森山大道
昔から写真が好きな自分だが、写真家の名前はろくに覚えてこなかった。「この写真、なんか、いいな」と思っても、誰が撮ったのかは覚える気がない。
自分が森山大道さんの名前を知ったのは、つい最近だ。写真は見ていたかもしれない。
ウェブ上で彼の写真を何枚か見たが、どうもピンと来なかった。なぜ、彼が評価されているのか、分からない。
森山大道は、過大評価されているのではないか?
モヤモヤとした感情のまま過ごすのは、心に良くない。そこで、彼の写真集を買ってみる。
「携帯サイズ」とか「文庫本」などと紹介されているが、届いた本は──凶器になりそうな分厚さであった。京極夏彦と互角に渡り合える。
──そうか、森山大道の写真は、連作になって初めて生きてくるのだな、と理解した。
写真集で何枚も彼の写真を見つづけていると、「安心感のある、居心地の悪さ」を感じる。見ていて愉快な気持ちになる写真ではないが、不思議に落ち着く。なんだろう、この気持ちは──。