冨樫義博一覧

HUNTER×HUNTER 5 巻 「ジン・フリークス」 1 – BONE To Be Wild

『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.5 「ジン・フリークス」

Lego bonesいつかその姿になっても──野性的に行こうぜ!

ついにハンター試験が終わりました! ハンター協会にはゴンの父親が待っていて、連載自体も「今まで声援をありがとうございました」──とはならずに、すぐさま次の展開へつないでいます。

コミックスの 5 巻は、「友だちとは・家族とは何か」がテーマだと感じました。そして どちらが重要なのかを考えさせられる。

人と人との関係とは、一種の幻想や物語だと思いますが、けっして語り尽くすことは ありません。いつでも頭の片隅には置いておきたい。

この人生の一大テーマを描くために、主人公のゴンではなくキルアに焦点を合わせたことが面白いですね。友人の闇を描くことで、主役の光が強調されている。

「いやいや、アンケートでキルアが ぶっちぎりだっただけちゃうかー」とか思った──なんて人はいませんか!?(いつもの責任転嫁)

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HUNTER×HUNTER #332 「喝采」 当選よりも尊い友だち

HUNTER×HUNTER No.332 「喝采」 (週刊少年ジャンプ 2012 年 08 号)

Tauro, Piscis y Cáncer病院を出る全員が──笑顔で いられたら

毎回のように驚きの展開が待っています。ところが、過去の話を読み返してみると、ちゃんと答えへの糸口が見えることも多い。感想を書いていると、どうしてそこを見抜けなかったのか──と思ってばかりです。

ちゃんと今までの展開を頭に入れていれば、今回の話にも自然と つながっていました。だから読解力が高い人には、何もビックリするところがなく普通に読めたでしょうね。そういう人は、匿名の掲示板に何人もいそう(本当かどうかは さておき)。

自分は驚けて良かった!

何度も書いているように、マンガはクイズではないですからね。答えを探るために読むものでも、教訓を得るためのモノでもない。読んで自分が どう思ったか。──それだけが重要です。

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HUNTER×HUNTER 4 巻 「最終試練開始!」 2 – 決闘も運賃も負けない

『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.4 「最終試練開始!」

大雀蜂
眠れる森の──蜂

第 4 次試験はゼビル島にて行なわれる「島編」で、No.23 から No.32 まで続いてきました。

──惜しい、あと 1 話でピッタリなのに!(『ふしぎの海のナディア』の「南の島編」は 23~33話だった)。

ただ、ゼビル島はくじら島と似た環境なのに、ゴンが地の利を生かすこともなく、ちょっと物足りなく感じました。

あまり少年マンガで森林が舞台のバトル・マンガを描くのも縁起が悪いから、これくらいでちょうど良いでしょうね(時代が逆だけれど)。

タカヤ -閃武学園激闘伝- #森漫画と呼ばれた理由(わけ) – アンサイクロペディア

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HUNTER×HUNTER 4 巻 「最終試練開始!」 1 – 一瞬のスキと一発の借り

『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.4 「最終試練開始!」

Coffee Shop 44一杯の借りで済んだら──楽だったのに

もう時効だろうから白状すると──、ヒソカが言った下のセリフを、連載当時に決めゼリフとして掲示板で使っていました……。あのころのオレは青すぎた。いま思い出すと、顔が青くなる。

しかし 青い果実ってのは どうして ああも 美味し そうなんだろう ねェ…

H×H』の とくに初期は、自分にとって黒歴史の宝庫でした。似たような人も多いでしょうね。すっかり熟れきった果実の今、それはそれで良い思い出です。だから 10 年後にも感想が書ける!

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HUNTER×HUNTER #331 「X 日」 この世は閉じられている

HUNTER×HUNTER No.331 「X 日」(エックスデー) (週刊少年ジャンプ 2012 年 07 号)

St. Joan in Paris
(聖なる者が栄光を手にする──とは限らない)

レオリオのことを高く評価しているジンが興味深かった。一流のハンターから「伸び代 デケーぞ」と言われるなんて、レオリオの将来は約束されたようなものですね! この 2 人が師弟コンビになったら楽しい。

「ケンカ好きで ふてぶてしい」ジンと「意外と情に厚い」レオリオに「冷静な知将」のクラピカと「腕が立ち残酷な」キルアの 4 人が組んで、ついでに「髪型が似ている」(だけ)のマチも加えたら、まんま「アレ」じゃないですかー!

この際だから、タイトルも変えてしまいましょう。亡くなった同胞の「霊」に縛られているクラピカと、「び」好きなジンがいるから、

──『てんで性悪キューピッド』ということで。

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HUNTER×HUNTER 3 巻 「決着」 2 – 狩る×射る×滑る

『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.3 「決着」

大すべり台
(さあ──大冒険の始まりだ)

飽きっぽい作者だけあって「トリックタワー編」は比較的すぐに終わったけれど、ほかのルートも描けば長々とした話にできます。ヒソカやハンゾーたちが どんな試練を受けたのか、どんなドラマがあったのか、考えるとワクワクしませんか?

ところで、ファンが作った同人誌に「本編とまったく同じ話」が描いてあったら、それは「パクリ」です。愛は感じても、評価はできない。

マンガを原作としたアニメなども、個人的には「二次創作」と思っています。同人誌もアニメも、原作と同じでは「話にならない」と考えている。上で挙げたような話の広がりがアニメにもあると良いですね。

原作厨(自分)は原作だけ読んでいれば良い。

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HUNTER×HUNTER 3 巻 「決着」 1 – 手で つかんで確かめる幸せ

『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.3 「決着」

Late for Work / Tarde pa'l trabajo
(とてもじゃないが──彼には見せられない風景)

3 巻目ともなると登場人物は勝手に動き出します。だんだんと作者の言うことを聞かなくなってくる。

オレとクラピカが 勝って 前進だ !!」というレオリオの言葉を聞いて、自分の名前を抜かされたキルアがカチンと来る描写は、もう自動的に出てきたでしょうね。

「この人物は こういう性格なんですよ」というエピソードをわざとらしく入れるよりも効果的です。こういう細かい描写をはさむバランス感覚が冨樫義博先生は優れている。あまりにも多すぎるとウザったいし、すくなすぎると味気ない。

それでも、ゴンの性格描写は かなり抑えている感じがします。登場の場面も非常にすくない。おそらく意図的に描いていないのでしょうね。まだまだゴンの底が見えてこない。読者にも──作者にも。

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HUNTER×HUNTER 2 巻 「霧の中の攻防」 2 – 球を追い続けるような人生

『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.2 「霧の中の攻防」

Show Off
(1 人だけ勢いよく燃える──そんな人生も良い)

ゴンとキルアで、ネテロ会長への接し方が あからさまに違っていて楽しかった。「いい性格をしている」同士のキルアとネテロは、会話をするたびに衝突しそうです。どんどん ぶつかって欲しい。

ネテロが持ち出した「ゲーム」の話は、普通だったら、「ほかの受験生よりも実力の劣る少年たちのために指導した」という場面として描くはずです。つまりは修行シーンですね。

ところが、本当に会長は退屈なんで 遊び相手を 探してただけなんですよ! これにはビックリだ。

ある意味では、子ども 2 人を一人前のように扱っているのかな。「大人げない」とも言うけれど。

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HUNTER×HUNTER 2 巻 「霧の中の攻防」 1 – 時には落ちることも正解

『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.2 「霧の中の攻防」

spam musubi
(未知なる味の探求は──また今度に しよう)

コミックスの最初に描かれているイラストには、本編にも表紙にも無関係な、幼い女の子が登場します。容器に入ったプリンらしき物を食べているだけなのに──なんだかグロテスクに見える。『レベルE』を思わせる ふんいきです。

ハンター試験の不気味さを感じさせる──。

ページをめくると、リアルなタッチで描いたサトツ試験官が現れました! 「サトツには口があるのかどうか問題」の答えが得られる貴重な絵です。ありがたやー!

ほかの試験官や受験生のリアルな絵も見られて、「単行本では毎回おまけが あるのだな」と──この時は信じていました。信じるのは勝手だ。

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HUNTER×HUNTER #330 「告白」 快方×解法×開放

HUNTER×HUNTER No.330 「告白」 (週刊少年ジャンプ 2012 年 05・06 合併号)

B365:244 Cat Nap
(優しさに包まれて──おやすみなさい)

「今後の展開で明かされそうな謎」を前回の感想で いくつか挙げました。今回の話のなかで、そのうちの 1 つだけが完全に謎解きされています。

HUNTER×HUNTER #329 「密偵」 三×参×散 | 亜細亜ノ蛾

ゴンは元どおりになって助かるのか?」と上の感想で書きましたが、肝心な謎を忘れていました。それは──、

多くの犠牲者が出ることに、キルアは耐えられるのか?

──この悩ましい問題が、アッサリと解決します!

正直なところ最初に読んだ時には、「また あと出しジャンケンかよ!」と思い、薄汚れた部屋の壁と「ジャンプ」をキスさせようかと思った。

しかし、すぐにトリックの仕組みに気がつく。最後には「やられた! ちくしょー!(満面の笑顔で)」と上質のミステリィを読んだ時のような気分に なりました。

おそらく宇宙の歴史のなかで、「だまされたい」という願望を持った生物は、食うに困らない近代の人間だけでしょうね。これからも上手に だまくらかして欲しい。

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