『フロム・ヘル』
これは、「見て得するホラー・ベストテン」の投票を募集したら、確実にランクインしそうな作品です(ホラーにとって、「見て得する」というのは褒め言葉じゃないけど)。ホラーは恐いからあまり見ない、という人にこそ見て欲しいです。
舞台は、霧煙る 1888 年のロンドン。──と、ここでピンとくる人も多いと思いますが、そう、かの有名な切り裂きジャックが出てきます。といっても主人公は、切り裂きジャックを追う警部で、ジョニー・デップが見事に演じています。
最期の方までジャックの正体は明かされないため、ミステリィ物として見ることもできる、贅沢な作りです。
事前に、切り裂きジャック – Wikipedia を見ておくと、より楽しめるかもしれませんね。
- フロム・ヘル (新生アルティメット・エディション)
- ジョニー・デップ ヘザー・グラハム イアン・ホルム
- 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2007-05-18
- 楽天ブックス: フロム・ヘル
by G-Tools , 2007/10/05
切り裂きジャックの正体
かなり大胆なジャック像で驚きました。そして、犯行の動機が、もしも真実に 1% でも近かったら公開は無理だったかも、という内容なのです。
舞台を日本に置き換えると、もう何があっても映画公開は無理でしょうね(と書くとネタバレかな)。
また、いよいよジャックの正体が明らかになった後、馬車で移動するジャックの「目」が、鬼気迫る感じで恐いです。
しかし、そのあと、急に B 級ホラーっぽくなるのが、ちょっと笑いました。アニメで言うと「作監(作画監督)変わった?」みたいな。
ワトスン
ジョニー・デップが演じるフレッド・アバーライン警部は、冒頭からいきなりアヘン窟でご機嫌になっている、というぶっ飛んだ設定です。
その後もしばしば薬物に手を出したり、そうかと思ったら、捜査ではずば抜けた洞察力を発揮したり──。
また、彼の助手役が、実にいい演技をするのです。舞台がロンドンであることから考えると、ホームズがモデルになっているのでしょう。
助手役の人は、ラストまでいい味を出していますよ。要注目です。
ホラーらしく
全体的に、幻想的な霧の街の雰囲気が良く出ています。
当時のロンドンを考察して再現したらしいのです。当時はものすごく貧しく、夜は娼婦ばかり(もちろん、映画の都合上でもあるのだろうけど)。それなりに活気がある街なので、おどろおどろしい怖さはありません。
しかし、寂しい裏道に入ったとたん、ホラーに相応しい舞台に一変します。ジャックの独擅場(どくせんじょう)ですね。
一番恐かったのは、ジャックの最期の姿です。やはり、恐いのは人間。人間の群衆心理ですね。