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『マイティ・ソー』は主役もヒロインも魅力的な名作アクション映画!

マイティ・ソー』 (Thor)

~ Single Double Strike ~
雷の夜に──彼女は空を見続ける

ドタバタ劇のコメディでもあるアクション映画です!

北欧神話の神々を題材にしたアメコミが元になっているため、困った人(神)ばかり出てきます。日本にいる八百万(やおよろず)の神様も荒ぶっていますが、どちらも人々の味方でいてくれるうちは ありがたい、けれど……。

本作品の主人公は『アベンジャーズ』でも活躍します。そして、『アイアンマン』シリーズとも深く関わっている。とくに、『アイアンマン 2』で謎すぎたラストの場面がそのまま『マイティ・ソー』でも出てきますよ!


主人公のソーを演じたクリス・ヘムズワースは、芸歴の浅さを感じさせない演技を見せてくれました。映画の『トロイ』で主役だった ブラッド・ピットに似た好青年です。

ソーの弟であるロキは、トム・ヒドルストンが演じました。彼もハリウッドでは新米だけれど、シェイクスピア劇の舞台を経験していて、この作品の世界観や監督と相性が良い。ミステリアスな役で見事に魅了してくれました。

監督はケネス・ブラナーで、シェイクスピア俳優としても有名です。オペラのような要素のある『マイティ・ソー』にはピッタリですね!

ヒロインのジェーン・フォスター役はナタリー・ポートマンがキュートに演じています! 『ブラック・スワン』とは別人のようでした。「普通の美女」としての彼女が見られるだけで貴重かも!?

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『眠れる美女』 川端康成 – 触れられる遠さ

『眠れる美女』 川端康成・著

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目覚めてくれるからこそ──愛でられる

この川端康成氏が世界へ向かって挑発する耽美な短編小説集は大好きで、寝る前に何度も拾い読みしています。美しい表現の文章に没頭していると──とても寝苦しい夜になる。

表題作の『眠れる美女』は、文字どおりに眠っている若い女性たちと、年老いた男性が一緒に眠る話です。なんだか ほのぼのとした童話のような印象ですよね。

──しかし、その場所は あやしい女主人が経営する(かどうかも不明な)宿で、何人も登場する女性たちは薬物によって眠らされている。しかも、おそらく全員が未成年で、裸の状態です。

おもしろそうでしょ?

世のラノベ作家は、身近なところでパクってバレてばかりいないで、この名作を下敷きにして自分を試せばいいのに──などと思ったりします。グズグズしているうちに森博嗣先生が発表してしまいましたね。

『少し変わった子あります』 森博嗣 – 有料と抽象の ご飯 | 亜細亜ノ蛾


同時に収録されている『片腕』も楽しい。こちらも題名の通り「女性の片腕」と男の話です。なんの前触れもなく、男が娘から片腕を借りる場面から物語は始まる。

──え?

そう、こちらは幻想小説といった感じの話ですね。設定だけを見れば こちらも絵本に描けそうなメルヘンだけれど、(そうか?)、全体的に狂気が満ちている。きわどい場面は皆無ですが、なんだかエロティックです。


もう一作の『散りぬるを』は、森博嗣先生が「ミステリィ作品」として紹介していた(『MORI LOG ACADEMY』だったかな?)ので興味を持ちました。

ある殺人犯の内面に迫る作品で、殺人事件を犯した過程の記録と犯人の精神鑑定が繰り返し出てきます。

──なるほど、たしかにミステリィ的な一面もありますが、幻想的な印象が濃いですね。犯人と同化するような点では、『羊たちの沈黙』の前作・『レッド・ドラゴン』と似ています。

以上の 3 作品について感想を書いていきます!

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アリス・イン・ワンダーランド – いつまでも夢見る乙女は霧に消え

『アリス・イン・ワンダーランド』 (Alice in Wonderland)

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(最後にハッキリと──白赤つけよう)

「へんてこりんの ぽんぽこりん」な人物ばかりが出てくる映画です。まさにティム・バートン監督らしい世界を描いた作品でした。なぜ、いままで彼が撮影していなかったのか、不思議に思うくらい。

本作品のストーリィは、世界的に有名な物語である(けれど自分は読んでいない)『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』の後日談です。幼少のころに冒険した「不思議の国」を、成長したアリスが十数年ぶりに訪れて──という感じ。

まるで、以前に流行した「いつまでもオトナになりきれない人」を描いた作品のようですよね? 最後に「現実に帰れ!」と叫ばれそう。

ところが、この映画に出てくる主人公──アリス・キングスレーミア・ワシコウスカ)は現実的な考え方をしていて、「早く夢が覚めないかな」と思いながら冒険をする。しかも、ずっと──しかめっ面なのです。

こんなアリスは、見たことがない!

世に知られている原作をリメイクする場合は、現代的なテーマを盛り込むことが多いです。監督か脚本家の政治的な主張が見え隠れして、残念な結果に終わる映画もある。

『アリス・イン・ワンダーランド』は、そういった説教臭い面がありません。そこが良かった。

ジョニー・デップが演じるマッドハッター(タラント・ハイトップ)などの奇妙な登場人物や、不気味に美しい「アンダーランド」を眺めているだけでも面白い。家族や友だち・恋人と安心して楽しめる傑作です。

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『カンガルー日和』 村上春樹 – 夢でしか逢えない彼女

『カンガルー日和』 村上春樹・著

G'day
(哲学者のような──カンガルーもいる)

部屋の明かりをすこし弱めて、読書をするのにピッタリな夜ですね。こんな夜には、物語が恋しくなります。

そう、人間の想像力こそが、人間を幸せにする

村上春樹氏の小説を読むと、物語の力を思い知ります。とくに、短編小説が素晴らしい。短い枚数の中に、よくこんなにも奇跡を詰め込めるものだ──と感動します。

『カンガルー日和』もバツグンの切れ味でした。

本を開くと、中には 23 編もの素敵なストーリィが眠っています。さっと読めてしまうページ数なのに、ひとつひとつの話が 1 冊分の長編に化けそうなパワーを秘めている。事実、長編になったり映画になったり(!)しました。

楽しい比喩も満載です。エサをあさる父親カンガルーのことを、才能が枯れ尽きてしまった作曲家のような顔つきと表現している。こんな言い回しは、ほかの誰にも思いつけません!

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