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『情婦』(Witness for the Prosecution)

これは凄い! ラストで かなり驚きました。1957 年の映画ですが、ミステリィ要素は まったく古びていませんね。ミステリィ・ファン、必見の作品です。

原作はアガサ・クリスティの『検察側の証人』で、ビリー・ワイルダー監督らしい、じつにユーモアに あふれた映画に仕上がっています。

まず、病み上がりの老弁護士、ウィルフリッド卿(チャールズ・ロートン)が、ものすごくチャーミングなんです。ご高齢ですが、まるで悪ガキのようで、駄々をこねる姿が可愛らしい。彼を たしなめる付き添い看護婦、ミス・プリムソル(エルザ・ランチェスター)との やり取りが、最高に面白い! この二人の漫才だけで、一本 作品が作れるのでは(残念ながら、彼らの演技は「空の上」でしか見られませんが)。

(ところで、いまの ご時世に「看護婦」という表記は問題ありですが、彼女には「ナース」よりも「付き添い看護婦」とか「看護婦さん」という表記がピッタリなんだよなー。不快に思われた方は、すみません)

殺人の容疑者、レナード・ヴォール(タイロン・パワー)と その妻、クリスチーネ(マレーネ・ディートリッヒ)も じつに魅力的。美男美女というだけではなく、演技も素晴らしい! とくに、レナードは法廷で検察側に追い詰められるシーン、クリスチーネは冷たい表情で証言台に立つシーンが見ものです。

──と、すでに書きすぎた感がありますが、この映画もなるべく前知識なく、とくにラストは絶対に知らない状態で見ましょう! 見終わった人も、「この映画の結末を未見の人に話さないでください」ね。

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情婦 [スタジオ・クラシック・シリーズ]
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十二人の怒れる男 評決 お熱いのがお好き〈特別編〉 [スタジオ・クラシック・シリーズ] アパートの鍵貸します [スタジオ・クラシック・シリーズ] ユージュアル・サスペクツ

by G-Tools , 2007/12/26

チャールズ・ロートン

弁護の依頼を受ける、ウィルフリッド卿を演じたのはチャールズ・ロートン。

前半の、まだ依頼を受けるかどうかのシーンが、本当に面白い。普通、ここは短くカットしてしかるべきシーン(法廷をメインにするはず)なのに、いつまでも弁護士事務所で おしゃべりしていて欲しい、と思ってしまうくらい、可笑しい。

そうかと思えば、法廷では じつに有能。カミソリのような切れ味で検察側に挑みます。ちゃんと合間にユーモアも はさみ、観客を飽きさせない工夫が、隅々まで行き届いています。

それに映画全体で、セリフの一つ一つが洗練されているし、英語力が皆無の自分が聞いても「きれいなイギリス英語」に聞こえます(──よね?)。この映画から、創作の大事なエッセンスが、いくらでも引き出せますね。

タイロン・パワー

哀れな容疑者(?)レナード・ヴォールを演じるタイロン・パワー。

もう、憎たらしいほどのルックスと おしゃべりで、「そりゃモテるよなー」と、素直に感心してしまいます。キッチンでエプロン姿のシーン、キュンと来た女子も多いのでは?

それで、上にも書いた法廷で攻められるシーンが、迫真の演技です。ここ、「なんでウィルフリッドは援護しないの?」と思ってしまいますよね。ちょっと状況は違うけど、日本映画の『HERO』を思い出してしまいました。

さて、「彼」の「演技力」の真価が明かされるのは、もっと後半です……(見てのお楽しみ)。

マレーネ・ディートリッヒ

夫が殺人の容疑者という、哀れむべき(?)クリスチーネを演じるのは、マレーネ・ディートリッヒ。

名前だけは知っていましたが、彼女の演技を見るのは初めてです。法廷の証言台に立つところが素晴らしいですね。驚愕の証言を淡々と述べるシーンが、冷たい演技とライティングの おかげで、神々しく見えます。

それで──、どうも、この証言台の場面とクラブで歌っているシーンを見ると、椎名 林檎さんを思い出します。──え、オレだけ?

同じ事を考えている人が いないか探すと、ちょっと面白いことを見付けました。『GUILTY GEAR』(格闘ゲーム)のキャラ、イノの説明です。

イノのモデルはミュージシャンの椎名林檎であり、ホクロの位置(左口元)、誕生日、身長が同じである。また、イノが武器として用いるギターも、椎名林檎が初期に愛用したドイツ にあるギターメーカーデューゼンバーグ 社のDuesenberg Starplayer II がモデルとされ、椎名林檎が愛用したギターの愛称が「ディートリッヒ」なのに対し、イノが使用しているギターの愛称は「マレーネ」である。これは女優のマレーネ・ディートリッヒから取ったとされている。

イノ (GUILTY GEAR) - Wikipedia

──いや、まったく関係ないですけどね(笑)

ところで、本作で彼女は 50 代後半、というのが もっとも驚くべきところ でしょうね。ある意味、怖ろしい……。お、女って……。

ラスト

ラストは、もう誰が見ても驚くことでしょう。じつに見事な終わり方です。

ミステリィ・ファンなら、途中でトリックに気がつくと思いますが──、しかし、この映画は それだけではない、というのが凄い。ラストを完全に見抜いた人、というのは いるのでしょうか?

ところで、そういうミステリィ的なオチはもちろん、ミス・プリムソルの最後の ひと言が、やっぱり良いですよね。直前のオチで、息を呑んでボーッとなっていた頭が、あの ひと言で ほぐされました。彼女が付き添い看護婦だったら、毎日 退屈しないでしょうね。

──いやー、良い映画見た!(おかげで、「今年の映画ベスト○○」が なかなか書けない)

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