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デクスター ~警察官は殺人鬼 シーズン 4 – 彼女を力強く守る者は誰か

『デクスター ~警察官は殺人鬼』 シーズン 4(Dexter (season 4))

Adelaide the Sphinx
心安まるバスルーム──に忍び寄る影

デクスター』のシーズン「4」は、日本では「死」を連想させて忌み嫌われる番号です。ところが赤ちゃんが写っているパッケージはコミカルで、むしろ「誕生」を思わせるのですが──、

今シーズンのテーマは「別れ」でした。

思いもかけないタイミングで、いろんな人たちが このドラマの世界から去っていきます。「この人だけは、このまま幸せになって欲しい」──なんて祈りたくなる人物ほど危ない。

そしてシーズンの最後は誰もが驚きます!

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ノーカントリー – 最後に老人が望むのは平穏な日々──なのか

『ノーカントリー』 (No Country for Old Men)

Beef!
(つながれたまま生きるか──それとも)

アレックス』と同じで、あらすじを書くだけなら 2 行で終わってしまうけれど、ずっと心に残る映画です。映像的にも内容的にも、「暴力的な映画」という点で両者は共通している。

『アレックス』 悪意と悪趣味の固まりのような超暴力映画 : 亜細亜ノ蛾

ずばり! 『ノーカントリー』は、こんな映画です:

あらすじ:
「ギャングの金をパクったら、
おかっぱ頭のターミネーターが追ってきたでござる の巻」

言ってしまえば「これだけ」の内容の映画なのに、最後まで観客を引っ張っていく引力が すごい。その力の正体とは──。

ハビエル・バルデムが演じている、殺し屋のアントン・シガーが、素晴らしく不気味でした! この風変わりな殺人鬼の魅力で、122 分間の大半が成り立っている。

ジャンルで言えば「スリラー映画」に入りますが、ホラーと思って観たほうが分かりやすいでしょう。「家族愛」や「夫婦愛」も一応は出てくるけれど、いっさい期待せず、仲の良い友だちか恋人と・あるいは 1 人でゆっくりとお楽しみください。

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モーテル(映画) – 殺人鬼の行動には常に良心がない

『モーテル』 (Vacancy)

モーテル 08
(晴れやかなモーテル──はエンディングのあとだけ)

たまたま泊まったモーテルで殺人鬼たちに襲われる──というストーリィのホラー映画です。邦題と内容からして、『ホステル』と似ていると思いますよね? 観てみると、まったく違った印象を受けました。

どう違うのかは、あとで書くとして──。

主人公のデイヴィッド・フォックスを演じるルーク・ウィルソンは、見事な演技を見せてくれました。自分が大好きな映画・『26 世紀青年』も本作品も、彼の演技力で支えられている。好きな俳優の 1 人になりました。

主人公の妻であるエイミー・フォックスは、ケイト・ベッキンセイルが演じています。ものすごくキレイな女優さんで、とくに「そういう場面」でもないのにセクシィさを感じました。彼女を見るためだけでも、本作品の価値はあります。

モーテル 02

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デクスター ~警察官は殺人鬼 シーズン 3 – 結婚は殺人者を穏やかに

『デクスター ~警察官は殺人鬼』 シーズン 3(Dexter (season 3))

11/16/09
(えっ? 「血痕したい?」──穏やかじゃないね)

シーズン 3 のテーマは「皮肉」です。

主人公のデクスター・モーガンマイケル・C・ホール)は初めから皮肉屋だし、この作品自体が皮肉の集合体ではある。たとえば、彼が乗っているボートには、下の文字(名前)が書かれています。

Slice of life - Photo - Dexter
「SLICE of LIFE」
(リンク先に写真)

日本語の字幕では「人生のひとこま号」なんて訳していますが、言うまでもなく、「人間(の生命)を薄く切り分ける」という意味も込められている。スライスするのは別の場所で、このボートは廃棄用ですけどね。

シーズン 2 の終わりのほうでは、この船に婚約者のリタ・ベネットジュリー・ベンツ)と彼女の子どもたちを乗せて、幸せそうにしているデックスを映していました。──毒が強すぎる!


はっきり言って、シーズン 3 は立ち上がりが遅かった。なにしろ、1 を初めて見た時の「デクスター登場!」とか 2 の「デックスの危機!」といったドキドキ感がないから、3 は大変だったと思います。

でも、4 話までガマンしてください! この話くらいから、じょじょに面白くなってきます。

とくに自分が 1 番盛り上がったのは、9 話でした。この話は、とても 1 時間弱で構成されているとは思えない。濃厚な時間を味わえます。

あと、これまでのシリーズで最高にグロテスクな屍体が出てくるので、楽しみ──いや、注意してください!

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リアル鬼ごっこ(映画) – 真新しい城の上に立つのは──愚かな王様

『リアル鬼ごっこ』

Happy Setsubun!
(残念ながら──こんなにかわいい鬼ではなかった)

なかなか面白いアクション映画です!

原作は(ウェブ上ではとくに)有名な山田悠介氏の同名小説で、どうやってあのむずかしい食材を料理してあるのかが見ものでした。映画が始まる前から、ツッコミを入れる気満々です。

ところが、話の展開も分かりやすいし、人物の描写もていねい。映画としての完成度は高かったですね。


なんといっても、アクションが素晴らしかった!

主人公の佐藤翼(石田卓也)は、逃げることが天才的にうまい。彼自身もそう語っている。本来ならあまり自慢ができる技能ではないけれど、たしかに翼の逃げ足はすごかった!

追ってくる相手やカベなどを使った「立体的なかわし方」が見事です。彼の逃げている場面だけでも、この映画を観た価値がありました。


主人公の妹: 佐藤愛を演じた谷村美月さんも良かったですね! 序盤に出てくる病院で衝撃的な場面があり、後半の彼女を応援する気持ちにも余計に熱が入ります。あれは、ビックリした。

あの場面を見て、柄本明さんが嫌いになった人もいるのでは……。とくに、谷村美月ファンに多そう。


佐藤洋(大東俊介)は、翼の友人でありライバルでもあるという──、少年マンガに出てきそうなキャラクタです。

展開上、彼は 2 つの役柄を演じ分けるのですが、どちらもナイーブな感じが良かった。チンピラ風の格好をしているのに、品の良さを感じます。自分は、この映画の中では彼が 1 番好きですね。


このように、アクションも役者も展開も、バランスよく描かれている映画でした。ただ 1 つ──肝心の設定が穴だらけであることを除けば、素晴らしい作品です!(それ、致命的)

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消えた天使 – 女を殴ってから髪をなでる者──それが彼の敵

『消えた天使』 (The Flock)

Devotion
(願いは 1 つ──無事でいますように)

きわどい題材のサスペンス映画です。


リチャード・ギアが演じるエロル・バベッジは、公共安全局で監察官をしている。性犯罪登録者の監察を続けてきて、心身ともに疲れ果てていた。

引退間近のエロルは、新人のアリスン・ラウリー(クレア・デインズ)に仕事を教えていたのだが、誘拐された女性を捜査し始めて──。


こういったストーリィ展開で、何しろリチャード・ギアが主演の映画だから──、「正義の味方であるギア様が、紳士的に事件をまるっと解決する!」──となりそうですよね? 違うよ。全然違うよ。


本作品でリチャード・ギアが演じるエロルは、アルコール中毒で切れやすい性格です。元・性犯罪者たちのところへ(異常にしつこく)通い続けているのも、仕事熱心というよりも、「何か」にとりつかれている感じがする。

ある意味では、エロルは犯罪者以上に犯罪者らしい。

冒頭で引用されているニーチェの有名な言葉も、この物語が「ある方向」を向いていることを感じさせます──。

怪物と戦う者は、その過程で自分自身も怪物になることのないように気をつけなくてはならない。

深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ。

ニーチェ格言集

はたしてエロルは、みずから犯罪者となってしまうのか? 何しろ名前がエロルだし……(それは関係ない)。


この映画と『96 時間』は題材が似ていて、娘を持つ親御さんにとっては、想像もしたくない話です。それに、『96 時間』は「悪・即・斬」な話だから良いけれど、『消えた天使』は──ちょっと娘さんと一緒には観にくい感じ。

96 時間 – 空気と光と家族の愛──これだけあれば親父は走れる : 亜細亜ノ蛾


基本的にはサスペンス映画で、ハラハラドキドキな展開に満足できました。マニアックなお色気の場面もあり、そういう方面でも楽しめます。とくに(アマチュア)カメラマンの自分には、「そういう世界もあるのか!」と思ったり。

さらに、「犯人は誰だ?」というミステリィ要素まであって、なかなかゴージャスです。その犯人の演技も圧倒的で、ラスト付近の場面ではギア様を食っていました! ──あ、演技力でね。

アヴリル・ラヴィーンが出演していることも、ファンには見逃せません。彼女が演じているベアトリス・ベルという人物は、「なんちゃってアヴリル」を思わせるキケンな役でした。

どこがあぶないのかは、見てのお楽しみです──。

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デクスター ~警察官は殺人鬼 シーズン 2 – 誰もウソに気がつかない

『デクスター ?警察官は殺人鬼』 シーズン 2(Dexter (season 2))

The Catcher in the Rye-6
(ウソつき畑で──つかまえて)

シーズン 2 のテーマは「ウソ」でしょう。

そもそも、主人公であるデクスター・モーガン(マイケル・C・ホール)からして、ウソで塗り固められた人生を送っている。すべては、「ハリーの掟」の第 1: 「つかまるな」のためです。

ところが、シーズンの初めから彼のウソがバレそうになる。なんと、デックスが葬ってきた殺人者たちの屍体が、他人に発見されたのです!

この探し当てた「宝物」により、大量殺人鬼「ベイハーバー・ブッチャー」(日本語字幕: 「ベイハーバー切り裂き魔」)をマイアミメトロ警察は追うことになる。

──もちろん、デクスターも鑑識として(自分自身の)捜査に協力ているわけです。この皮肉な構図が『デクスター』の面白いところですね。


ウソを見抜くことが得意で優秀なフランク・ランディ FBI 捜査官(キース・キャラダイン)まで捜査に加わり、デクスターも絶体絶命か!?

──というスリルある展開を、「シーズン 6 も制作決定!」している現実を横目にしながら観ました。できればそういう情報を知らずに、リアルタイムで見たかったですね。

視聴率好調の「デクスター」シーズン6の放送決定 | 海外ドラマ情報・ニュースサイト TVグルーヴ・ドット・コム – TVGroove.com


なんといってもシーズン 2 は、新登場の女性・ライラ(ジェイミー・マーレイ)に注目です! このシーズンは、彼女のために作られた──と言っても過言ではないでしょう。

ライラとデクスターが会ったいきさつも、ちょっとしたウソのためだし、彼女自身もウソ・ウソ・ウソばかり。

ところが、ライラとかかわった人たちは、真実の自分に目覚めていく。ここが絶妙です! デクスターは殺人者としての自分をより深く知り、リタは嫉妬深い本性を爆発させ、デボラは「あのバイ■がっ!!」と叫ぶ。

それよりなにより、ライラはバディがナイスです。ウソばかりの話の中で、このことだけは事実だ──と信じたい(豊胸かなぁ……)。

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セブン – この悪夢を体験すれば彼を理解した──と思えるのか?

『セブン』 (Se7en)

project 365: day 227
(ハートが奪われるような──赤く染まる「7」)

至高のサスペンス・ホラーです!

この作品は有名すぎて、未見の人はすくないでしょうね。まだこの「究極の悪夢」を体験していない人は、お正月映画にピッタリです!(もう、正月気分も終わっているケド)


主役は 2 人で、退職を目前にひかえた刑事: ウィリアム・サマセット(モーガン・フリーマン)と、血気盛んな若手刑事: デイヴィッド・ミルズ(ブラッド・ピット)との対比が面白い。

この配役なら普通は、サマセットは指導する役に徹して、ミルズを主人公にするはず。2 人とも大スターだけれど、なにより引退が間近の刑事役だし──、フリーマンはシブすぎる。

ところが、監督のデヴィッド・フィンチャー自身が語っているように、「『セブン』はサマセットの物語」なのです。この刑事が、何を見て何を考えるのか──。そこが見どころです。


タイトルになっている『セブン』とは、「七つの大罪」を指している。連続殺人犯が、「大食・強欲・怠惰──」を犯した(と犯人が思い込んでいる)人たちを「罰して」いきます。──過剰すぎるやり方で。

七つの大罪 – Wikipedia

犯人に「裁かれた」被害者たちのグロテスクな姿が、強く強くあとに残る映画です。しかし、もっと忘れられない最悪のできごとが、最後におこるのでした──。

自分の大切な人と一緒に観て、ぜひとも感想を話し合って欲しい映画です。自分が○○だったら、どうするか──と。登場人物が極端にすくなくして、ていねいに描いてある作品なので、感情移入もしやすいです。

でも、相手が「箱の中身はなんだったの?」などと言う──ちょっと抜けた人だったら、むずかしいけれど……。

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ミスト – 「いかがでした?」「あれが本だったら、壁に投げただろう」

『ミスト』 (The Mist)

Vampire Season
(霧が出てきたな──店内でビールを勝手に飲もう)

つまらないホラー映画です。

これはもう、「愛すべき駄作」でもなんでもなくて、ひたすら退屈な映画でしたね。たまには、こういう映画も紹介してみましょう。『ハプニング』よりはマシだし……。


この映画の見どころは──どこにもありません。

この映画を絶賛している人の多くは、キャッチコピーの「映画史上かつてない、震撼のラスト15分」を取り上げています(よくこんな映画に、プロが 90 点も付けたものだ……)。

参考: 超映画批評『ミスト』90点(100点満点中)

自分の心には、ラストも「なんじゃそりゃ!」でした。あきらかに、過大評価されている。この駄作を支援している人に向けて、ラストシーンを一行で論破します。この記事の後半をご覧ください。


これから観る人へのアドバイス:

「ホラー映画は 90 分間」という伝統(?)を無視して、本作品は 125 分間もあります。そして、前半がものすごく、かったるい

前半の 1 時間は、このような時間の配分になっています(カッコ内は asiamoth の体感による)。

  • ダラダラした状況説明: 30 分間
  • 頑固な弁護士を説得する: 45 分間
  • 触手さんとのお遊戯: 60 分間
  • 女教祖様のありがたい講釈: 1,000 分間
  • この映画で失った貴重な時間: priceless

──とこのように、前半は、本当に見るだけムダな内容になっています。そのため、これからこの映画を観ようという風変わりな人は、

まず、DVD を真っ二つに折りましょう

そして、前半部分のディスクは捨てて、後半から再生すればいいのです。「後半」の目安は、「夜、ホームセンタの中に巨大な虫が入ってくるところ」ですね。そこから見始めても、まったく問題はありません。

──後半も退屈だけどねッ!

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デクスター ~警察官は殺人鬼 シーズン 1 – 太陽が照れば血も輝く

『デクスター ~警察官は殺人鬼』 (Dexter)

How well I could write if I were not here!
(すべては──血が物語る)

最ッ高ーッに面白い海外ドラマです!

主人公のデクスター・モーガン(マイケル・C・ホール)は、マイアミ警察に勤務する「血痕専門の鑑識官」でありながら、「殺人鬼(シリアルキラー)専門の殺人鬼」──という設定だけで、人によっては毛嫌いするか・大好きか、ハッキリ分かれるでしょう。自分は、大・好・物!

彼の義理の妹──デボラ・モーガン(ジェニファー・カーペンター)も、マイアミ署の風紀課にいる。デクスターを「デックス」という愛称で呼ぶ彼女は元気で、彼女がいると場が明るくなります。

シーズン 1ではこの兄妹が中心となって、「冷凍車キラー」と名付けられた連続殺人犯を追う──。

デクスター|DEXTER特設サイト


この素晴らしいドラマの存在を自分が知ったのは、シーズン 4 が発売されている最近でした。上の特設サイトで商品のパッケージを見てもらうと早いのですが──、なんだかコミカルな感じですよね? 血なまぐさい印象はない。

そのため、観る前には「実際の殺人は描かないだろう」と思っていました。ところが、デクスターが「獲物」を殺す場面からドラマは始まるのです!

たしかに、コメディのようなノリは出てくる。しかし、全体的にはシリアスなムードが流れていて、最高にクールなドラマですね。

アメリカのドラマは、たとえコメディでも、見ていて格好いい。どこかの国の「登場人物同士が口論をしてばかりいる」ドラマは、ほんの少しでも見習って欲しいです(韓国ドラマのこと──と思った人のために書いておくと、日本も同じ)。

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