HUNTER×HUNTER No.320 「投票」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 45 号)
毎週毎週 『H×H』が面白すぎて、生きるのが辛いです(HOT という意味)。ひとことで言うと今回の話は、
「同窓会回かい?」
──といった感じの一話でした(「2 点」)。
この冒頭だけは、いつもネタバレを避けているのですが──、そんなことは自分で勝手に決めただけなので、あっさりと書いちゃおう。
懐かしい登場人物たちが、たくさん出てくるでェ!
5 マイナス 1 のルール
投票者は 必ず名前を 記入すること
というルールは、前回でチードルが否定していました。その理由は、パリストンに有利だから──、つまりは「副会長派」が裏切れないからです。
「おもしろいから」記名式を強制しているジンですが──、その真意は読めません。自分が 楽しむことしか 考えねェ
と評されているけれど、そんなに単純な人物ではないことは明らかです。
最高責任者
を決める やり取りは最高でした!
ジンは何も考えていない──と読者に思わせておいて、チードルやサッチョウですら気がつかなかった「裏技」を出すことで、彼の賢明さを表現する。
その一方で、すぐにルールの弱い点を突いてくるパリストンも見事です。揚げ足取りが上手すぎる。
この場面によって、ジンとパリストンが「思考の瞬発力」の面で対等であり、残りの 10 人は一段以上は下がるような印象を受けました。
あいかわらず、作者の人物描写は神がかっていますね! 人数が多いのに「キャラが立って」いて分かりやすい。
しかも、まだ作者に だまされているという──。
四つで十分ですよ!
マイペースだけれど「ちょっと」切れ者だな──といったジンのイメージが、2 日前
の場面で一変しました。「十二支ん」の中で最高の頭脳を持った人物かもしれません。
前回のラストでビーンズは、これが ハンター !!
と心の中で叫んでいました。けっこう不思議なセリフだったけれど、今回のおそろしい
と同じで、ジンひとりに対する言葉だったのか!
ジンが つぶやいた四つ… いや 八つ だな
というセリフは、また新たな謎を残しました。
シンプルに考えると、今回で採用された 4 つの条件が通らなかった場合を想定して、あと 4 つの案をジンは考えてあるのでは?
そして その案は、『レベルE』に出てきた「マクバク族から人類を守る もう一つの方法」のように、けっして語られることはないのでしょうね。作者も考えていない──と見せかけて、読者よりも斜め上の発想を、誰にも語らず墓まで持っていく気だったりして。
──冨樫先生の毒は我々の身近に 存在し これらから 身を守る方法は 将来にわたり皆無である
。
ところで、手近にある物を利用して「くじ引き」をする──、と見せかけて仕込みがしてあったという展開は、『カイジ』を思い出しました。
料理と同じで勝負にも、始まる前の下ごしらえが肝心です。そんな余裕があれば──の話だけれど。
献花と献本
第 13 代会長総選挙
は、同時にネテロ前会長の葬式でもある。投票よりも、献花と祈念のために訪れたハンターが多いでしょうね。深夜から並ぶ人なら なおさらです。
この「花を捧げる風景」は、不謹慎ながら、時期的に狙いすましたかのように見えました。「被毒者」といい、不吉なタイムリィさが続いている──。
アップルストア銀座に献花が集まる、ジョブズ氏の訃報受け -INTERNET Watch
ところが、湿っぽくならないところは冨樫流でした。
供えられた花たちに まぎれて──いや、まぎれず目立つ位置に、アダルティな華が咲いています。同じ「大人向けの雑誌」好きのビスケが、シレッと飾っている姿を思い浮かべました。
- ネテロ:
- 「はーっ また表紙に 騙された…(あの世にて)」
- ビスケ:
- 「けけけっ」
ハンター試験中、メンチに向かって会長らしい威厳のある言葉を吐きながら、チチ でけーな
と心の中で思っていた(『HUNTER×HUNTER (3)』)ネテロのことだから、ずっと現役で「お盛ん」だったのでしょう。
──ふと思ったけれど、ハンターたちの何人かは、ネテロの子孫なのでは? 某・有名「ジャンプ」マンガのように、全員が兄弟だったりして。
あの人は いま
懐かしい顔ぶれが並ぶ中、「ポンズやポックルは いないの?」などと不謹慎なことを書きそうになりました(←書いている)。しかし──、こんな展開もあり得ますよね。
- ポックル:
- 「あたちの 名前は ポックル です !! 」
- ハンゾウ:
- 「うお イメチェンか?」
- ポックル:
- 「敵の女王に 食われました」
- ハンゾウ:
- 「何だよ まさか 負け
- ポックル:
- 「負けたよ!」
(途中から『HUNTER×HUNTER (22)』ネタ)
でも、ポンズは──、奇跡の復活劇もムリなはず……。シャウアプフみたいに、「じつは蜂の一匹が本体だった」みたいなことでもない限りは。
「ポ・コンビ」たちと同様に、キメラアントの討伐に向かったハンターは、ほかにもいたはずです。再登場したハンターの中には、アリになった人物は いなさそうですね。
いや──、もしかして、ゴレイヌ先輩がッ!?
非・密かに登場!
大好きなヒソカが久しぶりに見られて感激です! いつものように不敵な態度な点と、尻デカ衣装が面白かった。
ヒソカはハンター試験に 2 回しか出ていないはずなのに、ミザイストムやカンザイ・ピヨンが知っているくらい有名なのですね。
というか──、ヒソカは大量殺人の指名手配犯なのでは? せっかく「十二支ん」が 3 人もいるのだから、本来は取り押さえるべきだと思う。殺人鬼
にライセンスを普通に与える協会だから、ナニヲイマサラか。
イルミが大昔の格好で出てきたところと合わせて、アニメを見たファンへのサービスかもしれませんね。だったらヒソカは、「なんだ ギタラクルか」とイヤミを言って欲しかったけれど。
ファン・サービスといえば、クラピカとレオリオが見たかった! ベラム兄弟でさえ参加しているのに(しょげた表情が似合わなくて笑える)。
あと、ヒソカが 95 点… !!
と感じた場面では、「ついに モタリケが来たかッ!!(ガタッ」と思──わなかったけれど、ゴレイヌ神は 256 点くらいだと思う。
弟が心配
まるで何年も続いていたようなキメラアントとの戦いを、たった一言二言で まとめてくれるイルミは親切ですね。長々と話しても、ヒソカはすぐに忘れるからでしょう。
この見開きページだけで、疑問が山積みです!
- もしもヒソカとネテロ・メルエムが戦っていたら?
- クロロの念能力や生死は?
- キルアはシルバに何を頼む?
- なぜゴンだけではなくキルアも死ぬ?
- ゾルディック家のもう 1 人の弟とは?
キルアが向かった先は、グリードアイランドでは ありませんでした。何度も何度も過去の記事へリンクしているけれど、アイテムの組み合わせでゴンを救えると思うのですが──。
HUNTER×HUNTER 29 巻 「記憶」 「視」るだけでは分からない痛み | 亜細亜ノ蛾
これは「もうそんなレベルじゃないと思います
」状態なのかもしれない。
ドラゴンボールのアックマイト光線についての考察~もしくは富樫先生がドラゴンボールを描かれたら – tyokorataの日記
複雑な兄弟
では、どういう状況なのか──。自分もイルミ ちゃんと説明しろ
と思いました。
話の行間を読むと、「いままで未登場だった弟の能力を借りるために、キルアは父親に頼み事をしている」という感じでしょうか。でも、それなら、弟に直接 言うことだよなぁ……。
その弟とやらは、かなり危険な人物なのかもしれません。そのため、地下か どこかに幽閉してあって──とか? どうも話が つながらない。
このゾルディック家の兄弟が集合している写真は、「カルトが幻影旅団に入った理由」を回想する場面で出てきました。兄を取り戻すために、カルトは入団したという──。
「取り戻す」という表現も絶妙です。「どこかに囚われている」とも取れるし、「現在は正気ではない」とも読み解ける。
イルミ以上に兄弟思いの人物で、キルアのことを心配するあまり──あるいは嫉妬して、ゴンもキルアも殺してしまうような人物なのでしょうか。
何度も繰り返す
第 1 回目の選挙結果が出ました。この「名前が並んでいるだけなのに楽しめる」感覚は、『幽☆遊☆白書』のラスト付近を思い出しますね。
- レオリオ:
- 「──で 誰が会長になったんだ?」
- キルア:
- 「だから その イックションペって おっさん」
16 位以上のハンターを対象に再選挙が行なわれるわけですが、現時点でパリストンが絶対的に有利です。
投票率が 95% 未満であれば、人数を減らして再選挙になる。このルールだと──、全体の 5% を無効票・欠席票になるように「副会長派」の人間が調整すれば、最後まで やり直しになります。
とはいえ──、「副会長派」の絶対数は 249 名しかいません。全会員 661 名の半分には満たない。今後の再選挙で この数が増えなければ、「会長派」(に見える)チードルに票が集まりそうです。
ただ、再選挙のたびに投票率は減るのでは?
前回の感想に いただいたコメントで、会長選挙をハンターのほぼ全てに投票させること、が達成難度”D”なのでは
──との意見をいただきました。
コメントに対して自分は、「いやいや、会長になることが D でしょう(キリッ」と返したのですが──、選挙の成立自体が難易度 高すぎでしたね! また自分の読解力が足りなかったか……。
ちょっとだけ(ミザイストム 3 人分くらい)くやしいので、「95% の投票率は難度 D・会長になるのは難度 A」という意味だと思っておこうっと。
コメントで書いたようなルールに変更しない限りは、投票率を増やせないと思う。ネテロもジンも、意地の悪い決めごとを考えたよなぁ……。
実際の選挙でも「無記名投票」が行なわれているので、 協会の人間がハンターの元へ票を取りに行き、 断わられたら無記名投票と見なす──と決めれば、 投票率 100% にもできますよね。
おわりに
最後のコマで、ほかのメンバからジンはアホ呼ばわりされています。しかし、このビーンズとの会話すら、ジンの計算なのでは──と思う。
ここで派手に騒ぐことによって、選挙の最高責任者であるビーンズだけが投票権を開示できる──と強調されました。パリストン以外の「十二支ん」が不正を行なうとは思えないけれど、いちおうの防止策になるわけです。
でも──、逆に言えば、ビーンズが裏切り者だった場合は、投票の結果を完全にコントロールできる。自然な形で会長を決められるのです。
いや、そもそもこの作品には、「念能力」が出てくる。操作系の能力者にビーンズを操られたら、すべてが終わりです。
ジンもマイペースな性格なので、そう言えば操作系能力者っぽい。まさか──!?
- ジン:
- 「いつから 念能力を使っていないと 錯覚していた?」
- ビーンズ:
- 「なん……ですと……!?」
- パリストン:
- 「そう思って 僕も“挟み込んで”おいたよ」
- ビーンズ:
- 「なん……ですと……!?」
- サッチョウ:
- 「
- ジン・パリストン・ビーンズ
- 「サッチョウのオーラが……消えた……?」
サブタイトルの元ネタは、下の短編集からです!