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HUNTER×HUNTER No.285『本体』 (週刊少年ジャンプ 2008 年 50 号)

今回の後半も見どころが多い。

──と、毎回書いている気がする。見どころしかないようにも思う。たまには「おっと、ここの描写はおかしいぜ、冨樫サンよぉぉ!」と言ってみたいものだ。ウソ。

いま思ったけど、今回のどの場面が一番好きかによって、その人が本作品に何を求めているのかが分かる。可愛らしいシャウアプフの姿か、心理戦の説明か。あるいは、今後の伏線を見つけることに力を入れたり、切ない描写に心を動かされる人もいるだろう。

自分は、主人公の危うさが好きだ。ヘタをすると、作品の世界をすべて壊しかねない。それは、作者にも言えることか……。

条件づけ

モラウがナックルに説教している場面が笑える。『銀魂』だったら「3 年 B 組 なに八先生だよ !!」とツッコミを入れるところだろう。モラウの髪の色が金色だったら「金髪先生」だ。どうでもいいけれど……。

この二人の関係は、『幽☆遊☆白書』に登場した浦飯幽助と幻海との間柄に似ている。というか、冨樫キャラで完全に師匠を尊敬しているのは、パームくらいか。ほかは、師を師と思っていないヤツばかりだ。

ひょっとして、作者自身が生意気な弟子(アシスタント)だったのか、それともそんな弟子を持ったのか──。調べてみたが、「冨樫義博は『レベル E』からアシスタントを使っていない」という有名な話(※後述)ばかりが見つかる。

その中でも面白い記事がこちら。コメント欄に圧倒される。3 年前の記事だが、つい最近までコメントが付いている……。

徒然話:冨樫義博という漫画家について - livedoor Blog(ブログ)

冨樫先生がアシスタントを雇っていない件については、いろいろなウワサを聞いている。時期は『幽☆遊☆白書』の後半から、という説が有力だ(根拠を示せ、と言われるだろうか・ドキドキ)。それに、『レベル E』の第 1 話が掲載された週刊少年ジャンプ 1995 年 42 号の作者コメントで、一人でやりたく思い、月イチになりましたと明記されている。作品同様に、この言葉すらウソが込められている──と考えるのは勝手だが、それは世間では偏屈という。

アシスタントがいるかどうか、作者が天才かどうか、作品の面白さの前にはアリに等しい。──そのアリは、キメラアント(無視できないほど強大)だったりして。けけけ。

さて、昨日から、なるべくネタバレなしの感想を書こうと努力している。そうなると、シュートの場面は どう書いたものか……。まぁ、いつもの通り以前の予想が外れていた、とだけ言っておこうか(それこそネタバレだ)。

HUNTER×HUNTER No.284『15 分』 プフの自信とピンチのモラウ : 亜細亜ノ蛾

オレの獲物

「超」(関西なら「鬼」)が付くほどの慎重派であるウェルフィンは、裏でコソコソ動いている割に、成果がなかなか現われない。一方、行き当たりばったりで楽天家に見えるヒナは、いつの間にか「棚ぼた」を手に入れている。

本当に作者は、異世界の話を描きながら日常の「あるある感」を演出するのが上手だ。──ウェルフィンみたいな上司や、ヒナのような新人 OL が、アナタの会社にいませんか?

いまさらだが、ここまで宮殿が破壊された今となっては、ウェルフィンが裏の王を目指す意味があるのだろうか。王とネテロの戦いがどう終わるか分からないが、仮に王が生き延びた場合でも、今の宮殿は捨てるだろう。ビゼフは用なしになると予想される。もちろん、ウェルフィンは そこまでの事情を知らないのだが、それでもビゼフに恩を売る機会は逃している。

自分にとって、ウェルフィンは憎めないキャラだ。今のところ、ウェルフィンが人間を殺した描写がない(と思う)のも良い。これは、ウェルフィンも仲間になるフラグ──と見るのは浅はか だろうか。

最悪心中

宮殿に突入する前後から、キルアとゴンの立ち位置が変わった──気がする。ここで言う立ち位置とは、ほかの人物との距離感だ。

初めのころは、ゴンの周りに仲間が集まってきた。キルアは、誰からも一定の距離を取っていた。それが、いまはキルアのほうが近づきやすい。──いや、そもそも、ゴンは昔から「言う事を聞かない子」だったか。キルアのほうが素直かもしれない。

改めて考えると、「単純で一途──なのに変なところで頑固すぎる」ゴンと「気まぐれで嘘つき──の割に素直で読みやすい性格」のキルアは、絶妙なコンビだ。それに、その性格の設定もスゴい。マンガの世界では極端に偏った性格のキャラクタが多い中、本作の人物は じつに生き生きとしている。

メレオロンの「空気を読む」描写も素晴らしい。そうそう、自分自身が「空気と同化」しているような人って、けっこう空気が読めるよね(それなんてオレ?)。格好いいぞ、メレオロン!

お前には関係ない

危うい主人公の真骨頂を発揮したラストだった。

この場面で最高に面白いのは、ピトーがゴンのことを語っていることだ。ゴンが具体的に動いたわけではない。

ピトーとゴンは接触した時間が短い。会話も、ほとんどゴンが一方的に要求しただけだ。それなのに、ピトーはゴンの心情を理解している。ゴンの考えは、プフからすれば理解できない。そして、読者も……。

最後のページなんか、誰が悪で誰を応援していいか、分からなくなる。その直前である、お前には関係ないのコマも、絵だけ見るとちょっと笑えてくる。しかし──そのセリフは、ゾッとした。

冷静に見れば二対一であり、実力の差も計り知れない。だが、この場にいる者と読者は、完全に飲まれている。ここにキルアがやってきたら──どうなるのだろうか。

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