『レイヤー・ケーキ』
裏社会は(も?)階層社会。その、ケーキのような階層(レイヤ)の、下層のほうで成功を収めつつある主人公を演じるのが、ダニエル・クレイグ。新ジェームズ・ボンド役で有名ですね。
『007 カジノ・ロワイヤル』 新生ジェームズ・ボンドに違和感 : 亜細亜ノ蛾
彼の衣装にも注目です。スーツの着こなし・着くずし方も素晴らしいし、カジュアルな服を着ている時にも気品があるスタイルで、いくらでもエッセンスをいただくことができます。
本作で面白いのが、主人公は麻薬の密売でそこそこ成功した今のうちに、引退を考えていること。『コンフィデンス』の主人公のように、「上を目指す!」と熱くなっていない、冷めた感じが新しい。
──とはいえ、そこはウラだらけの世界のため、なかなか簡単に足を洗えない。次々に主人公の元に厄介ごとが持ち込まれ、これで最後にしようと思っている仕事が、まったく片付きません。
後半で凄腕の暗殺者から命を狙われ、逆に暗殺しようとするところは、サスペンスファンお待ちかねの、ハラハラドキドキなシーンです。
そして、ラストがかなり衝撃的で、初めて見る人は必ずビックリするはずです。

- レイヤー・ケーキ コレクターズ・エディション
- ダニエル・クレイグ コルム・ミーニィ シエナ・ミラー
- ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2007-05-30
- 楽天ブックス: レイヤー・ケーキ コレクターズ・エディション
by G-Tools , 2007/10/28
ジェームズ・ボンド、にはなれず
本作の主人公は、ジェームズ・ボンドのようなスーパ・マンではありません。頭はいい、と皆からは評価されていますが、それでも優秀なビジネスマン・タイプ、みたいなところが面白い。
裏社会に属するとはいえ、おそらく人殺しもしたことがない。しょっちゅうドジをしたり、ある人物を暗殺したあとに殺した相手の顔が浮かんでうなされたり、ヒロインとのラブ・シーンがおあずけを食ったり──。
見ていると、007 シリーズのパロディではないのか、と思うくらい、「可哀想な半人前ボンド」っぷりです。──まぁ、007 シリーズとはまったく関係がない(はずだ)し、本作が作られたのは『007/カジノ・ロワイヤル』よりも前ですが。
title="超映画批評『レイヤー・ケーキ』40点(100点満点中)">主演のダニエル・クレイグは、本作のクールな演技が効をそうしたか、最新作『007/カジノ・ロワイヤル』で見事ジェイムズ・ボンド役をゲットした。この映画では少々ふけて見えるが、周りからは若造扱いされており、そのギャップがちょっとおかしい。
とはいえ、見れば見るほど 007 を思わせるシーンがいくつもあります。
じつは、主要人物の中で主人公だけは名乗りません。それが、最後に「My name?(俺の名前、だって?)」とカメラに向かって言うのです。これはどう見ても、
「The name is Bond. James Bond」
と言い出しそうな雰囲気! なにか 007 と繋がりがあるのですかね……。
衝撃のラスト
サスペンス映画を紹介するときに、毎回こう書いている気もしますが、「衝撃的なラストです」。
ラスト直前は怒涛の展開で、次から次へと場面が変わります。ちょっと頭の切り替えを要求されるところですね。
そしてラスト、意外な人物が──後は映画でご覧ください。
ちなみに、DVD で見ている人はディレクターズ・コメントをオンにしてラストシーンを見ると──なんと、続編が予定されていることがわかります。何となく、「オーシャンズ~」シリーズみたいになっていくのでは、とちょっと思いました。