京極夏彦一覧

『死ねばいいのに』 京極夏彦 – 死者に生を求める

死ねばいいのに』 京極 夏彦・著

普贤菩萨
ただ正面から──見れば良かったのに

純粋に会話の おもしろさを味わえる 1 冊でした!

殺された女性について聞き回る男と、彼との会話で あぶり出される人間の醜さを描いています。彼の性格や言動が現代の若者らしく、読みやすい文体でサクサク進める。そして、ページをめくるごとに謎が深まっていく──。

京極 夏彦氏の作品なのに、文庫本で本文が 450 ページ足らずしかありません! 『絡新婦の理』と比べると、ボンレス・ハムとハムやケヴィン・ベーコンとベーコンくらい厚みが違う(?)。

「すべての行がページをまたがらない」ルールを今回も貫かれていました。もちろん、単行本版と文庫版とではレイアウトを変えてあるし、Kindle 版でも改行をそろえてあるはず。

細かすぎて伝わらない(こともない)本の組版(レイアウト)の話 | 亜細亜ノ蛾

できれば、内容は もちろんジャンルも知らないままに読んで欲しい作品です! 「なるほどな」と感心する部分が多く、最後あたりでゾクッとした怖さも感じられる。一気に読んでも楽しめるし、章ごとに読み進んでも満足できますよ!

続きを読む


細かすぎて伝わらない(こともない)本の組版(レイアウト)の話

本の組版に執着する人たち

今回は、本の組版(文字のレイアウト)の話である。本のデザインといえば装丁(カバーなどの外側)に凝った話ばかりが取り上げられるが、中身のほうが大事だ。人間と同じで(説教臭いなぁ)。

帆掛さんの気になる話

このブログだけではなく、「はてなブックマーク」でも「帆掛さん・ラヴ」と言い続けてきた、私こと asiamoth だが──。

じつは、このたび帆掛さんと結婚することになりまs

──ではなくて。

じつは、帆掛さんに共感したことほとんどない。オカルトもホラーも「たしなむ」程度で、クトゥルーはガキのころに読んだトラウマ(「かん字がむずかしくて読めない」)で、それ以降は触れていない。「BOOK ON」で大量に本を買うほど本が好きでもない。

まぁ、好きな対象と趣味が同じではないとイヤ(非モテ思考の始まり)だ、という訳ではないけれど……。少し、さみしい気もする。

そう思っていたら、ようやく帆掛さんに共感できる部分があった!

奇遇 – 2008-09-18 – coco’s bloblog – Horror & SF

何ともマニアックな本の組版の話を、帆掛さんと富士見さんがしている。「最後の行」も「句読点の並び」も、両方ともすごく分かる!

思わず 2 人の会話に「あるある www」と割り込んで、思いっきり不審な顔で帆掛様に軽蔑されたい……。末代まで祟られたい……(オレの代で終わりそうだけど)。

ref.: 栗山千明さんの 2ch スレ(千明様ネタ)が面白い : 亜細亜ノ蛾

続きを読む


京極夏彦さんが森博嗣さん宅へ

『対談と特別運行』

今日は、このネタを紹介せざるを得ない!

MORI LOG ACADEMY: 対談と特別運行

詳しくは上記のページをご覧いただくとして──。

京極夏彦さんが、森博嗣さん宅へ訪問されたようです。

遊びにこられたわけではない。リビングで対談を2時間ほどした。彼との対談は、実に11年ぶりのことで、2度めである(1度めは、当時の「メフィスト」に掲載)。今回の対談のテーマは、押井守についてだ。この対談は、4月に中央公論新社から刊行される本に掲載予定。興味のある方はお見逃しなく。

MORI LOG ACADEMY: 対談と特別運行

「読者からの突っ込みストッパ」の森さんらしく、遊びにこられたわけではない、と断っていますが──どう見ても遊んでいる写真です。本当に(ry

続きを読む


『邪魅の雫』 なぜか元気のない榎木津と過去話

『邪魅の雫』(じゃみのしずく)

長らく積ん読(つんどく)っておいた、『邪魅の雫』を読み終わりました。

全 800 ページ以上も あるのに、読み終わった直後「もう終わりか、まだ この世界に居たいなぁ……」と思いました。ラストが切ない終わり方で、しかも結構ばっさりと「了」に なるのです。もうあと一章くらい、たとえば「後日談」が ありそうな感じ。

本作で『京極堂シリーズ』(妖怪シリーズ)も 9 作目。おなじみの面々が登場したり、過去の事件を振り返る場面、意外な人物の再登場が あったりして、旧作ファンが楽しめる内容になっています。

本筋に絡んでくるので書けませんが、榎さん(榎木津 礼二郎)の過去の■が出てきたり──。

いつものように、大筋とは関係の なさそうな登場人物たちの雑談が、あとで事件のヒントに なっていたり、全く関係ないと思われていた事柄が、最後で一つに繋がったり──。いつもながら、凄い。そして、感想が書きにくい(笑)。会話中の雑学なども、うっかり書くとネタバレに繋がったりして。

ミステリィとして読むと、被害者たちの共通項が見つからない連続殺人事件、いわゆるミッシング・リンク物に なります。しかし──ちょっと普通とは違う「事件の繋がり方」をしていて、今までのミステリィ作品と同じように読むと、確実に混乱します(ただでさえ複雑なのに)。

photo

邪魅の雫 (講談社ノベルス)
京極 夏彦
講談社 2006-09-27
楽天ブックス: 邪魅の雫

百器徒然袋 風 (講談社ノベルス) 前巷説百物語 (怪BOOKS) λに歯がない (講談社ノベルス) 陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず) (講談社ノベルス) 文庫版 陰摩羅鬼の瑕 (講談社文庫)

by G-Tools , 2008/02/15

(以下、ページ数は「講談社ノベルス」版)

続きを読む


森 博嗣さんの『新しい諺』 / 文章の見た目を気にする話

森 博嗣さんの『新しい諺』

今日の(と言っても日付は四日前なのが仕様)森博嗣さんのブログ記事が面白い。日記のほう じゃなくて、「国語」。

MORI LOG ACADEMY: 新しい諺

これを見て、一瞬でピンと来た。

行末が そろっている

「──何が?」という人のために、等角フォントで紹介。

二階で目薬 (二階で目薬を差しても牛にならない)
長いものは巻ける (比較的巻きやすいというだけ)
能ある鷹には爪がある (鷹にはたいてい爪がある)
蛙の子はオタマジャクシ (卵はまだ子ではないか)
雨降って地ぬかるむ (グラウンドに砂を撒いたり)
腐っても鯛 (賞味期限切れでも別の魚にならない)
帯は長いし襷は短い (帯とか襷とか知らないから)
二階でも目薬 (同時多発目薬か、という心配に)
長芋にはマカロン (食い合わせでは、と心配に)
能ある鷹は爪を噛む (臍を噛む、といいたいが)
蛙の子がさきか卵がさきか (特に面白くないね)
雨降って血固まる (血の雨が降ったのか、心配)
腐ったら鯛 (腐るまえはもっと凄かった、の意)
ルビは短かし漢字は長し (お化け漢字みたいな)

MORI LOG ACADEMY: 新しい諺

そう、ことわざの末尾がそろっている、ということです。

──で、だから どうした、と言われると、ちょっとツラいですが……。

続きを読む


出版業界に疑問を持つ

#### 出版業界に 糸色 望 した!!
森博嗣氏のブログを読んでビックリ。出版業界というのは遅れているのだな、と素人感想。


MORI LOG ACADEMY: 文系の人の傾向?MORI LOG ACADEMY: 文系の人の傾向?

校閲についての文章が書かれていますが、
>校閲といえば、表記の統一などをしてもらいたいのだが、そんな単純なことがけっこうできない場合が多い。人間が見て、気づいたところは直す、というのが彼らの言う「表記の統一」なのだ。データで検索するわけではない。僕の関係では、2社だけがデジタルで検索をしてくれる。自分が最初に書いた文章で検索して位置を調べ、それからゲラでその箇所を探して確認をする、なんて作業を頻繁にする。面倒なことである。
>[MORI LOG ACADEMY: 文系の人の傾向?](http://blog.mf-davinci.com/mori_log/archives/2006/08/post_630.php “MORI LOG ACADEMY: 文系の人の傾向?”)
これはちょっと……。

続きを読む


[了]陰摩羅鬼の瑕、読了

前回のエントリー・[読]陰摩羅鬼の瑕、ようやく半分(400ページ)まで読んだ : 亜細亜ノ蛾から、一気に読み終わった。

もし、本作品をうっかり間違って「本格派ミステリィ」として読んでいた人は、ビックリする(か怒り出す)だろう。本作品は、というかこのシリーズはあくまでも「妖怪小説」だ。

それにしても今回は「トリックが全くない」内容になっている。自分の中では「ミステリィとは、文中に“謎”が出てきて、その謎が解かれないまま物語が進行していく作品」と解釈しているので、本作品もミステリィと言える。

冒頭の「この人の論旨には瑕がある。」というただ一言の謎(というか真意)を解くために、その後の700ページが費やされている、という印象。

しかし、作中で「探偵は推理をしない」し「拝み屋が憑き物落としをする」までは「犯人死者もいないし、そもそも事件は起きていない」という、本シリーズに慣れていない人には少々敷居が高い内容になっている。……まぁ、あくまでも「探偵が犯人を言い当てる」というタイプのミステリィと思って読むと、だけど。

そうはいっても、ちゃんと最終的に犯人は逮捕されるし事件は解決する、という、何とも説明しにくい作品だった。

陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず)
京極 夏彦

講談社 (2003/08/09)

売り上げランキング: 14,269

通常24時間以内に発送
おすすめ度の平均: 3.68



[読]陰摩羅鬼の瑕、ようやく半分(400ページ)まで読んだ

今頃、読み始めた。発売から二年近く経っているのか。

今は400ページくらいまで読み進んだ。ちょうど半分くらい。まだ事件は起きていない……。というか、400ページを費やして、人物紹介と過去にあった事件の説明という、普通の小説の冒頭部分が、ようやく終わった辺り(まだまだ続く可能性もあるが……)。この前100ページは、延々妖怪談義だったり。

京極氏の小説の特徴として、本編が始まる前に「事件解決直前」の描写が描かれている。それでいて謎解きに支障が無いのが見事。まぁ、当然「誰がラスト近くまで生き残ったか」は分かるが。

まだまだ感想が書けるほど物語は進行していないので、読了後にまた記事を書くことにしよう。

ところで、関君はいつも通りだった。「関口巽=碇シンジ」として読むのもアリ?

陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず)
京極 夏彦

講談社 (2003/08/09)

売り上げランキング: 14,269

通常24時間以内に発送
おすすめ度の平均: 3.68

5 しんみりしました。

4 不思議な印象

3 鳥の城


ちゃんと人物紹介もあるので、これから読み始める人にもいい。

てか、「鳥の城」って感想はどうだろう……