mystery一覧

『九マイルは遠すぎる』──探偵役はLに似て

タイトルだけは

自分の中では「タイトルだけは有名なミステリィ」の代表と思っている(失礼)本作を、ようやく読みました。

表題作を含む8作品が収められた一冊です。どの作品も、語り部は《わたし》でワトソン役、探偵役はニッキイ・ウェルト教授、といえば判りやすいでしょうか。

表題作

やはり何と言っても表題作『九マイルは遠すぎる』が面白い。《わたし》が、ふと頭に浮かんだ

「九マイルもの道を歩くのは容易じゃない、まして雨の中となるとなおさらだ」

──というセリフからニッキイが推論を広げていき、最後にはある犯罪を暴く、というストーリィです。ミステリィファンなら、一度は聞いたことがあるのでは?

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九マイルは遠すぎる
ハリイ・ケメルマン 永井 淳 深町 眞理子
早川書房 1976-07

by G-Tools , 2006/11/02

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『名探偵の掟』は壁投げか?

#### 東野圭吾氏は初
自分は、ミステリィというと森博嗣氏の作品ばかり読んでいます。まぁ、趣味なので好きな作家の作品ばかり読むのもいいですが、たまには他の作家さんも。
──ということで、同僚から借りてきたのがこの作品。

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名探偵の掟
東野 圭吾
講談社 1999-07

by G-Tools , 2006/10/22

タイトルからは想像が難しいですが、ミステリィの「お約束」をパロディにした短編集です。

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『レタス・フライ』で過去作品の疑問に決着

#### ショートショートを含む9作品
森博嗣作品は、すでに「四季」や「Gシリーズ」などが出ているのですが、何となく後回しにしています。読む本が無くなったら手を出そう、という。
ただ、短編は手軽に読めるので、『レタス・フライ』を読んでみました。──想像通り、何が「レタス」で「フライ」なのかは書いてありませんでした。──なんだろう?
ショートショートが5編も載っているのが珍しいですね。幻想的な作品が多く、いままでの短編集と、趣が少し違いますね。おちゃらけた作品もありません(それが少し残念)。

レタス・フライ

レタス・フライ

  • 森 博嗣
  • 講談社
  • 2006-01-11
  • ¥ 924
  • Book


ここからは少しだけネタバレを含みます。

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『苦い林檎酒』 古びない《アリス》がここにも

#### ラヴゼイ初体験
何となく敬遠していたラヴゼイを読んでみた。よかった。アリス萌え。終わり。──でいいと思う。

苦い林檎酒

苦い林檎酒

  • ピーター・ラヴゼイ
  • 早川書房
  • 1987-09
  • ¥ 530
  • Book


初版が87年発行、と古い作品です。しかし、決して中身は古びていませんよ。
#### あらすじ
第二次大戦中に起きた殺人事件。当時9歳の男の子だった主人公は事件について証言し、そのために彼が慕う人物は絞首刑に──。20年以上も記憶の隅に封印した記憶が、死刑になった人物の娘が彼の元に現れたことで解かれる──。
話としては地味な方で、時代背景もあまりなじみがないのですが、とにかく人物描写が丁寧で魅力的です。

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ほのぼの青春ミステリィ(嘘)『世界は密室でできている』

#### 舞城王太郎の入門編?
奈津川サーガの三作目、もとい、番外編という趣向。一作目に颯爽と(笑)登場した名探偵、ルンババ(番場)の中高生時代の話です。──などと書くと、一作目から読まないとなんのことやら、という感じですが、一・二作目とは独立した話です。
また、語り部である主人公・西村友紀夫が中高生なので、難解な表現は出てこないし、奈津川家の人間のように暴力的でもないので、かなり読みやすかったです。前作までの過激な表現は人を選びますし、「とりあえず舞城王太郎を一冊読みたい」という人は、『密室』から読むのがお勧めかも(自分はまだ三冊しか読んでいないですが)。
#### あらすじ
主人公・西村の友人、ルンババはお隣さん。ある日、ルンババの姉は飛び降り自殺をしてしまう。中学生でありながら、何度も難事件の解決に手を貸したこともある、名探偵・ルンババは姉の死の謎を解く。しかし、その後も二人の回りでは次々と殺人事件が起こり──
──という具合。

世界は密室でできている。

世界は密室でできている。

  • 舞城 王太郎
  • 講談社
  • 2002-04
  • ¥ 798
  • Book

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『暗闇の中で子供』に手も足も出ない

*感想が書きにくい*シリーズ第二弾! ミステリィ読み泣かせの作品でもあります。
前作の感想は[『煙か土か食い物』か石けん(ブラックジョーク)](https://asiamoth.com/200609072342/ “『煙か土か食い物』か石けん(ブラックジョーク) : 亜細亜ノ蛾”)で書きましたが、前作はまだミステリィの骨格を持っている作品でした。ギリギリ、ミステリィとして読めた。
『暗闇──』は、ミステリィとして読もうとすると、あっさりと*グーで殴られます*ね。『──ネウロ』を*推理物*として読むような、『スティール・ボール・ラン』を*スポ根物*として読むような(あ、それは読めるか)ものです。
しかし、物語に仕組まれた《ある仕掛け》について悩まされ、読了後に残る「してやられた感」、オチの突き抜けている感じは、ミステリィ的でしたね。

暗闇の中で子供―The Childish Darkness

暗闇の中で子供―The Childish Darkness

  • 舞城 王太郎
  • 講談社
  • 2001-09
  • ¥ 1,334
  • Book


#### え!? なんで!?
誰にでも判るような、*話の食い違い*が出てきます。誤植? と思って読み進めると、また話の食い違いが。その《謎》は、最後に「判りやすい答え合わせ」で解かれることを期待していたら、ラストでグシャッと踏みつぶされました。
必死になって「何故?」を考えて考えて──
──なるほど。これが、舞城王太郎作品か──(意味不明)。
読み返すと、作中で主人公が語った「ある種の真実は、嘘でしか語れないのだ」というのが作者からの強いメッセージと感じました。
──うーん、やられた! 次も読みたい!
#### この記事のタグ(偽)
[またやられた!][ラストのイラストはやり過ぎ][ユリオ可愛いよゆr(ry]


『煙か土か食い物』か石けん(ブラックジョーク)

#### ミステリィ、なのか?
これはなかなかレビューが書きづらい作品ですね。
主人公は海外で活躍する外科医で、彼の元に母親が倒れたという凶報が届きます。幸いにして生きてはいるものの意識不明で、どうやら主婦を狙った連続暴行事件に巻き込まれたらしい。しかも犯人は謎めいたメッセージを現場に残しています。切れ者の主人公が犯人に復讐するべく、事件を解明していく──というのが大まかなあらすじです。
あらすじだけだとミステリィそのものなのですが、いざミステリィと思って読もうとすると、
* トリックに「頭の体操」系の解りやすいパズルが使われている
* ミステリィ(作家)を揶揄するような表現が出てくる
* 怪しげな《名探偵》が出てくる
という感じで、ひょっとしたら、これはいわゆる「アンチ・ミステリィ」なのか、と思わせる書き方です。
読点(、)や改行をあまり使わず、福井弁が頻出する文体も独特で、ひょっとして読者を遠ざけたいのかな、と思いました。
暴力的な表現や性的な場面も出てきて、どうしてもそちらに目がいきます。しかし、「事件の謎を暴く」という部分もちゃんと書かれていて、最後にどんでん返しもあって、ミステリィとしても読めます。途中で放り投げるのは、もったいない作品です。

煙か土か食い物

煙か土か食い物

  • 舞城 王太郎
  • 講談社
  • 2001-03
  • ¥ 1,050
  • Book

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千夜一夜を共にする本

#### 怪しげなタイトルの意味は
誰にでも、何度も読み返す本があるのではないでしょうか。
asiamothの場合は、これ。

森博嗣のミステリィ工作室

森博嗣のミステリィ工作室

  • 森 博嗣
  • 講談社
  • 2001-12
  • ¥ 750
  • Book


森博嗣さんが影響を受けた100冊の本を紹介する「ルーツ・ミステリィ100」や、自作の紹介、昔に書いたマンガも載っています。森ファン必携! お腹いっぱい! うーん、もう一杯! な一冊です。
自分は、寝る前の少しの時間で、何度も拾い読みしています。──怪しげな記事のタイトルは、つまり、そういうこと。
#### 「ルーツ・ミステリィ100」
特に「ルーツ・ミステリィ100」が面白い。ミステリィ以外の作品も多く紹介されており、バリエーション豊富な内容です。
自分の中では、本を紹介する時のお手本にしています。ミステリィファンのためを考えて、*ネタバレになることは書いていない*のに、その本を*読みたくなるような紹介*なのが凄い。ブログで本の紹介をする際、うっかりすると*学生の読書感想文*みたいに「あらすじを書いただけ」になりがちな人に読んで欲しいですね(あらすじはあらすじで需要はあると思うが)。
どの作品にも愛が感じられる書き方で、ちょっと空いた時間に読むと心が洗われます。ある作品の紹介で「散歩のように読む」とか「*心の刃物を研ぐことのできる作品*」とありましたが、自分にとっては『ミステリィ工作室』がそれに当たりますね。毎日の散歩、のように読んでいます。
──そして、もうお気づきの通り、このブログで紹介している本のほとんどは、「ルーツ・ミステリィ100」に出てきます。100冊を読み終わることはできるのか──。
#### この記事のタグ(偽)
[実は千夜一夜ってたかだか三年弱][マンガは難解ス][萩尾望都さんのファンも是非]


暗中模索ミステリィ『ウッドストック行最終バス』

#### 古くて新しい
『ウッドストック行最終バス』は20年ほど前の作品ですが、いままでにないような新しい感覚で読めるミステリィ作品でした。
密室や時間差を使わなくても謎を深める書き方ができる、というのが面白かったです。
#### あらすじ
ヒッチハイクした車に乗り込んだ女性のうち、一人は殺害され、もう一人は行方不明になります。その後、誰も名乗りでない、というのがメインの謎。
──誰が彼女を殺害したのか?
──また、もう一人の女性はどこへ消えたのか?
その謎に立ち向かうのが、モース主任警部とルイス部長刑事。モースがホームズで、ルイスがワトソンと思って間違いないです。
変わっているのが、凶器から指紋を調べたり、被害者の女性の体内に残った体液を分析したり──というシーンが*全く出てこない*ところ。科学捜査が発達していないような、昔の話でもないのに。
この小説は、モースの*捜査方法が独特*なのが特徴です。ちゃんと足を使った聞き込みもしますが、ほとんどがモースの妄想を元に話が進んでいきます。頭の中だけで推理を進めていくのはよく見ますが、この作品ではそれが徹底されているのが面白い。

ウッドストック行最終バス

ウッドストック行最終バス

  • 大庭 忠男、 コリン デクスター
  • 早川書房
  • 1988-11
  • ¥ 714
  • Book

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山口 雅也『ミステリーズ』『マニアックス』

#### 今頃読み終わる
山口 雅也氏の『マニアックス』を読み終わりました。タイトル通り、*マニアックな人たち*が出てくる短編集です。
「マニアック」の解釈は人それぞれだと思います。巻末の《LINER NOTE》によると、
> Maniacという言葉は、日本ではもっぱら、「熱心な愛好家」という意味で使われているが、英語圏では端的に「狂人」という意味で使われることも結構多いようだ。
とのこと。
日本人の「当たり障りのない物言い」と欧米人の「はっきりとした言葉遣い」の差、というところでしょうか。この作品では、どちらかというと後者が多く出てきます。
『マニアックス』は、同じ著者による『ミステリーズ』の姉妹編、という位置づけになるようです。しかし、『ミステリーズ』がミステリィの短編集なのに対し、『マニアックス』はホラーの短編集でした。『ミステリーズ』と同じように読もうとすると、ちょっと肩すかしを食らうかも知れません。

ミステリーズ―完全版

ミステリーズ―完全版

  • 山口 雅也
  • 講談社
  • 1998-07
  • ¥ 700
  • Book

マニアックス

マニアックス

  • 山口 雅也
  • 講談社
  • 2003-05
  • ¥ 680
  • Book

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