HUNTER×HUNTER 23 巻 「6-1」 2 – 紫煙×私怨×支援

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『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.23 「6-1」

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煙に巻かれて──命が縮まる

内容と「完全に一致」している第 23 巻の表紙ですねー(棒)。──こんなに ほのぼのとしたマンガだったっけ……。

ただ冨樫義博先生には、描き慣れてきた人物は かわいらしくなる傾向が あります。とくにシャウアプフの美形っぷりは、本編でも存分に見られました。ネフェルピトーも、より猫っぽくなっている。

モントゥトゥユピーは──、まぁ、アレだな……。

No.242 「7-1」

自分から嘘つきの常套句を警告するメレオロンは、あきらかに嘘つきでは ありません。「自称・ウソつき」で素直な人物と言えばキルアが いますね。

そもそも冨樫キャラに「詐欺師タイプ」は見当たりません。作者自身が素直な人だからでしょうか。

冨樫義博先生は、全身全霊をかけて読者をだまそうとするけれど、最後には必ず「じつは引っ掛けでした!」と明かしてくれる──、という「良い意味で性格が悪い」人だと思ってます。


神の不在証明」(パーフェクト プラン)という透明能力1 ランク上の能力は、「特質系」能力に見えるけれど、存在感の薄さを強化する「強化系」なのかな。

静かな環境が好きな自分も この能力を使いたかったけれど、悪い意味で目立つため、中学校の卒業式で「クラスで一番ヘンなヤツ」部門で 1 位を取りました。やったぜー(棒)。


ゼパイルが見抜いたゴンの「危うさ」をメレオロンも感じています。簡単に他人のことを信用する少年の純粋さと、もしも敵であれば即座に「遠慮なく 倒せる」という人間離れした怪物性──、その両方をゴンは持っている。

ネフェルピトーたち護衛軍も、「王を守る」という本能に従っているだけ──とも言えます。カイトとも無邪気に「遊んだ」のかも しれない。

堺なんて あって ねェような もん」だけれど、いつかは自分で境界を引く必要がある。あるいは、他人が決めたルールに従うか。


ゴンは、「結局キルアが しぶしぶ 折れるから」と確信してワガママを言っていることが分かりました! あのパームにすら我を通したゴンのことだから、将来のカノジョや奥さまにも同じことをするんだろうなぁ……。

そして我が子を置いて旅に出たりして(無限ループ)。

メレオロンたちキメラアントにも、人間だった頃の 記憶がある。このことを知ったゴンは、自分が初めて命を奪った「アルマジロ型のキメラアント」のことを思い出したかもしれませんね。

くじら島で食物連鎖の厳しさを見続けてきたゴンには、動物の命をもらうことは受け入れやすい。そして、いつかゴンにも、人間を相手に命の奪い合いをする日が来るでしょう。


最後の握手は「種を超えた友情」みたいな感動の場面──かと思わせて、「第 3 の能力」にはドキドキしました。カメレオンだから「相手の念能力をコピーする」とか「対象者に化ける」念能力なのかと、連載時には想像しています。

H×Hは一時休戦でも気が抜けない | 亜細亜ノ蛾

メレオロンが これまでに見せた「ウソつきの皮をかぶった正直者」は すべて作った性格で、ゴンと握手するためだけに演技をしていたのでは……?

No.243 「7-2」

もしかしたら絶体絶命の危機かもしれないのに、ゴンはキョトン顔で固まっています。ハンゾーに刃を突きつけられても ずっと遠い未来を見ていたゴンだから、この時も「もしかして──だました!?」なんて思いもしなかったかも。

メレオロンの能力は、まず「神の共犯者」という名前が格好いい! そして、ゴンの「グー」以外にも いろんな技とのコンボが考えられます。

彼が人間の記憶を思い出して良かった! もしも今は亡き(まだ生きてる?)オロソ兄妹とメレオロンが組んでいたら、相手に気がつかれずにバッジを付けられます。

いやいや それよりも、単純に近づいて急所に 最強の 一撃を打ち込めばいい。組む相手しだいで七色の恐怖に変化します。

ただし、メレオロンの語る弱点の ほかにも、呼吸を 止めている間にしか発動できない制限が厳しい。それ以外の状態では普通に潜むしかありません。つまりはネフェルピトーの「円」からは逃げられない。


キメラアントの王が人間に対して王手をかけている場面は、かなり象徴的な風景です。将棋の国内チャンピオン(と思われる男)にすら勝てるなんて、王は頭脳も優れていたのか……!

命の前に誇りを奪われる人間という点も見逃せません。

以前の感想では「囲碁のチャンピオンが王と名勝負をする展開」を予想していました。じつは、当たらずといえども遠からずな予想だったりして──。

神の共犯者とは──原稿を落とす仲間のことではない | 亜細亜ノ蛾

No.244 「6-1」

囲碁と将棋から王が つかみ取った勝負の「」(こつ)は、盤上の戦いだけではなく、肉弾戦や侵略戦争でも通じる極意でしょう。

遊んでいる場面のはずが、人類の脅威に繋がっている。


軍儀」(グンギ)チャンピオンであるアカズの少女(?)も、またもや名前が不明です。作品と名前は永久に残るから、命名までに時間がかかるのでしょうね。

対局中は目を開けるアカズですが、あいかわらず鼻水が出ているところがイイ! こうやって「○○すると美形に見えるキャラ」でヘタに美化しすぎると、せっかく作り上げた その人物の人生が崩壊する。

とはいえ、このアカズ少女は登場したばかりだから、そこまで思い入れは持てません。今のところは──。


まったく架空の盤上競技ながら、まるで軍儀は実在するかのように感じます。高矢倉など将棋用語などを借りているところも効果的ですね。

「軍儀(グンギ)」もゲーム化されるんだろうか | 亜細亜ノ蛾

眞鍋かをりさんのブログで、軍儀に似たゲームが紹介されていました。──似ていると言っても、コマに漢字が書いてある点だけですが。

ひとり旅行記 ベトナム1のおまけ : 眞鍋かをり Official Blog


第一印象 最悪上げてるな?」や「深い猜疑心 露だぜ !!」といった言葉づかいと、ヒップホップ系な格好のメレオロンだから、人間のころからラップ好きだったに違いない。

その彼が好感度を上げた要因──置き去りにされて いた動物たちは、2011 年 3 月 11 日以降の日本人には特別な存在に見えますね……。

おそらく東ゴルトーにも、国家に逆らってでも動物たち「家族」と過ごそうとした人が多くいたでしょう。そして その家族よりも先に命を落とした者もいたはずです。

その大事な命を救ったナックルは ともかくとして、メレオロンがシュートを気に入ることは むずかしいでしょうね。読者から見ても、シュートの人物像をもうすこし掘り起こして欲しいところです。


モラウの「紫煙機兵隊」(ディープパープル)は、自動操縦の「煙人形」を 216 体も出せるという規格外の念能力です! ネフェルピトーの念人形もケタ外れかと思っていたが、モラウも負けていない。

レイザー先生が懐かしくなってくるな……。

さらには、万能に思えた「円」の対抗手段も書かれています。たとえば、20-30 体ほど煙人形をいっせいに宮殿へ侵入させて、混乱に乗じてモラウたちも入り込む──という戦略も有効なのでは?

No.245 「6-2」

ヂートゥは まったく意識していないけれど、除念師(ヒリン)の存在が人間側に知られてしまいました。これはキメラアント側に不利な条件では?

ただ、ヒリンは同時に一つの能力しか除念できないらしい。あまり除念師を警戒するのは取り越し苦労に なりそうです。しかし、問題は そこじゃない。

護衛軍も王も、いままでのところ念に頼っている様子が ありません。念を知る前のラモットですら、キルアとゴンの 2 人がかりで ようやく退場させられたくらいです。

モラウが必要以上にナックル・シュートのコンボを信頼しきっていたら、護衛軍たちに一蹴されてしまうかも しれません。


ヂートゥの草原(サバンナ)へ相手を飛ばす能力を、モラウは「天上不知唯我独損」から思いついた能力と見ています。しかし、この点には疑問が ある。なぜなら、ヂートゥは「トリタテン」を見ていないはずだからです。

モラウ対ヂートゥ戦は「心の削り合い」 | 亜細亜ノ蛾

むしろ「念で創った空間」という点が、ノヴの能力に似ていて興味深い。チーターとしてのヂートゥが、故郷のサバンナが恋しくて会得した能力だったりして。

ということは──ノヴは「鍵っ子」?


たんなる追いかけっこならヂートゥの得意技です。しかし、チーターの生態(全力疾走できるのは約400メートルで、全力で長距離を走ることはできない)からすると、8 時間という長丁場は向いていない。

かりに何時間でも余裕で走り続けられる人物がいたら、ヂートゥでも捕まえられるはずです。そして読者は、すでに その人物を知っている……!


荒れるね」という言葉は、天気のことだけ じゃない。この段階では、「何度やっても勝てないアカズ少女にキレた王は、ついに少女を──」みたいな展開しか思いつかなかった。

そう言えばネフェルピトーは、普通に「猫耳」へ電話を当てていますね。人間の耳がある可能性を以前に書いたけれど、まるで無意味だった。

HUNTER×HUNTER 22 巻 「8-1」 2 – 餓死×貸し×可視 | 亜細亜ノ蛾

そんなことよりも、だんだんと女性化しているネフェルピトーのほうが気になる!

No.246 「6-3」

「ハギャ」の改名については、いまだに真相が謎です。

シャウ殿」ことシャウアプフに新しい能力を開発されたから、「生まれ変わった」という意味なのかもしれない。また、イカルゴの例から考えると、人間だったころの名前を思い出した可能性もある。

ハギャと呼ぶとアイツが怒る | 亜細亜ノ蛾


「肉樹園」には、数は少ないけれど予定どおりに人間たちが吊るされています。繭の せいで、おぞましさが増しているし、「繭の意味」を考えると──さらに気味が悪くなる。

オオカミとエビは繭を「食料」だと思っていますが、読者には「選別」に生き残った人間だと想像できます。この 9 倍くらいの人間が息絶えたはずで、そちらは食われたのかな……。


ノヴの「4 次元マンション」(ハイドアンドシーク)も驚異的な念能力です! この巨大な念空間を作り出して、なおかつ現実世界と行き来ができるようにするなんて、どれほどの才能と努力が必要だったのだろう。

さすがにネテロ会長が呼び寄せた人物だけは ありますね! マンションの室内で水を飲む「捨てゴマ」の使い方も上手です。いつもクールなノヴの性格が よく出ている。

「4 次元マンション」の弱点は、あきらかに「出口で待ち伏せされること」です。グリードアイランドの「同行」(アカンパニー)と同じですね。絶対に出るところを見られてはいけない。

つまり、ノヴにとってフラッタが最大の障害になってくる。早いうちに遭遇したことは幸運だけれど、キメラアントを相手に勝てるのか?

「こんな時には── 銃~(ドラえもんのノリで)」とか言いながら瞬殺したりして。でも、さすがに非戦闘型でも拳銃なんて効果が ないかな。


モラウと遊びたがっているヂートゥが かわいらしかった! とくに動きは描かれていないけれど、しっぽをパタパタ振っていそうです。

モラウが言うとおり、絶対に追いかける必要のあるルールをヂートゥは決めるべきでしたね。制限時間が 10 分間くらいだったら、さすがのモラウにも打つ手がなかったはず。

No.247 「6-4」

師(スイ)を孤立させる「離隠」(ハナレガクシ)という戦術は、王の未来を予感させる不吉な手に見えます。孤高の王は、いつか独りで戦う日が来るのでは──。

王の一手にアカズ少女が驚いている場面をよく見ると表情自体は前回までと変わっていません。カメラの動きだけで少女の「表情を演出」しているのです!

「汗」を 1 つ描くだけで心情を表現できるマンガ作品だからこそ、こういう効果が生きてくる。この回の後半でもカメラ・ワークによる演出が多用されているので、ぜひ再読してくださいね!


孤孤狸固」(ココリコ)と「中中将」(ナカチュウジョウ)の説明は、単純にゲームの話というだけではなく、アカズの人生まで思い描かせる。

この手を10 年位 前に考えたというアカズは、見た目(14 歳くらい)よりも年上かもしれない。そこまでは連載中にも考えていました。

ブログも軍儀も「ノータイムで」行きたい── | 亜細亜ノ蛾

このコを 殺すた」「一度死んだ我が 子が生き還った」という言葉から、アカズには子を宿した経験があるのでは──とも想像できる。幼くも見え、母性すら感じる──不思議な人物です。

一度そういう考えに取り付かれると、まるで妊婦が着るような ゆったりとした衣服も気になってきました! もしかして、いまも お腹に──。


サバンナと砂時計だけではなく、本まで用意していた用意周到なヂートゥくんです。彼が意外と読書家で、古典文学あたりが趣味だったら おもしろい。

なんとなくモラウも読書が好きそうだから、「友達(ツレ)に なれたな」という展開も あり得たかもしれませんね。読者から見ると、たしかに 2 人は遊んでいるようにしか見えないし。

切断不可能の綱を足首に巻き付けられて走ったのに、ヂートゥは転ばなかった。このバランス感覚は地味に すごい! いや、「逃げられない」ことが本能で分かっていて、ロープが伸びきる寸前に力を弱めたのかな。

絶望的な状況で新技を編み出すところは、まるで前半のキルアみたいです。これは──ヂートゥが味方になるフラグなのか!?