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第 9 地区 – 待ち続ける価値はあるのか

『第 9 地区』 (District 9)

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(ただただ──帰りを待つ日々)

本作品は、地球へ やって来た宇宙人と、彼らと接する人間を描いています。ジャンルで言えば「SF アクション映画」になってしまいますが、そういったカテゴライズでは くくれません。

この手の映画では、「地球外生物と人間との戦い」か「宇宙人と人間との心温まる交流」のどちらかを描写する──と相場が決まっています。ところが、『第 9 地区』は、「それ以外」の話を見事に描きました!

ぜひとも大勢の人に観て欲しい映画です!

ただし、いろんな方向へ「毒」を持った触手が伸びている作品であるため、鑑賞には心の準備をお忘れなく……。なにしろ、あのヨハネスブルクが舞台です。下のページで面白おかしく書かれている内容も、冗談は半分──もないと思う。

ヨハネスブルク – アンサイクロペディア

注目して欲しい部分は、人間の主人公──ヴィカス・ファン・デ・メルヴェシャールト・コプリー)が、とんでもなく性格が悪いことです。こんなに最後まで主役に感情移入も共感もできない作品は、ほかにはありません。

真の主役は、地球での名前をクリストファー・ジョンソンと名付けられたエイリアンです。ヴィカスよりも、人間らしい。演じたジェイソン・コープの姿は、本編ではいっさい見られませんが、大きな拍手を贈りましょう。

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リアル鬼ごっこ(映画) – 真新しい城の上に立つのは──愚かな王様

『リアル鬼ごっこ』

Happy Setsubun!
(残念ながら──こんなにかわいい鬼ではなかった)

なかなか面白いアクション映画です!

原作は(ウェブ上ではとくに)有名な山田悠介氏の同名小説で、どうやってあのむずかしい食材を料理してあるのかが見ものでした。映画が始まる前から、ツッコミを入れる気満々です。

ところが、話の展開も分かりやすいし、人物の描写もていねい。映画としての完成度は高かったですね。


なんといっても、アクションが素晴らしかった!

主人公の佐藤翼(石田卓也)は、逃げることが天才的にうまい。彼自身もそう語っている。本来ならあまり自慢ができる技能ではないけれど、たしかに翼の逃げ足はすごかった!

追ってくる相手やカベなどを使った「立体的なかわし方」が見事です。彼の逃げている場面だけでも、この映画を観た価値がありました。


主人公の妹: 佐藤愛を演じた谷村美月さんも良かったですね! 序盤に出てくる病院で衝撃的な場面があり、後半の彼女を応援する気持ちにも余計に熱が入ります。あれは、ビックリした。

あの場面を見て、柄本明さんが嫌いになった人もいるのでは……。とくに、谷村美月ファンに多そう。


佐藤洋(大東俊介)は、翼の友人でありライバルでもあるという──、少年マンガに出てきそうなキャラクタです。

展開上、彼は 2 つの役柄を演じ分けるのですが、どちらもナイーブな感じが良かった。チンピラ風の格好をしているのに、品の良さを感じます。自分は、この映画の中では彼が 1 番好きですね。


このように、アクションも役者も展開も、バランスよく描かれている映画でした。ただ 1 つ──肝心の設定が穴だらけであることを除けば、素晴らしい作品です!(それ、致命的)

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96 時間 – 空気と光と家族の愛──これだけあれば親父は走れる

『96 時間』 (Taken)

878 Paris Notre Dame 08:34
(世界の都にも──光と闇がある)

スピーディな展開が楽しめる良質アクション映画です!

この映画で自分がもっとも好きなところは、「シンプルさ」ですね。ストーリィは単純で、「さらわれた娘を救い出す父親の話」とまとめられる。

迫力あるカー・チェイスや銃撃戦が何度も出てきますが、父親には「最後まで敵の銃弾は食らわない」という「主人公補正」がついています。次から次へとピンチの連続だけれど、敵の数が多い日も安心。

制作にあたったリュック・ベッソンが監督した『レオン』よりは、アーノルド・シュワルツェネッガーがロケット・ランチャを逆向きに撃つ映画や、スティーヴン・セガール主演の映画に近い感じです。


──まるで、中身がない映画みたいに思えますよね?

ところが、『96 時間』は娯楽映画としてギリギリのラインを保ちながら、現実に起こりそうな恐怖感を演出しています。その味付けが素晴らしい!

父親のブライアン・ミルズ(リーアム・ニーソン)は元・CIA の工作員で、数々の困難な状況に対処するスピードが早かったり、敵を排除する際にためらいがない点も納得ができます。

娘のキム・ミルズ(マギー・グレイス)はかわいらしい! でも、頭が常夏の女友だちを持ったせいで、旅行先でキケンな目にあってしまう。

そのトラブルに巻き込まれた場所が、とあるスラム街──ではなく、パリなのです! しかも路地裏でもなんでもなく、空港から下りた直後でした。

じつはパリには、無法地帯が多いのです……。


お気楽に見られる映画かと思いきや、パリの暗部を見せつけられる。そして、CIA で鍛え上げられた実践的なテクニックで、父親は冷酷に敵を始末していく──。シンプルさとリアルさが、見事に融合していました。

ベースとなっている部分は定番だけれど飽きずに味わえて、上手に味付けをしてある──「かっぱえびせん・トリュフソース添え ~森の妖精に誘われて~」といった感じ(?)。


誰にでもお勧めできる映画ですが、上記の通り、パリの暗黒面として人身売買の現場が出てきます。その場面にはセクシィさなど皆無で、この世の地獄や悪夢としか言いようがない。

でも──、世のお父さんと娘さんには、この映画を一緒に観られるような関係を築いて欲しいですね。恋人同士で観る「お正月映画」としてもピッタリです!

できれば、パリへ旅行へ行く前に観てください──。

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カオス – 観客をだますには配役から

『カオス』 (Chaos)

Intravenous I
(ウソを混ぜ入れたのは──点滴の中だけ?)

絶対にだまされるトリッキィな傑作です!

この映画には主役級が 3 人いて、それぞれが味のある演技をしている。キャスティングも絶妙です。ほかの映画で彼らを知っていると、よりいっそう『カオス』を楽しめる。

まずは、ジェイソン・ステイサムがクエンティン・コナーズ刑事を演じています。彼は、『アドレナリン』で見せたイカレた主人公役が最高にハマっていました。『セルラー』での悪役も印象深く、ワルな男を演じさせたら天下一品ですね!

もう 1 人の主役はローレンツという名前で、銀行強盗のリーダです。彼を演じているウェズリー・スナイプスは、なんといっても『ブレイド』シリーズが有名でしょう。剣を構えた彼の写真は、映画を観たことがない人でも知っているはず。


ここまで話せば、『カオス』の展開も分かりますよね!

──シアトルの銀行が強盗に襲われた。強盗のリーダであるローレンツは銀行員と客を人質に取り、逃走用の車を要求する。クエンティン・コナーズ刑事はまわりの声を聞かず、単独で銀行に侵入し、激しい銃撃戦を繰り広げるのだった──。

こんな感じで、「汚れた刑事」をジェイソン・ステイサムが荒っぽく演じて、「無頼漢な強盗」のウェズリー・スナイプスをガンガン撃ちまくる! 人質も撃つ! 途中からなぜか「銃 vs 剣」の対決になり、街中を巻き込んだ一大アクションに!

──は、なりません。まったく。ぜんぜん。


本当はどんな話かと言うと──、ローレンツが銀行強盗のリーダで、クエンティン・コナーズ刑事が彼を追う構図は変わらない。しかし、今回のジェイソン・ステイサムは妙におとなしく、ルールを守る男なのです。同僚からの信頼も厚い。

じつは、『カオス』に登場する新米の刑事──シェーン・デッカーこそが、真の主役です。彼を演じたライアン・フィリップは、キリッとした二枚目だけれど、上記の 2 人と比べると──いかにも頼りない。

前半のシェーン・デッカーは、「そんな捜査で大丈夫か?」と声をかけたくなるけれど、クエンティン・コナーズのおかげで急成長していく。コナーズがデッカーを守る場面もあり、意外と心温まる話です。


ところが、『カオス』だけに単純ではなかった──。

最後の展開──「種明かし」は、ちょっと見抜けないと思います。自分は、すっかりだまされた。「そんなところに仕掛けがあったのか!」と驚くタイプの話で、だまされると分かっていても最後にビックリするはずです。

全体的に分かりやすい演出だし、(ちゃんと観ていれば)謎解きも「え、どういうこと!?」とはならないでしょう。途中のカー・アクションもリアルで素晴らしい! 友人や恋人と気軽に楽しめて、最後にドッキリ・にっこりできる映画です。

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デジャヴ – 運命が彼女に負わせた傷を癒せるか?

『デジャヴ』 (Deja Vu)

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(どこかで見たことがあるね──ハハッ)

意外な展開に驚く、素晴らしいアクション映画です!

主人公はデンゼル・ワシントンが演じるダグ・カーリンで、日本ではなじみの薄い「ATF 捜査官」という役職に就いている。「FBI の特別捜査官」でも「警察官」でもないところに、何かミソがあるのかな──と思わせる役柄です。

ATF とは: アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局 – Wikipedia


出航する寸前のフェリーから、『デジャヴ』は始まりました。日常でありながら非日常・慌ただしくて穏やかな舞台は、映画にピッタリです。効果的なオープニングでしたね。

船の乗客たちは、誰もが嬉しそうな顔をしています。真っ白い服に身を包んだ水兵たちは、さすがにすました表情をしているけれど、それが逆にカモメを思わせる。

──なんとも平和な始まり方です。

──数分後、彼らは爆死する


上記のように、最初から画面に引きずり込まれるような展開が見事です。「フェリーが爆発する」と書く時点でネタバレですが、そうと分かっていても驚かされる映像ですよ!

フェリーの爆発はテロ事件であることを、ダグはすぐに突き止めます。その捜査の手際も鮮やかで、「地道な捜査で犯人にたどり着く映画」だと誰もが──だまされる。

ところが、捜査を支える斬新な装置が登場してから、映画のふんいきが一変します。この装置は非常にキケンで、一歩間違えると捜査どころか、映画の世界そのものが崩壊してしまう。なんとか上手にまとめていましたね。

途中で出てくるカー・アクションも、ほかの映画では観たことがないような仕掛けになっています。上で出てくる装置が、アクションでも生かされている。ほかの監督も、マネしたくて仕方がないでしょうね(過去にもあるかも?)。


自分のように、映画を観ている最中はボケーっとしていると、タイトルの意味に気がつくのは終盤です。それまでは、「どこが『デジャヴ』なんだ?」と思ってしまう。

でも、たとえば、この映画のタイトルを「装置の名前」にしたら──台無しだ! 見終わったあとに「どこからどこまでがデジャヴだったのか?」をじっくりと考えると、背筋がゾクッとしますよ。

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ペイチェック 消された記憶 – 記憶も夢も愛も売って生きられるか?

『ペイチェック 消された記憶』 (Paycheck)

Close connection - Verbundenheit
クリップを武器にする男は──ひとりじゃない)

『バクマン。』好きにおすすめの SF 映画です。

なぜここで『バクマン。』の名前が挙がるのか、不思議に思った人もいるでしょう。あらすじを聞くと、ピンと来る人は来るかもしれません。

時代は近未来で、コンピュータ・エンジニアのマイケル・ジェニングス(ベン・アフレック)が主人公です。市販の電化製品などを解析して、新しい製品を生み出すことが、彼の仕事となる。ただし、機密保持のため、ひとつの仕事が終わるたびに、働いた期間の記憶を消されてしまう

大企業の幹部であり親友のジミー・レスリック(アーロン・エッカート)から、マイケルは大きなプロジェクトを持ちかけられた。3 年後にプロジェクトを成功させたマイケルは、その間の記憶を消去される。報酬として巨万の富を得るはずが、なぜか 手に入れたのは「19 個のがらくた」だった──。

このストーリィの面白いところは、仕事のあとで記憶が消去される点です。言いかえれば、契約期間中の時間と記憶とを引き替えにして──「脳を売って」報酬を得ている。このあたりが、『バクマン。』に出てきた劇中作・『この世は金と知恵』に似ています。

また、この映画はとてもマジメに作られていますが、ところどころ「なんでやねん!」と突っ込みたくなる。監督を始めとして、制作者側は真剣にやっているからこそ、逆に笑えます。──おお、「シリアスな笑い」ですよ!(強引)

ヒロインのレイチェル・ポーターは、大好きなユマ・サーマンが演じています。彼女は『パルプ・フィクション』や『キル・ビル』の印象が強くて、すぐに クエンティン・タランティーノ監督の顔が浮かぶ。

アクションやラブ・シーンなど見どころが多く、ストーリィは斬新で面白い。なぜか全体的にチープな香りがするけれど、映画ファンには好きな空気です。どちらかと言うと劇場で観るよりは、自宅のテレビでゆっくり観たい映画ですね。

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バンテージ・ポイント – ただ見るだけでは観たことにならない

『バンテージ・ポイント』 (Vantage Point)

2010-10-24_030236_Canon EOS 7D_28-75mm
(そんなにじっと見つめると──疲れるよ!)

リアルなアクションが見どころの映画です。

アメリカ合衆国大統領を護衛するシークレット・サービスのトーマス・バーンズ(デニス・クエイド)が主人公です。大統領がスペインで演説中に狙撃され、さて犯人は誰だ──という部分が大筋のストーリィになっている。

主人公の主観だけではなく、さまざまな人物の視点に切り替わるところが、この映画の大きな特徴です。大統領の狙撃される前後・数分から数十分の映像が、何回も視点を変えて映される。そのたびに、真実に近づいていく──という具合です。

DVD のパッケージには、「目を凝らせ――」とうたい文句が書いてある。上記のあらすじとあわせて考えると、「なるほど、かなり序盤で犯人グループの手がかりが出てくるのだな……」とミステリィ好きは思うことでしょう。

じつは、それこそがトリックだッ!(?)

何度も時間を巻き戻しながら少しずつ話が進んでいきますが、重要なことは後半にしか描かれていません。「目を凝ら」して観ると、(自分のように)非常に疲れるのでご注意ください!

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ナイト & デイ – 恋の逃避行は騎士のごとく急がず休まず

『ナイト & デイ』 (Knight and Day)

Knight Horse and Sword
(夜でも昼でも騎士は強くないと──ね)

これは面白いアクション映画でした!

ロイ・ミラー(トム・クルーズ)というキケンな香りがする男と、ジューン・ヘイヴンス(キャメロン・ディアス)という(平凡な)女性との、出会いと逃亡劇を描いたアクション & ラヴストーリィです。

トム様が歯をきらきら輝かせながらアクションをこなすお姿と、キャミ様が目をぱちくりさせながら恋にハマっていく様子を、むずかしいこと言いっこなしで見ているだけでも楽しめますよ!

この映画の一番素晴らしい点は、分かりやすいこと。あまりにも分かりやすく作ってあるために、逆にすごさが分からなかった人も多いのでは。ほかの映画を観ているとよく思う「──え、いまの何?」がまったくない。

仲の良い友だちと一緒か、できれば恋人同士で観たい映画でした。

ここからは、もうすこしだけ内容に踏み込んだ感想を書いていきます。

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シューテム・アップ – 鉄の人参と石の心臓を持つ男

『シューテム・アップ』 (Shoot 'Em Up)

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(思わず口が曲がる──硬さ)

お下品でスカッとするアクション映画です!

『シューテム・アップ』は、同じくクライヴ・オーウェン主演の『シン・シティ』とフンイキが似ている。どちらも「教育上よろしくない」場面が多いです。本作品は R-15+ではないけれども、子どもには見せないほうが良いでしょう。

『シン・シティ』 豪華な監督と出演者たち : 亜細亜ノ蛾

クライヴ・オーウェンは、汚れ役を演じると「(泥)水を得た魚」のようにイキイキとしますね。しかも知的に見えるところが高得点です。『インサイド・マン』でも彼は格好良かった!

インサイド・マン – 銀行強盗が狙う「光るもの」は必ずしも金ならず : 亜細亜ノ蛾

頭を空っぽにして、「クライヴ・オーウェン、かっけェー!」「モニカ・ベルッチ、キレー!」というだけでも楽しめる映画です。しかし、意外とストーリィを複雑にひねっている。監督・兼・脚本のマイケル・デイヴィスが、話を作っている間に愛着が湧いてきたのでしょうね。

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ハンコック – 孤独ゆえに世界一強いヒーロー

『ハンコック』 (Hancock)

Another Frank Stencil
(孤独な者が──ここにも一人)

メチャメチャ面白いアクション映画です!

主人公のジョン・ハンコック(ウィル・スミス)は超人的な力を持つ人物で、悪者を退治する。しかし、その際に少々──いや多々やり過ぎてしまうために、悪者以上に被害を出すことも多い。そのため、ハンコックは街の市民たちから嫌われている。──という話です。

いままでにもアンチ・ヒーローは何人か見ましたが、ここまで「ならず者」を前面に押し出した超人は珍しいですね。ダーク・ヒーローの代表格であるバットマンとは大違い。

しかもハンコックは、普段着まる出しで空を飛び、悪人と戦うのです。ここが新しい! ウィル・スミスの格好良さが、変なボディ・スーツで台無しになったりしないのです。──後半までは……。

最後まで「ウィル・スミス、かっけェー!」で押し通しても満足なのに、途中でサプライズが用意されていました(スパゲティのことではなく)。これには驚きましたね!

──まぁ、あのファンタジィ映画(クリックでタイトル判明)と同じ手ではありますが、不意打ちでビックリしました。

上映時間が 92 分間とコンパクトなことも好印象です。この短い時間の中に、ド派手なアクション・犯罪者たちの懺悔・愛と平和への思い・せつない終わり方──などなどが盛り込まれている。次回作を思わせる終わり方なのもニクい!

家族や恋人と一緒に、何度も観たい映画です!

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