『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 爆音も黙る女戦士の一発

シェアする

マッドマックス 怒りのデス・ロード』 (Mad Max: Fury Road)

Mad Max and Interceptor 血も油も──すべてを奪われる

脳内にニトロを吹き付けられる大傑作です!
見ると IQ が 10 は下がる」とウワサの映画ですが、とんでもない! 30 は爆下がりを覚悟しましょう!

──というのは冗談で、哲学的テーマも隠されている。
女性蔑視の男性中心映画」と取ることもできるし、「戦う女性が自由を求める話」という解釈もできます。ぜひ女性と一緒に観に行って感想を言い合いましょう!
(その結果、険悪になっても知らない)

象徴の剥奪

ほぼ全編トラック(ウォー・タンク)での逃走劇です。
このシリーズを代表する主人公の愛車(インターセプター)は、アッサリと冒頭に盗まれてしまう。そんな大胆な展開に驚きました!
監督は前作までとジョージ・ミラーです。『マッドマックス』らしさを出しながら、新しいことに挑戦している。その英断に敬意を表します!

日本からの使者

制作には前田 真宏氏も関わっていますよ!
なんと、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版: Q』の監督が、ヒロインや敵役のデザインを担当しました! もともとは「アニメ版『マッドマックス』」という話も あったらしい。

気高き女戦士

フュリオサ大隊長が格好良かった!
顔が真っ黒のメイクアップにスキンヘッド・片腕で、女性らしい仕草も ほとんど無い。それなのに、登場する女性陣のなかでも最高に美しかった!
彼女こそ、この映画のヒロインであり主役です!

そのフュリオサがシャーリーズ・セロンで驚きました。
数多くの賞を贈られた名女優であり、モデル顔負けのスレンダな体形です。とくに印象に残ったのは、『イーオン・フラックス』でした。ボディ・スーツ姿がセクシィです!

夢から覚めたら

ニュークスドジっ子ぶりに萌える作品でした!
ニコラス・ホルトが演じるニュークスは まるで、「社長(ジョー)に失態を見られて落ち込む下っ端社員」でした。格好良く散ることが夢という志の低さは、ハンディキャップがあるから でしょうか。

妻たちは、マックスには恐がって近寄らない。
ところがワイブズたちは、ニュークスに対しては平気で殴る蹴るの暴行を加えています。この扱いの違いが楽しかった(ジョーの部下であり知った顔だから、という理由も あるだろうが)。

そんなダメ男だからこそ母性本能をくすぐる。
ケイパブルライリー・キーオ)に好かれたのも当然の成り行きでしょう。
ただしイケメンに限るけれど。


ところで、「ニュークス」の綴りは「Nux」です。
なんとなく検索すると──「無価値なもの」という意味が出てきました。一方、Wikipedia では「核兵器」という意味だと書かれている。どちらもニュークスっぽくてピッタリです!

王が(小声で)吠える

ジョーの第一印象は「声、小っちゃ!」でした。
──リクタス・エレクタスネイサン・ジョーンズ)が民衆に向かって肉声で演説している。そのあとにイモータン・ジョーヒュー・キース・バーン)がマイクでスピーチをします。
リクタスのほうが よく通った声だったという……(ただし吹き替え版での話)。


ここで思い出したのは『ガキの使いやあらへんで!!』でした。
絶対に笑ってはいけない」シリーズで、どこかの旅館(?)のカラオケ会場へ一行が やってくる。スタッフがエルビス・プレスリーのコスプレ衣装を着てノリノリで登場します。

歌い始めると──ぼそぼそとした小声で聞こえない!

容姿と声とのギャップに笑いました。
その場の「ノリ」が手伝って何人も「アウト~」に なってしまう。さらに、同じ状況が何回も何回も「天丼」で繰り返され、そのたびに「アウト~」が増えていきました。
まさか『マッドマックス』で思い出すとは!


それは さておき、ジョーはリーダとして優秀です。
爆弾で埋め立てられた道をジョーがが先頭になって突き進んでいく場面がありました。第 2 の爆弾や地雷の存在なんて頭にありません!
一刻も早く妻たちを取り戻すことと、部下たちを導くことしか考えていない。これぞリーダの鑑です!
(おまけに、たまたま後ろのほうにいたおかげで沼地の地雷は避けられた、という強運の持ち主でもある)

影の薄いハイオク

最初から最後まで目立たない主人公でした。
いや、冒頭から登場しているし、追跡の場面でも「最前線」に位置している。主人公の視点も多い。それなのに、極端にセリフが少なくて(「ん! んん!」ばかり)感情も分かりにくかった。
トム・ハーディが演じるマックスには、「マクシミリアン・ロカタンスキー」という本名が あります。劇中には まったく本名が出てこないし、「マックス」という通り名ですら誰も呼ばない。

しかし、だからこそ良い!
おかげでファンには「輸血袋」という呼び名で親しまれることになりました。彼が目立たないからこそ、新生『マッドマックス』の第 2・3 弾が期待できます(当然、出るよね?)。
今度は どんな狂人が登場するのか──!

メイキング・オブ・マッドマックス 怒りのデス・ロ-ド