Photoshop CS5
フォトショップの最新バージョンである CS5 と言えば、新機能である「コンテンツに応じた塗り」が有名です。ウェブ上でも、いろいろな作例が見られますよね。
- コンテンツに応じた塗り – Adobe Photoshop Magazine – Photoshop CS5 – 新機能紹介
- Photoshop CS5を使用したコンテンツに応じた塗り|ConneLog|ConneCre
- 「Adobe Photoshop CS5」使ってみた:「コンテンツに応じた塗り」?|?9bic blog
たしかに、この機能は面白いし便利です。
けれども──、われわれのようなニュータイプの「カメラ人類」(by. チョートクさん)としては、年がら年中・何やかんやと「応じて塗って」いても仕方がない。
CS4 よりも「環境設定」のメニューが洗練されていたり、(ようやく)切り抜きツールに 3 分割線が表示されたり、動作の速度が(体感的に)向上していたり──というほうが重要です。
よりスマートになった Photoshop の既存機能 – Adobe Photoshop Magazine – Photoshop CS5 – 新機能紹介
中でも、「プロファイルを使った自動レンズ補正」に大・注目しましょう!
たまたま自分が愛用しているレンズである TAMRON SP AF28-75mm F2.8 A09E がプロファイルに登録されていたので、どんな感じに補正されるのか、試してみました。
ACR による自動「レンズ補正」
まずは、「レンズ補正」を適用する前の画像をご覧ください。
タムロンの銘レンズである 28-75mm と Canon EOS 7D とをセットして、RAW(S-RAW)で撮影し、Adobe Camera Raw(ACR)の初期設定で現像しました。光量不足だったために、露出だけプラスへ補正してあります。
さらに、湾曲した具合を分かりやすくするため、Photoshop(Ps)で方眼を重ねました。
そしてこちらが、自動「レンズ補正」を初期値で設定した画像です。
湾曲はビミョウに残っていますが(わざと残している?)、周辺光量の減光はほぼ完全に修正されていますね。
Ps による自動「レンズ補正」
かなり謎なことに──、Ps 上でフィルタとして動作する「レンズ補正」は、ACR とは異なります。ここが、ヤヤコシイ!
ACR はレンズのメーカとモデルを選べるだけですが、Ps のほうはカメラの機種も選択できます。残念ながら、自分の 7D は(まだ)登録されていませんが、ほぼ同じグレード 50D を選べば大丈夫でしょう。
登録されているカメラは、Canon だと Canon EOS 1Ds MarkIII など、プロの機材が中心です。おそらく、プロ側からの要求があったのでしょうね。
さらに、Ps はプロファイルを「オンラインで検索」できる! ──のですが、Ps で検索したプロファイルが、ACR でも使えるかどうかは分かりません。
いまのところ、カメラとレンズの両方が対応していない限り、自動「レンズ補正」は ACR 側で適用したほうが良さそうです。Ps 側でムリヤリに自動補正すると、不自然な結果になりました。
プロファイルがカギ!
さて、もうお分かりのように──、「レンズ補正」を自動で適用するには、ACR/ Ps 側でプロファイルが対応している必要があるのです。
自分が持っているもう一つのレンズ──TAMRON AF18-270mm F/3.5-6.3 DiIIVC LD Aspherical [IF] MACRO B003E(長い!)は、現在のところ、プロファイルが登録されていませんでした。
じつは、下記のツールを使えば、プロファイルは自分で作れます。──が、けっこう環境を整えることが面倒そう。それに、キッチリとしたプロファイルがシロートに作れるかどうか、不安だし……。
Adobe Labs – Downloads: Adobe Lens Profile Creator
Adobe のフォーラムなどで、ユーザが作成したプロファイルが公開されないか、待っている状態です。どなたか、任せた……!
Adobe Forums: フォーラム: Lens Profile Creator
純正以外のレンズ
ウェブ上では、「レンズの収差はコンピュータでカンタンに修正できる」といった記述をよく見かけます。
ただ──、自分が知る限りでは、CS5 以前には「カメラとレンズを自動的に認識して補正する」ソフトは、Captureone しかなかったハズ。
いや、もちろん、カメラメーカ純正のレンズを使っていれば、これまたメーカ純正のソフトで補正はできるでしょう。
でも、自分のように「無論タムロン」なレンズを溺愛するカメラ人類は──、純正ソフトから冷たくあしらわれるのです。メーカからも、「はいはい、赤いわっかの付いたレンズを買って出直してきてね」と言われるに違いない……!(被害妄想)
そんな状況の中、Adobe さんはサードパーティのレンズまでアッサリと取り込もうとしている。
真っ先に補正データを提供した、シグマはナイスです! 発売されたばかりの シグマ 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM キヤノン用 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM EO も、自動補正のプロファイルにデータがあって、ビビった。
シグマ、「Photoshop CS5」にレンズ収差補正データを提供 – デジカメWatch
こうなってくると、「自動補正データがあるから」という理由でレンズを買い換えたくなります。
たとえば、シグマ 17-70mm F2.8-4 DC MACRO OS HSM は GANREF の性能テストを見ると、けっこう湾曲収差が目立つ。
GANREF | 17-70mm F2.8-4 DC MACRO OS HSMの性能テスト | レンズ
けれども、「ACR で補正すればいいや」という気がします。
また、ポートレイトでは(ぼかすために)望遠側をおもに使い、望遠側は糸巻き状──真ん中がヘコむ。ヘコんだ写真を補正すると──「顔や胴体が膨張する」ことになるんですね。
そうなると、「湾曲収差はあまり補正しないほうが良い」という気もします。
ACR・Ps では各収差の補正量を調整できるため、被写体にピッタリと合ったレンズ補正を心がけましょう!