社会・人生・一般一覧

『美の壺』(単行本) – 外国の美を知り、日本の美を味わう

『美の壺』 – 編集: NHK「美の壺」制作班

Day 024
(羊羹にも──ツボがある?)

自分の人生からテレビ番組を見る習慣がなくなってから、もう何年にもなります。最近では、母親が観ているテレビの画面をぼんやりと、食事の時に眺めているくらいです(おもに録画してある「韓ドラ」)。

8時だョ!全員集合』を観るか『オレたちひょうきん族』にするか真剣に悩んでいた「あのころ」には、想像もつかない未来まで来てしまいました。

そんな現在の自分でも素晴らしいと思えるテレビ番組は、NHK テレビの『美の壺』です。「美術評論番組」という堅苦しい肩書を持っていますが、非常に分かりやすい。的を射たやさしい言葉で、美術品の味わい方(ツボ)を解説してくれる。

ナレーションと谷啓さんとのゆるふわ愛されトークが聞けなくなり、さみしい限りです。

美の壺 – Wikipedia

さて、その『美の壺』が単行本になって書店に並んでいました。初めて見た 1 冊は『根付』(ねつけ)です。もう、表紙の「仔犬」を見ただけで、かわいらしくて自然に笑みがこぼれてくる。中身の写真も素晴らしい!

日本の「わびさび」が好きな人はもちろん、マンガの『へうげもの』ファンにも楽しめる内容ですよ! 写真を眺めているだけで、うっとりしてきます。

今回は、『美の壺』・単行本の中から、上記の『根付』を始めとして、『アールヌーヴォーのガラス』『魯山人の器』『織部焼』『和菓子』を紹介します。BGM には『NHK「美の壺」ブルーノート・コレクション』をどうぞ──。

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『容疑者 X の献身』 東野圭吾 – 殺人事件と愛の真実とは?

『容疑者 X の献身』 東野圭吾・著

X Marks the Spot
(X ──論理的思考と真実との交点)

悲しすぎるラヴ・ストーリィですね……。

本作品は、テレビドラマでも有名な『探偵ガリレオ』シリーズの小説・第 3 弾です。自分はこのシリーズの作品を初めて読みましたが、何の問題もなく楽しめました。

『容疑者 X の献身』は、物語の骨格だけを見ると、『刑事コロンボ』シリーズや『古畑任三郎』シリーズによく似ています。読者の目の前で殺人事件が起こり、事件を隠すための工作が始まる。そして、事件の真相を暴くために、探偵がかかわってきて──といった感じ。

しかし、この作品は、そう単純な話ではありません。

この物語の「容疑者」となるのは、幾何の問題に見せかけて、じつは関数の問題を作るような数学教師です。彼は、自分の愛する母娘のために、事件を隠そうとする。狂おしいまでの冷酷さで……。

多くの読者は、「容疑者」によって、思いこみによる盲点を突かれているかもしれませんよ。

小説家の二階堂黎人氏は、『容疑者 X』の「真相」を自身のサイトにて公開されています。かなり面白い仮説なので、ぜひともご覧ください。

作品中で探偵役によって語られた「推理」(想像)を真実だと思っている人は、二階堂氏の説にはかなり驚きますよ! それは、のちほど紹介します。

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フォトテクニックデジタル 2010年 09月号 – 女性の肌を美しく表現

フォトテクニックデジタル 2010年 09月号

2010-06-26_042450_Canon EOS 7D_28-75mm
(「ワタシも、お肌のザラザラが気になって──」)

今月号のフォトテクニックデジタルは「買い」です!

とくに、女性のポートレイトを撮影するカメラマンは、アマチュアもプロも必見でしょう。「イマドキのカメラマンは、これくらいの知識・技術は最低でも持っておきたい」という情報がつまっています。

まず、付録の「困った時の Adobe Photoshop レタッチ逆引き辞典」が素晴らしい!

この手のタイトルでムックがよく出ていて、だいたい 1,000 円以上はします。今回の付録は、それらのムックと十分に張り合える内容でした。

さらに、特集の「女の子の“肌描写・重視”撮影 & プリントマニュアル」が最高ですね!

この特集には、大小さまざまの使えるテクニックが多くて、涙が出てきます(実際は無表情)。中でも、「RAW 現像 & レタッチ」のコーナが自分には刺激的でした。

そして、「真夏のビシバシ添削スペシャル」も面白い。

読者から送られてきた写真に対して、プロの写真家が「もっとこうしたら良いのに」とアドバイスを書かれている。「この写真は良い・悪い」だけではなく、具体的な修正案を示しているのがグーです。

グラビアも見どころタップリでした!

「これでお値段──ナント! 驚きの 1,180 円! 1,180 円ですよッ!(棒)」「これはお買い得ですねー!(棒)」「みなさん、この機会にぜひ! ぜひッ!(下のリンクから)定期購読をどうぞーッ!!(棒──、いやマジで)」

さて、ここからは、より具体的にオススメのページを紹介していきますね。

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『目薬αで殺菌します』 森博嗣 – 事件よりも大事な恋心とパソコン

『目薬αで殺菌します』 森博嗣・著

Sony's full-frame Alpha 900 with Zeiss 24-70 F2.8
(自分の目にも欲しい──「α」)

《G シリーズ》の 7 作目は、タイトルがギリシャ文字から始まらない、初めての作品です。そのことに意味があるのか、と思って読んでみると──分かりませんでした。次回作以降で明らかになる、のかな……。

今回は、加部谷恵美(かべや めぐみ)のキャラクタが、ググッと前に出てきた感じです。いままでは、西之園萌絵(にしのその もえ)のうしろに埋もれていた印象だったりする(ヒドイ)。

海月及介(くらげ きゅうすけ)や山吹早月(やまぶき さつき)は、というと──逆に、どんどんと物語から離れていくように感じましたね。犀川創平(さいかわ そうへい)なんて、探偵役どころか神の領域に近づいている……。

あと、《G シリーズ》の「G」とは何か、ちょっとした思い付きを最後に書きました。我ながら、面白いと思う。

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『ηなのに夢のよう』 森博嗣 – 夢見るような十年間(の終わり)

『ηなのに夢のよう』 森博嗣・著

2010-04-04_17-41-00_Canon EOS 7D_f8.0_1-25s_iso400_18mm
(「夢よ、覚めないでくれ!」)

《G シリーズ》の第 6 弾は、盛りだくさんの内容です! 過去シリーズのファンは、必読の 1 冊となっていました。

もう、ビックリするくらいに、ゲストが何人も出てきます。とくに、《V シリーズ》からの出演者が多いですね。いや、いまのところはゲスト扱いですが、もしかすると──今後の中心人物になりそうな気配もしました。

ミステリィ小説として読むと、事件の解決編が、前代未聞と言ってもいいくらいの終わり方です。まぁ、「森作品にありがちなこと」という感じですけれど……。

読み終わってみると、詰め込みすぎではないかと思うくらいの、大ボリュームです。しかし、本の厚みは薄い。余分なところが削ぎ落とされているのでしょう。

それでも、こういうシャレた会話がサラッと出てくる。

「ちょっと、月を見て、悲しくなってしまったの」

「今日は、月は出ていないだろう」

「そのようですね」(……)

「ああ、じゃあね、出しておくよ」

「え、何をです?」

「月を」

ηなのに夢のよう』 p.168-169

2010-08-07T22:19:46+09:00 追記

ものすごく下らなくて、なおかつ下品なことを思いついてしまいました。とっさに月のことを西之園が話したのは、体調のことも影響していたのでは──という想像です。ふざけた文体の日記でどうぞ。

そんな男にはブルームーンを – 亜細亜ノ蛾 – ダイアリー

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クレ CRC 5-56 をピンポイントに・少量だけ・手軽に噴く方法

呉工業 KURE CRC 5-56

2010-08-03_114243_Canon EOS 7D_28-75mm (by asiamoth)
(よく見ると──スペシャルな一本)

物心や恋心・魚心などがついたころ(?)から、自宅には《CRC 5-56》が常備してあります。みなさんのご家庭にも、1-2 本は置いてあるのでは?

ドアノブの動きを良くしたり、ヘッドフォンの接点を磨いたり、ネジのサビを落としたり、HORI 製ジョイスティックのメンテナンスに使ったり──と幅広く愛用してきました(一部、超マイナな用途を含む)。

日常的に《CRC 5-56》を使っていると、よく思うことがあります。

ほんの少しだけスプレィしたい!

付属している《エクステンションチューブ》を付ければいいのですが──メンドウクサイ!

そこで今回は、この《CRC 5-56》を、普段から少量だけスプレィできる方法をご紹介します。ほんのちょっとの工夫で、さらに実用的になりますよ!

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『よくわかる! ポートレートレッスン』 – さまざまな光と色を生かす

『よくわかる! ポートレートレッスン』 小澤太一・著

asiamothの脳内イメージ - 脳内メーカー (by asiamoth)
(欲わかる──ではない)

ポートレイトを撮影する全員に読んで欲しい、絶対にオススメの一冊です!

タイトルに〈よくわかる〉とあるので、超が 3 つくらい付く初心者向けと思いますよね?

実際には、レフ板を片手に公園で撮影する初心者・中級者から、スタジオで撮影する上級者まで、幅広く役立つ内容です。写真集として眺めるのもいい感じ。

一番の特長は、解説が分かりやすいことです!

作例の写真は撮影の意図が明確で、明解な説明が書かれている。写真の参考書には、一番大事な点ですよね。「とにかく分かりやすく見せよう」という著者の意気込みが、誌面から伝わりました。

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『λに歯がない』 森博嗣 – 死体に歯はない・天才に死はない

『λに歯がない』 森博嗣・著

tooth officer mouth pocket (by mmmcrafts)
(λになくても、歯に──歯がある)

人間のコンテンツって、何ですか?

λに歯がない』 p.109

ギリシャ文字がつきまとう一連の事件を描いた、G シリーズの 5 作目になります。浮遊工作室 (近況報告) によると G シリーズは全 12 作のため、折り返し地点まで、あとすこし。

この『λ』あたりから、ひとつひとつの事件を追うことよりも、その周辺を描くことが多くなってきます。ギリシャ文字の事件たちは、いったい何を目指そうとしているのか……。その背後にいるのは?

本作では、人間の生死について議論する、といった場面が出てきます。過去のシリーズ作品を読んだ人には、感慨深いモノがありますね。そうか、あのコがこんな話をできるようになったのか──、と。

そう、G シリーズとほかのシリーズとをつなぐ結びつきも、じょじょに強くなってきました。過去のシリーズで解決済みと思っていたデキゴトが、考え直す必要が出てきたり──。

もちろん、ミステリィとしても楽しめます。今回は密室での殺人であり、連続殺人事件でもある。トリックの解き方もクールです。

なにしろ、謎を解くのはあの人だから──。

すでに上の文庫版が出ていますが、自分はノベルス版で読みました。だって、出るのが遅いんだもん!

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カール ブックスタンダー NO.820 – 雑誌や本を固定する台の傑作品!

カール ブックスタンダー No.820 – カール事務機

820 (by daveknapik)
(「へぇ、あんたも 820 っていうんだ」)

「私はいつも──、孤独と戦っているんだ……」

ということで(?)、ブログを書く時は、いつも独りで「アーデモある……、コーデモある……」と悩みながらキーボードをタイプしています。

そんな〈百万光年の孤独〉(?)を背負った自分にも、パートナいる。それが、今回ご紹介する書見台です。

この、CARL とシンプルなロゴが入った憎いヤツ、最高ですよ! 名前は、〈No.820〉くんです。うん、名前もシンプル。

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『脳ミソを哲学する』 筒井康隆 – 科学の扉をツツイたら

『脳ミソを哲学する』 筒井康隆・著

salted fish guts (烏賊の塩辛) #7925 (by Nemo's great uncle)
(脳ミソっぽい──イカ)

ホリプロ所属(!)の小説家・筒井康隆さんが、科学者たちと一対一で対談する──という内容です。

「科学者たち」と乱暴にまとめましたが、動物行動学者もいればイカ学者・解剖学者や評論家もいる。いろんなジャンルの人たちが登場します。

インタビュア役の筒井さんを含めた、10 人が 10 人とも一流の聞き手・話し手のため、快適に読めました。「専門家の話」というと、専門用語ばかりが出てきて分かりにくいのでは──という心配はご無用ですよ。

自分が読んだ文庫版は、1995 年に出版された『脳ミソを哲学する [単行本]』が元になっています。対談の内容は、ほぼそのままのハズ。

それにもかかわらず、本書には次の一文が出てきました。

ところで、いま、若者の科学離れということが言われます。

脳ミソを哲学する (講談社プラスアルファ文庫) [文庫]』 p.21

おお、これぞ、最近になって言われている、「若者の○○離れ」ではないですか! なんという、時代を先取りした書籍でしょう……!

ということではなく──、これはただ単に、

マスコミは、いつまでも同じことを言っている

と受け取るべきでしょう。やれやれだぜ……。

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