
No.113 「9 月 4 日 12」
ゴンとキルアを見た時の、うれしそうなノブナガが印象的でした。よっぽど気に入ったのでしょうね。それだけに、「鎖野郎」との つながりを知った後で、ノブナガの心中には どんな変化があったのか──気になります。
ただ、スクワラを通して得た記憶からは まったくゴンとキルアが居なかったから、ウボォーギンとの確執はないと判断しているでしょう。
「もしもの世界」で 2 人が幻影旅団に入団していたら、めざましい勢いで急成長していたはず。ノブナガとも本当に仲良くなれたでしょう。旅団が「慈善行為」だけに集中してくれたら良かったのに……。
正直者のゴンは当然として、キルアも隠し事には向いていませんね。マンガだから大げさに表現されているとはいえ、あきらかに 2 人は挙動不審ぎみです。
それでも、2 人の態度から隠し事を見抜いたクロロは するどい。ほかの団員が気づいていないことも、団長だけは察知して旅団の危機を救ってきたのでしょう。
パクノダは「原記憶
」をすくいとるらしい。
この場面で「偽証は 不可能よ
」と話すパクの言葉と、ラジオの声が同調していて おもしろかった。この手の暗示は映画に多いけれど、マンガでは あまり見ませんね。映画からシナリオを研究している冨樫先生らしい描写です。
停電が起こった後、ノブナガ以外は「円」を使って いません。この状況で「子どもだから油断して出さなかった」──のでは ないでしょう。念の達人集団である幻影旅団といえども、高等技術だから習得が難しいのかな。
また、念を込めたキルアの手刀を、マチは筋肉で止めています。ここも念を集中して止めたり、念で作った糸を束ねて受け止めて欲しかった。
いくつもの修羅場をくぐり抜けてきた旅団にしては、キルアやゴンが もうすこしだけ強かったら勝てたのでは──と思わせるような描き方です。
たとえば、今回のように停電させた後で、暗視スコープを付けた部隊に一斉射撃させたら十分に倒せそうな気がする。
──そんな ことよりも、キルアを全力で抱きしめているマチの絵が刺激的ですよ! 足元の印象で「女子高校生」みたいに見える点もグーです!
No.114 「9 月 4 日 13」
ノブナガに両足をつかまれた前回のゴンが印象深くて、てっきり、ブーツを脱いで脱出するのかと思っていました。そう思いながら今回を読んだら、そのままの姿勢でシズクに持たれてウケる。
おそらくメンバのなかでも年長者だけあって、ノブナガは広い視野を持っています。もしもクラピカが残したメッセージに気がつかなかったら、すこしだけゴンとキルアの立場は危なかったかも。ノブナガに感謝、ですね。
パクノダの能力──物体が残した記憶を読み取る「サイコメトリー」は、一時期は多くの作品で見られたけれど、最近では聞きません。超能力業界(?)にもハヤりスタりがあるようです。
若き日の幻影旅団が見られました!
一番下で座っている人物は誰だろう? 小柄に見えるから、フェイタンあたりでしょうか。それとも、彼が初代の 4 番なのかな。
ギャルっぽいマチの髪型や、彼女のセリフ(普段のクロロは違う格好をしているのか?)も気になるところですが──、ウボォーの髪型が全部 持っていった感じがする。
「生かすべきは 個人ではなく 旅団
」と語る団長の意志は立派にも聞こえるけれど──、それなんてブラック企業?
ノブナガもマチも、考え事をしているパクに声を掛けています。彼女が考えすぎるのは いつものことなのでしょうね。パクノダも「いい仲間」に恵まれている。
──なにかが 1 つ違っていれば、幻影旅団は殺人者の集団には ならなかったかもしれない。「流星街の住人 = 悪人」では ないはずです。
どうも団長には大金が必要なようだけれど、それはプロのハンターになれば稼げた気もする。旅団の結成には、なにか止むに止まれぬ事情が あったのかな。つい最近の連載で明かされた話と関連しそうな気がする……。
クロロが言った「鎖野郎が女性
」──つまりは「クラピカは女性に見える」ことを、クラピカ本人も受け入れています。そうか、自覚が あったのか……。
変装としては大成功だったけれど、ロング・ヘアのウィッグ 1 つで女装が完了するなんて、普段から女性と思われても不思議ではありませんね。『幽☆遊☆白書』の一場面っぽいなー。
レオリオが言う「もし そいつを 殺したらオレが お前を殺(や)るぜ
」という言葉は、多くの読者が聞き流したと思う。なんの脅しにもなっていないし、彼の本心ではないことは すぐに分かるからです。
しかしクラピカ(と心音でレオリオの性格を把握しているセンリツ)にとっては、「あの優しい彼に そこまで言わせてしまった」ことはショックだったと思う。
No.115 「9 月 4 日 14」
シャルナーク・フィンクス・フェイタンの 3 人が到着してからの会話は、テンポが良くて分かりやすい。団体行動が多い旅団では、こういう やり取りを何度もしてきたのでしょう。
「鎖野郎」からの電話を取ったフィンクスが おもしろい! 電話を切られて かけ直す場面はコントみたいだし、アップになると、どうしてもピッコロに見える。
そして必ず左を向くのはフィンクスのクセでしょうね。こうした「知らぬ間に取ってしまう行動」が誰にでも あるはずだから、その点を突けば勝てそうな気もする。
だから、無限の胃袋を持つようなミルキだって、苦手な食べ物が必ず あるはずだ!(どーでもいー) そうそう、この扉絵にはハッキリと「七百円
」といった「円」表記なんですよね。おーい、ジェニーは どうしたー!
パクノダがスクワラを通してセンリツの情報を得たことを、クラピカは確認している。
しかし──、センリツと よくコンビを組んでいたバショウなら分かるとして、スクワラが そこまでセンリツの能力を把握していたのかな。スクワラも熟練した念能力者だから、それくらいは察した──と思っておこう。
それとも、パクノダの能力は「その人間が触れた者・物の記憶も読み取れる」という高性能なのでしょうかね。この「物質を通して記憶が ほかへも伝わる」という考え方は、なにかの作品で読んだ気がする……。
団長が殺されたら、今度は鎖野郎を始末すれば終わりだ──とフィンクスたちは主張する。そして それこそが団長の意思だ──と。
これは本当に団長と同じ考えだと後で分かります。そこまで個を捨てて生かすべき「幻影旅団」とは、いったい何なのだろう……?
いまのところ、幻影旅団の設立者はクロロ・ルシルフル──と読み取れるけれど、もしかしたら誰かの遺志を継いだのかな。どうも個人の発想ではない気がします。
シャルナークの携帯電話って、普通に電話もできるのかよ! 自作した はずだけど、調子が悪くなったり壊れたりしたら、ちゃんと直せるのかな。
人質を 連絡係に使う
というアイデアは、単純なようで なかなか思いつきません。いまだにドラマの誘拐なんかは、「頼む! ○○の声を聞かせてくれ!」「お父さーん!」などと寒い劇ばかりです。
そしてイルミが参戦することになりました! 彼は「付き合いの長さ」を気にするけれど──、『僕は友だちが少ない』からかな……