『家族八景』
「七瀬三部作」と呼ばれる三作品の一作目です。自分は、何も知らずに『エディプスの恋人』から先に読んでしまいましたが……。
しかし、文体といい雰囲気といい、まったく両者は異なります。──そもそも、筒井康隆作品って、どの作品も似ていないのが凄いですよね。
『家族八景』は、筒井康隆版の『家政婦は見た!』みたいな話(違う)。主人公の火田七瀬(ひだ ななせ)が八軒の家庭に住み込み家政婦として働きに行くのですが、
「家政婦はテレパス(他人の心を読む能力者)」
というワン・アイデアを思いついただけで凄い。
──いや、いまならいくらでも類似作品を見付けることができますが、この作品が初めて刊行されたのは昭和 47 年ですからね。
八つの家庭は、それぞれ「一見普通」。しかし、そこにテレパスの七瀬が入り込むことによって、図らずも微妙にゆがんだ人間模様が浮かび上がる。次第に壊れていく「普通の(幸せな)家庭」──。
初めのほうでは、七瀬は「十八歳の女の子」なのに、あんまり積極的に口説きに来る男がいない──つまり、「それなりのルックス」でした。しかし、段々と女性らしい容姿になっていく七瀬が、身の危険を感じるようになったり、自分から積極的に家庭を壊そうと目論んだり、最後までドキドキしながら読みました。








