HUNTER×HUNTER 2 巻 「霧の中の攻防」 1 – 時には落ちることも正解

『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.2 「霧の中の攻防」

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(未知なる味の探求は──また今度に しよう)

コミックスの最初に描かれているイラストには、本編にも表紙にも無関係な、幼い女の子が登場します。容器に入ったプリンらしき物を食べているだけなのに──なんだかグロテスクに見える。『レベルE』を思わせる ふんいきです。

ハンター試験の不気味さを感じさせる──。

ページをめくると、リアルなタッチで描いたサトツ試験官が現れました! 「サトツには口があるのかどうか問題」の答えが得られる貴重な絵です。ありがたやー!

ほかの試験官や受験生のリアルな絵も見られて、「単行本では毎回おまけが あるのだな」と──この時は信じていました。信じるのは勝手だ。

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『のりりん』 4 巻 鬼頭莫宏 – 老いた松が手渡す刃

鬼頭莫宏 『のりりん』

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(その刃は──丸く収まらない)

「『のりりん』って どんなマンガ?」と聞かれれば、「ラーメン屋の おばさまが語る自転車の うんちく話に萌えるマンガ」と答えます。「なんでラーメン屋?」と聞かれたら、「んがぐぐ」ですけれど。

前巻までの感想はこちらです!

『のりりん』 1~3 巻 鬼頭莫宏 – 性格の悪さが実力差を埋める | 亜細亜ノ蛾

4 巻では、とくに「語り」の傾向が強かった。なにしろ自転車に乗っている場面が すくない。

読者が まったく知らなかった・興味がなかった世界のディープな話を延々と語っていて、それでも面白いのは驚異的です。また、650C 規格の話などは、ロードバイクに詳しい人でも楽しめるはず。

自分の得意なジャンルで たとえると 4 巻は、「キーボードは QWERTY 配列が大多数の現在に、Dvorak 配列AZERTY 配列の逸品を探す」みたいな話でした。

──まず、「キー配列に種類がある」ことを知っている・意識している人が少数だろうし、上記のアルファベットを見た瞬間に脳が情報を遮断してしまった人が大半のはず。

キーボードに詳しい人は、逆に「いやいやぁー、ここは日本なんだから、親指シフトのことを語ってもらわないと困りますよぉー」などと「たいへん気持ちが良い」口調で しゃべり出したくなる。

どちらの読者にも楽しめる内容で、しかもマンガにしようとなると、とてつもなく難易度が高い。

「人間、生きていれば小説の一本は書ける」といった言葉があって、誰でも得意分野の話なら本 1 冊分くらいは書けるそうです。しかし、マンガはムリだ。描いてみると分かるけれど、4 コマ・マンガですら形にすることは難しい。

恐ろしいほどの話の構成力に酔える一冊でした。

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ジョジョリオン 1 巻 「ようこそ 杜王町へ」 – 珠玉の体験に濡れる!

『ジョジョリオン』 volume 1 「ようこそ 杜王町へ」

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(かわいらしい花びらも──静かに うるおっている)

荒木飛呂彦先生の新作は、M 県 S 市 杜王町を舞台にして始まりました!

そう、『ジョジョの奇妙な冒険』の第 4 部と同じ町名です。しかし、登場する人物は まったく違っている。そもそも、第 4 部と同じ世界なのかどうかも不明です──。

なぜ『ジョジョリオン』は日本が舞台で、前作・『スティール・ボール・ラン』(『SBR』)の連載終了直後に描かれたのか? その答えは第 1 話を読めば すぐに分かります。

第 1 話が収録されたのは「ウルトラジャンプ」 2011 年 6 月号(2011 年 5 月 19 日発売)ということで、作者としては一刻も早く作品という形にしたかったのでしょうね。ネームは「あの直後」に書いたはずです。

本巻は物語の最初ということで、何もかもが謎に包まれている。表紙に描かれている「水兵のような格好をした主人公」の名前すら不明です。この「主人公は何者なのか?」という謎で読者を引っ張っていく。

そして、多くの読者の「よく知っている人物の名前」が出てきました──。

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バクマン。 #161-4 「息継ぎとパーティー」 ネームバリューと部数

『バクマン。』 161 ページ 「息継ぎとパーティー」 (週刊少年ジャンプ 2012 年 05・06 合併号)

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(名前よりも──思い出に価値がある)

文字どおりに腹一杯の食事を楽しんでいるエイジに比べて、まわりの大人たちは頭一杯に お金もうけのことを考えています。

おもわず「大人って……」と言いたくなる場面ですよね。子どものように純真なエイジと、金に汚い社会人との対比が痛々しい──とか。

その考えは間違いです。

そもそも この会場は、「優秀なマンガ作品には賞金を与えましょう」という手塚賞のために用意されている。お金の話が飛び交って当然です。

よく考えるまでもなく、お金は大事だよ。

ちなみに自分は「お金大好き!」なゼニゼニ亡者です。なので、アニメ制作会社の社員たちを見て、「もっと上手に誘えよ……」と思いました。たとえば、雄二郎よりも先に、美味しい料理を持ってくれば良いのに。

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バクマン。 #161-3 「息継ぎとパーティー」 ゲストとアズキュン

『バクマン。』 161 ページ 「息継ぎとパーティー」 (週刊少年ジャンプ 2012 年 05・06 合併号)

cider / strong bow
(ゲストは黄色と──昔から決まっている)

今回の加藤は かわいらしかった! 彼女は仕事熱心で良い人ですよね。下の記事でも彼女を大プッシュしています。──最後に たたき落としているけれど。

バクマン。 #156-2 「余裕と修羅場」 スタイリッシュと仕切り直し | 亜細亜ノ蛾

パーティーへの意気込みを感じる加藤の格好は、彼女なりの「勝負服」でしょう。おしゃれで女性らしくて素晴らしい! たとえば合コンなんかに参加したら、かなりのモテ子さんに なるのでは?

声優の北見は人脈も豊富でしょう。今回の見返りとして加藤は、声優や事務所の人を北見に紹介してもらったほうが良い。

あと ちょっと思ったのは、加藤の さらさらヘアーと洋服の感じが、なんとなく亜豆美保を意識している感じです。やっぱり、サイコーに対して「あわよくば──」な考えがあったのではないかな。

──と この時点では思っていた。

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バクマン。 #161-2 「息継ぎとパーティー」 400 万と審査員

『バクマン。』 161 ページ 「息継ぎとパーティー」 (週刊少年ジャンプ 2012 年 05・06 合併号)

cow pug
(審査員に気に入られようと──努力を重ねた)

雄二郎が調子ぶっこいている。それは いつものことだけれど、創作の世界では「調子に乗った人間はヒドい目に会う」が鉄則です。いずれアフロにも正義の刃が振り下ろされるかも しれませんね。

浮かれている雄二郎を尻目に──もせず、新妻エイジは執筆に専念している。2 人の温度差は離れる一方です。なんとなく、近い将来に その差が致命的になりそうな気がする。珍しく雄二郎に怒鳴っているし。

そもそも、マンガ家の執筆中にピーチクパーチク話しかけること自体が、編集者として失格です。しかし、それだと絵にも話にもならないから、それは見逃しましょう。

雄二郎(と読者)の疑問にポポポポーン! と軽快に答えるエイジが小気味よかった。もしもエイジにマンガ家の才能がなかったとしても、この分析力があれば どんな現場でもトップになれそうですね。たとえば、探偵とか。

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バクマン。 #161-1 「息継ぎとパーティー」 コミックス派と下の層

『バクマン。』 161 ページ 「息継ぎとパーティー」 (週刊少年ジャンプ 2012 年 05・06 合併号)

Miniature Dollhouse Food - Three Layer Cake
(これなら下の層まで──息を継がずに食べられる)

この作品に登場する原作と作画のコンビ作家は、もうすこし増えても良いと思います。亜城木のほかは、なぜか特殊な組み合わせが多かった。

蒼樹紅と中井巧朗の場合は、人物の顔だけは蒼樹が作画しています。東美紀彦は、七峰透の会社から原作を提供されていた。どうして変わったコンビが多いのだろう?

たとえば、西尾維新先生のような人気の小説家と、売れっ子マンガ家とのタッグなども出して欲しい。

──ものすごく今さらな話だけれど、巨大な会社を立ち上げる前に、七峰は西尾先生に巨額を投じれば良かったのかも しれません。下の記事でも取り上げたように、一年に何作も書けるスーパ作家ですからね!

バクマン。 #153-3 「世界と相手」 勘弁と密度 | 亜細亜ノ蛾

ちなみに──、そんな西尾維新先生は、僕は「森博嗣系作家」って言われたいです──と語っていました。そのインタビューが収録された『森博嗣本』は、両先生のファン必携のアイテムですよ!

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HUNTER×HUNTER #330 「告白」 快方×解法×開放

HUNTER×HUNTER No.330 「告白」 (週刊少年ジャンプ 2012 年 05・06 合併号)

B365:244 Cat Nap
(優しさに包まれて──おやすみなさい)

「今後の展開で明かされそうな謎」を前回の感想で いくつか挙げました。今回の話のなかで、そのうちの 1 つだけが完全に謎解きされています。

HUNTER×HUNTER #329 「密偵」 三×参×散 | 亜細亜ノ蛾

ゴンは元どおりになって助かるのか?」と上の感想で書きましたが、肝心な謎を忘れていました。それは──、

多くの犠牲者が出ることに、キルアは耐えられるのか?

──この悩ましい問題が、アッサリと解決します!

正直なところ最初に読んだ時には、「また あと出しジャンケンかよ!」と思い、薄汚れた部屋の壁と「ジャンプ」をキスさせようかと思った。

しかし、すぐにトリックの仕組みに気がつく。最後には「やられた! ちくしょー!(満面の笑顔で)」と上質のミステリィを読んだ時のような気分に なりました。

おそらく宇宙の歴史のなかで、「だまされたい」という願望を持った生物は、食うに困らない近代の人間だけでしょうね。これからも上手に だまくらかして欲しい。

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HUNTER×HUNTER 1 巻 「出発の日」 2 – 同類 相まみえる

『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.1 「出発の日」

The Simple Things...
(じっくりと味わいたい──物語も肉も)

ようやくハンター試験の会場に着いた! ──とは信じられない場所が描かれます。

そこで登場する「弱火で じっくり火を通したステーキ 定食」なんて、間違って注文する人がいるのでは? 昼食を食べに来たはずが、いつのまにかハンターになっていた──という幸運な者がいるかもしれない。

この疑問に対しては、下の文章を引用します。

肉を一番まずく食べるのは弱火でとろとろ焼くことである。焼き肉は強火で、ぐわっと、焼かなければ美味しくない。

つまりは、まともな舌を持った人であれば、弱火で焼いたステーキなど頼まない。さすが、練りに練られた作品ですね!(たぶん何となく考えたと思う)

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HUNTER×HUNTER 1 巻 「出発の日」 1 – 少年よ、大海へ挑め

『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.1 「出発の日」

くじらたん!
(一回り大きくなって戻ってくる──その日を信じて)

あけおめことよろー(棒)。いやー(year)、年が明けましたね!(棒) 1 月 1 日という おめでたい日に、『HUNTER×HUNTER』 第 1 巻の感想を書くという喜びを全身で感じています!

「あれ? でも おかしーな もう日付は 2 日だけど……」「いやーー めでたい !!」(『HUNTER×HUNTER (6)』ネタ)

10 年以上も前から熟読しているコミックスなのに、読めば読むほど味わい深い作品です。スルメ──じゃ ありきたりだから、まるでクジラみたいに食べ尽くせない。

1 巻の前半は、言ってしまえば「登場人物と世界の説明」というだけの内容です。それなのに、どうしてこんなにワクワクするのか!

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