『イーグル・アイ』 (Eagle Eye)
これは面白いサスペンス・アクション映画でした!
さえない男であるジェリー・ショー(シャイア・ラブーフ)の元に謎の女・「アリア」(ジュリアン・ムーア)から電話がかかってきて、なぜかこれから起こるデキゴトを予言される。彼女の指示どおりに従わないと、そのたびにヒドい目にあう──、といった内容です。
同じくアリアに巻き込まれた女性──レイチェル・ホロマン(ミシェル・モナハン)がいて、このレイチェルとジェリーの接点が見えない。はたしてアリアの目的と、2 人の男女の役割とは何か? ──といったミステリィ的な要素も楽しめます。
サスペンス(スリルを味わう)映画の中にも、ミステリィ(謎解き)要素を期待する人は、逆にダマされるかもしれません。あまりにも正直に「正解の映像」を見せてくるので、ミステリィ・ファンは「まさかアレはないな」と見逃すのです。
アクションと謎とのバランスが、ちょうど良いですね。このバランスの良さは、『ウォンテッド』を思い出します。両方とも、絶対にオススメできる映画ですよ!
ウォンテッド – 使い古された手法が新しいアクション映画の傑作! : 亜細亜ノ蛾
『イーグル・アイ』は、アクションも見どころが多いです。むしろ、何も考えずに、ポップコーンとダイエット・コークを両手に持って観るのが正しいのかも。
トンネル内で車が吹っ飛ぶ場面があり、同じような見せ場を持つ『ダイ・ハード 4.0』を超えたかも──と思わせる迫力でした。
『ダイ・ハード 4.0』 非道な主人公が武士の情けを : 亜細亜ノ蛾
ほんのりイイ感じのラヴ・ストーリィ要素もあり、家族愛もあり、盛りだくさんなのにスマートに仕上がっています。家族や恋人と一緒に、あるいは一人で観るのも楽しい映画ですよ!
手に汗握るアクション
とにかくアクションが良かったですね!
主人公の男女がポルシェ・カイエンを乗り回すカー・アクションは、じつに素晴らしかった。カイエンが、最終的にはボロボロになる場面も含めて……。高級車が最期にスクラップになるのは、アクション映画のオヤクソクなのでしょうかね?
参考: 『M:i:III』 ショッキングなオープニングで引き込まれる : 亜細亜ノ蛾
上で書いたトンネル内のアクションも、大迫力で見逃せません。アリアの狂気を感じる場面でした。さらに、それまでは主人公を苦しめてきた刑事──トーマス・モーガン(ビリー・ボブ・ソーントン)の見せ場でもあります。ベタだけど、泣かすよなぁ……。
そして、アクションを支える映像面の特徴として、黒色の濃さが挙げられます。写真の用語で言うと、「黒が締まっている」。この黒によって、画面がビシッと決まっているんですね。
さらに、画面内の主役たち──被写体以外はボケている、いわゆる「被写界深度の浅い」映像になっている。黒色の特徴と合わせてみると、まるでデジタル一眼レフカメラで撮影した動画のようです。物語の世界とよく合っていましたね。
「アリア」の正体
あまり前評判を仕入れずに映画を観るようにしていますが、本作品は「女性から謎の電話がかかってきて──」というあらすじだけ知っていました。
ところが、DVD を再生するとまったく違う映像が流れる。あれ、間違えたのかな──と思って見続けていると、ようやく謎の女から電話がかかってきました。
──そう、ここまでの時点で、アリアの正体は丸出しでしたよね!
そのあとの展開とは違和感のあるオープニングを堂々と流していたら、普通は真相に気がつきそうです。だからこそ、逆に自分はアリアについての思考を停止してしまいました。良くできたトリック──なのかも。
「超映画批評」の前田氏も、自分と同じ境遇だったようですね。そう、『イーグル・アイ』は、頭をフル回転した……ような気になれる、抜群に面白い
エンタテインメントでした。
レイチェルの役割
ミステリィ要素と言えば、終盤まで女主人公・レイチェルの役割が分からなかった。
レイチェルの息子は、だんだんと役目が見えてきますよね。同時に、アリアの冷酷さがよく分かる。
ただ──、どうしてレイチェルまで巻き込まれているのか。その答えが分かると──「そんなことかい!」と突っ込んでしまいました。あれって、レイチェル以外の人物でも、構いませんよね。
たとえば──、アリアは、「母親は子どもをけっして見捨てない」と考えて、あの配役を組み立てたのでは──と推測することもできます。でも、それを言い出したら、ほかにも弱みを握られた人が多すぎるし……。
自分が思うに、映像では示されませんでしたが、レイチェルと同じ「物」を持っている人物は、あの場面に何人も用意していたのではないでしょうか。万が一にも、レイチェルがあの場に到着できなかった時を考えて……。
なぜジェリーなのか
さて、もう一つの謎は、アリアがジェリーを必要とする理由です。これには──、ちょっとガッカリしましたね。
まず、アリアは、ジェリーに「あること」をさせたかった。これは分かります。でもそれは、ジェリーのアパートへ、高性能なある物を持った人物を送り込めば済む話です。
どうしても生身のジェリーが必要だった──とすると、あまりにも彼を危険にさらしていますよね。アリア自ら、ジェリーに向けてミサイルを撃ち込んでいるし。
そのあたりが、どうも矛盾だらけで惜しい! たとえば、「じつは○○によって、絶対にジェリーは無事でいられるような仕掛けになっていた」という根拠が欲しかったですね。
まぁ、アリアも女性だから、ヒステリーをよく起こすということかな……(あ、差別的発言!)。

