村上春樹一覧

村上春樹 『走ることについて語るときに僕の語ること』 走者も作家も継続が重要!

走ることについて語るときに僕の語ること』 村上 春樹・著

yellow
走者と作家の境界線は──あるようで ない

村上 春樹氏がマラソン走者として語る一冊です!

喫茶店の経営者として汗水を垂らす毎日だった村上氏が、なぜ小説家になったあと毎日 10km のジョギングで汗を絞りきることになったのか──。
あきらかに「健康な体で小説を書くため」とは思えないほど肉体を酷使する日々で、春樹氏が何を考え・見てきたのか──、が書かれています。

やはり小説家の視点──しかも頭に「一流の」が付く作家の目で見ただけに、ただたんに「何キロメートル走った」だけの記述では終わりません。短編小説集のような物語性が いくつも詰まっている。
軽く読めて深く感動できる──ハルキ小説と同じです!

ハルキ・ファンとしては、ローリング・ストーンズの『ベガーズ・バンケットを聞きながら走っている──といったトリビア的な情報も うれしい!

続きを読む


村上春樹 『回転木馬のデッド・ヒート』 日常に潜む狂気と凶器

回転木馬のデッド・ヒート』 村上春樹・著

村上春樹氏が人から聞いた話をまとめた 1 冊です。

いつものように日常からファンタジックな世界へ急に突入する──といった場面は ありません。しかし、なにしろ話の聞き手がハルキだけあって、普通のエピソードでは終わらずに、どの話も幻想的です。

全 8 話の短編小説として読むこともできるし、「不思議だな」と読み流すこともできる。読み終わった後に背筋がゾクッと来る話もありました。

どの語り手も いわゆる「一般人」のため、芸能人のように派手な生活ではないけれど、それでも ありきたりの話では済まない。聞き手が良いことも ありますが、村上春樹氏の言葉を借りると、

話のほうから「話してもらいたがっている

──という印象を受けました。そう、どんな人にでも、胸の奥に仕舞っておけない話が 1 つや 2 つは あるのでは? 一流の話し相手が見つかると幸運ですね!

続きを読む


村上春樹・安西水丸 『日出ずる国の工場』 明るく楽しく毒々しく工場見学!

日出ずる国の工場

2009_07_07_013114_PENTAX_PENTAX K-7 輝かしい光に包まれる工場──は出てこない

あなたの知らないハルキが見られる 1 冊です!

作家の村上春樹さんとイラストレータの 安西 水丸さんが一緒に工場見学をする。──という内容で、いわば「タモリ倶楽部」みたいなノリですね。

次の 7 工場を見学されています:

  • メタファー的人体標本
    • 京都科学標本
  • 工場としての結婚式場
    • 松戸・玉姫殿
  • 消しゴム工場の秘密
    • ラビット
  • 経済動物たちの午後
    • 小岩井農場
  • 思想としての洋服をつくる人々
    • コム・デ・ギャルソン
  • ハイテク・ウォーズ
    • テクニクスCD工場
  • とことん明るい福音製産工場
    • アデランス

ふふふ。結婚式場を「工場」と呼んでズカズカ入り込むところが楽しい! そして、その内容は もっと過激です。なぜか全編が毒だらけで、結婚式そのものに恨みでも あるのでは──と思ってしまう。

その逆に、アデランスの工場には感心されていました。なにしろ「世間の目という毒」に おびえる客を相手にしているから、社員まで滅入っていては商売になりません。ハゲしく明るい社内と技術力・将来性が素晴らしかった。

洋服好きの人は「コム・デ・ギャルソンの工場は どこにあるのか」なんて常識かもしれませんが──すくなくとも Wikipedia には書いてありません。知らない人には、ビックリするような実状ですよ!

コム・デ・ギャルソン – Wikipedia

ハルキ・マニアな人──は読んでいるだろうから、ハルキの小説に挫折した人へ贈りたい本です! 「精神的に不安定な女性」や「超・年の差カップル」や「幻想的な描写」や「羊」は出てきませんよ!

続きを読む


『カンガルー日和』 村上春樹 – 夢でしか逢えない彼女

『カンガルー日和』 村上春樹・著

G'day
(哲学者のような──カンガルーもいる)

部屋の明かりをすこし弱めて、読書をするのにピッタリな夜ですね。こんな夜には、物語が恋しくなります。

そう、人間の想像力こそが、人間を幸せにする

村上春樹氏の小説を読むと、物語の力を思い知ります。とくに、短編小説が素晴らしい。短い枚数の中に、よくこんなにも奇跡を詰め込めるものだ──と感動します。

『カンガルー日和』もバツグンの切れ味でした。

本を開くと、中には 23 編もの素敵なストーリィが眠っています。さっと読めてしまうページ数なのに、ひとつひとつの話が 1 冊分の長編に化けそうなパワーを秘めている。事実、長編になったり映画になったり(!)しました。

楽しい比喩も満載です。エサをあさる父親カンガルーのことを、才能が枯れ尽きてしまった作曲家のような顔つきと表現している。こんな言い回しは、ほかの誰にも思いつけません!

続きを読む


『海辺のカフカ』 村上春樹 – 運命に操られる少年と受け入れる青年

『海辺のカフカ』

Johnnie Walker (by gwenael.piaser) (by gwenael.piaser)

15 歳の誕生日がやってきたとき、僕は家を出て遠くの知らない街に行き、小さな図書館の片隅で暮らすようになった

なんだかおとぎ話みたいに聞こえるかもしれない。でもそれはおとぎ話じゃない。どんな意味あいにおいても。

『海辺のカフカ』 (上) (新潮文庫) p.13

この時期にネットで村上春樹を取り上げるということは、すなわち彼のスピーチについて語ることになりがちだ。

Google ニュース検索: 「村上春樹 エルサレム」

──が、「政治・経済にウトい」という属性のまま一生を終えそうな(そしてそれを一種のウリにしている)自分は、完全にこの話題をスルーする。

ひとつだけ言えることは、卵は投げるものじゃなくて、食べるものだ。ウズラも栄養価が高いから、ちゃんと食べよう(@nifty:デイリーポータルZ:スーパーのうずら卵から、ひな鳥ピヨピヨ!)。

さて、『海辺のカフカ』である。たいへん面白かった! いくらでも深く読み込めるだけの謎を残しつつも、気軽に読める。ただし、読んでいるときはフワフワした気分に浸れるが、読み終わると「『海辺のカフカ』とは、なんだったのか──」としばらく考え続けることだろう。

『アフターダーク』よりは「いつもの春樹」として安心して読める。すこし残酷な描写も出てくるが──。とくに猫が好きな自分は、「その映像」が頭に浮かんでキツかった。

『アフターダーク』 理解できない「無」の恐怖 : 亜細亜ノ蛾

小説としての構造が、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』に似ている。もちろん、中で語られていることはかなり異なるが、おそらく意図的に似せているのだ。そこになんの意図があるのか──それは読んでのお楽しみである。

photo

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)
村上 春樹
新潮社 2005-02-28

by G-Tools , 2009/02/23

村上 春樹
新潮社 2005-02-28

by G-Tools , 2009/02/23

続きを読む


『アフターダーク』 理解できない「無」の恐怖

『アフターダーク』

村上春樹氏の作品は大好きで、『海辺のカフカ』を積ん読(つんどく)にしています(ようするに、読んでいない)。『~カフカ』は、つまらない小説を 3 冊くらい読んでしまったときの口直し用」に取ってある、と書いてから半年が経ちましたが、まだ「外れ」をあまり引かないのでキープしてあります。

ただ、ここのところハルキ力(りょく)が衰えてきたので、補給のために『アフターダーク』を読みました(風邪気味で何言っているか自分でもわかっていないので、勘弁してください)。

あらすじ

これは、(いつものように)妙に礼儀正しい主人公の「僕」と、「デニーズ」の店内で出会った女の子との一夜を描いた作品です。

──と、あらすじを書いたところで面白そうに見えないし、実際にものすごい大事件が起こるわけでもありません。ちょっと不思議な記述の部分がありますが、たんなる錯覚や幻覚かもしれない。ましてや、この一冊から何かを学ぶ、という類の本でもないでしょう(拾えるところは多いです)。

「雰囲気」とか「空気」を味わう。そういう作品ですね。

ミステリィ好きとしては、最後にミステリィらしいオチや謎解きが欲しくなるような展開ですが、それは春樹作品には似合わないですね。

たった一晩の出来事だし、読むのに半日もかからない。でも「なんとなく、いいな」が残る。そういう作品でした。

続きを読む


『レキシントンの幽霊』 強く余韻を残す 8 つの不思議な話

『レキシントンの幽霊』

『レキシントンの幽霊』は、村上春樹氏の短編小説集です。

そういえば彼の短編を読むのは久しぶり(糸井重里氏との共著『夢で会いましょう』くらい)だな、と思って調べると、なんと、長編より短編の方が多いくらいでビックリ。──ああ、よかった。これからも村上作品がこんなにも読めるのか!

村上春樹 – Wikipedia

不思議な話が 8 作品収録されています。短編というと、オチに向かって一直線に進んでいく作品が多いですが、本作品集では、はっきりとした終わり方をしていない作品が多いです。

それに、小説向きではないというか、なんでもない話があったりします。

しかし、なんでもない話のはずなのに読ませる、読み終わった後になかなか気持ちの切り替えができない、そんな魔力を持った作品集でした。

続きを読む


アルファブロガは村上春樹がお好き?

アルファブロガと村上春樹

アルファブロガが棲む界隈で、風が吹いています(詩的表現・失敗)。

──そのうち、結城浩さんも何か書くんじゃないかなぁ……(ぼそっ)。

面白いことに、3 人とも「村上春樹はこのところ(または今まで)避けてきたが、最近(また)読み始めた」という感想になっています。またまた「村上春樹ブーム」がやってくる、という前兆でしょうか。

photo

海辺のカフカ (上)
村上 春樹
新潮社 2005-02-28

海辺のカフカ (下) ノルウェイの森 上 ノルウェイの森 下 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉

by G-Tools , 2007/03/15

続きを読む


はてなダイアリー話「蛾と蜂」「しなもんといわし」

#### 続き!
一つ前の記事、[Movable Type誕生5周年(昨日)記念!「あの時ボクは」 : 亜細亜ノ蛾](https://asiamoth.com/200610092303/ “Movable Type誕生5周年(昨日)記念!「あの時ボクは」 : 亜細亜ノ蛾”)というワケワカメなタイトルの記事で、自分がMTを使い始めたきっかけを語りました。そういえば、MTの前になんかやっていたなぁ、と回想。
#### その前ははてなダイアリー
実は、MTを始める前は、はてなダイアリーでブログらしきものをシコシコと。現在は訳あって放置中。まぁ、身内に見つかったとか何とか。

続きを読む