『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 「クラピカ追憶編 前編」
劇場版アニメ・『緋色の幻影(ファントム・ルージュ)』に つながる『H×H』の読切「週刊少年ジャンプ」に掲載されました!
クラピカが子どもだったころの話です。さぞかしクソ生意気な おガキ様──かと思いきや……?
「劇場版 HUNTER×HUNTER 緋色の幻影(ファントム・ルージュ)」公式サイト
クラピカが「外の世界」へ冒険に出る話のため、どことなく本編の第 1 話と ふんいきが似ています。ちょうど『HUNTER×HUNTER (31)』が出たばかりだし、この機会に最初から読み始めても良いでしょうね。
お気軽に楽しめる作品とは言えないけれど、多くの人に『HUNTER×HUNTER』の素晴らしさを知って欲しい! それが感想を書き続けている理由です。
HUNTER×HUNTER 31 巻 「参戦」 きょうだいで離れられない | 亜細亜ノ蛾
似ている彼ら
いまだに性別が不明なクラピカは、子どものころは一段と中性的でした。いっそのこと、「クルタ族は全員が女性でも男性でもある」という設定で良かったのでは?
ところが、クラピカの両親を描くことで、われわれと同じであることを強調しています。「普通の人間」であることを読者に知らせるためでしょう。
子ども時代のクラピカは、まっすぐに相手の目を見つめるところや無邪気で強情な性格が、ゴンにソックリです! 母親の口調はミトさんみたい。ゴンの意地っ張りを見て、クラピカは昔のことを思い出したはず。
また、(屁)理屈をこねる点と外見はキルアにも似ている。おまけに、「友だちを治すため」に冒険に出たのはレオリオと同じです。
──冨樫義博先生がクラピカを本編から引っ込めた原因は、「クラピカひとりで話が成り立つ」と思ったからだったりして
トリックか否か
パイロが目薬を落として拾う場面は最大限に怪しい! 絶対に自分の目薬とすり替えている!
前半のパイロは、自分の持っている目薬を差しています。こういう「泣いているように見える」場面は心理状態を表わすことが多いのに、それほど悲しい場面でも ありません。伏線としか思えない!
──と読者に思い込ませるトリックだったりして。
クラピカの足を引っ張らないように、パイロが目薬による目の変色をごまかしたとする。そのことをクラピカが知ったら傷つくはずだし、そもそもパイロは親友をだますだろうか?
この自己抑制試験
用の目薬は、24 時間も緋の眼が維持できます。今のクラピカが利用すれば、「絶対時間」(エンペラータイム)を持続できるかも。ただし、その後の副作用や後遺症が計り知れない──。
ハンターには ほど遠い
アマチュア・ハンターのシーラは、プロを目指すにしては間が抜けています。外界から隔離された森に迷い込んで、飲料水も切れた死にかけの状態なのに、のんきに音楽を聴いている。
夢と勇気に あふれ
た本『D(ディノ)・ハンター』に影響された──程度で、夢物語の主人公に なれるのでしょうか?
おそらくクラピカとパイロは、後編でシーラの危機に直面するでしょう。そしてハンターと世の中の厳しさを知るのでは──。
今回のサブ・タイトルにある「彼女」とはシーラのことでした。「ついにクラピカの性別が肉眼で確認できたのか!?」という引っかけですねー。
おわりに
クルタ族がいる森は、そこらじゅうに「うずまき」だらけです。本当に冨樫先生は伊藤 潤二先生が好きなんだなー。
HUNTER×HUNTER #322 「兄妹」 ブラック・オア・ホワイト | 亜細亜ノ蛾
クラピカの少年(少女?)時代は、現代とは大きく違って、積極的で明るい性格でした。それが幻影旅団によって、自分の心を鎖で縛り付けてしまう。
「後編」に幻影旅団が登場するか楽しみでもあり、怖くもあります。単純な極悪非道の集団ではないことを読者は知っているけれど、子どものクラピカにとっては憎むべき相手でしかない。どれほどの憎しみと恐ろしさを知ったのだろう──。